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Vic Gohのフォトアルバム Vol-7
2004年3月4日
郷 勝哉



 

まえがき

今回は、2001年3月にアラスカのフェアバンクスに、オーロラを見に行ったときのものです。オーロラの写真は、このフォトアルバムを始めるとき、山田編集長?から奨められたテーマでもあったのですが、実際は寒さでカメラが不調になったり、古いカメラに合う広角レンズを借りるつもりが間に合わず、オーロラが部分的にしか撮れなかったりで、満足がいかず躊躇していました。

しかし、今回現地で知り合った、速水勝さん という方が、私が見たのと同じオーロラを撮影した素晴らしい作品を提供して下さる事になり、私のと一緒に掲載する事でこのアルバムが出来ました。速水さんのご好意にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。

(以下の写真中、撮影者名が書いてないものは私の撮影です)

 




  山の噴火? 実はオーロラの初期現象で、白い点々は星です(速水さん撮影)
フェアバンクス郊外のチェナ温泉というホテルに泊まった第1夜のことでしたが、ホテルの裏山に北側が大きなガラス窓になっているオーロラ観測用の小屋があり、そこで今出るか今出るかと待つこと数時間。外は零下24度、中は暖房はしてあるものの、ガラスが曇らないようかなり低くしてあり、窓際にじっと坐っていると厚い防寒靴のつま先がじんじん冷えてくるし、おまけにオーロラが出たら直ぐ解るよう明かりは落として室内は殆ど真っ暗。集まる人も増えてきて小屋は超満員。辛抱しきれなくなって小屋を出たり入ったりしているうち真夜中過ぎだったか外に出たとき、山の向こう側が後光のように、ぼーっと青白く光っているのに気がつきました。

初めは山向こうに町でもあるのかと思ったのですが、暗闇の中で聞こえてくる話では「あれがもうじきオーロラになる」とのこと。しかしいくら待ってもオーロラらしくならないので遂に諦め、部屋に戻って寝てしまいました。翌日聞いた話でもこれ以上にはならなかったそうです。 なお、写真では赤い部分が写っていますが肉眼では青白く、これほどの広がりも見えませんでした。、撮影した速水さんも、帰国後プリントして初めて解りびっくりしたそうです。
 



  前夜過ごした観測小屋は居心地が良くなかったので、二晩目はホテルの前の小型機用の滑走路で見ることにしました。ここには隣接して休憩室相当の部屋があり、直接空はみえないものの、明るくて温かく、トイレ、自動販売機なども揃っていて、カメラを保温しながら待つのにも好都合でした。

この晩は10時半ごろ初期現象が現れ、ここでも滑走路と休憩室の間を往復している内、12時頃、突然東の地平線にサーチライトのような光芒が出現してびっくり。その後ベルト状、カーテン状など数条出ては消え、これがオーロラかと初体験に大感激。その内真上にも現れたので、寒さも忘れ滑走路に仰向きに寝転がっての観測でした。この竜巻のようなオーロラは速水さんの撮影で、私のカメラはいざ写そうとしたら冷え切っていてミラーが動かず、部屋に戻って温め直しては戻る事を繰り返しましたが、この夜は多く撮れませんでした。(後で調べたら保温に抱かせていた懐炉の固形燃料が立ち消えしていました)

代わりに?オーロラを見た昼間の滑走路をお見せします。フォトアルバム Vol-1でご紹介したように、アラスカでは道路が発達していないので、夏冬を問わず小型機が日常的に活用されています。


  複数のカーテン状のオーロラが右端で向こう側に折り返しているようです。

この写真でも赤い部分が見えますが、フィルムの感光特性のせいで、10秒以上露出すると、肉眼では見えなかった赤や緑の部分が写るようです。また人により目の色細胞の感度の違いで見え方が僅かに違うようで、同行した女房が「赤いところがあるみたい」というオーロラも、私には青白くしか見えなかったのは老化のせい?
 


  オーロラは地球の磁極の関係で北極と南極を中心に、ドーナツ状に出現するといわれていますが、この時も何となく北に向かってカーブしているようでした。
(速水さん撮影)
 


  ホテルの庭先から見えたオーロラです(速水さん撮影)。この写真のオーロラの色が、肉眼で見た色に一番近いでしょう。どのくらいの高さかは解りませんが、通常地上100kmぐらいに出現するといわれています。

出現時刻は夜毎に早くなって来ましたが、この夜は8.00頃夕食中に出現し、レストランのボーイが「オーロラが出ましたが、中座して外へ見に出てもいいですよ」と教えてくれたので、食べかけの料理は放っておいて庭に飛び出しました。
 


  一寸ピンぼけ−−私の撮影です。何しろ、ファインダーを覗いても暗くて殆ど見えないので、3脚に載せたカメラの距離を無限遠にしておき、大凡の方向を狙って10数秒露出するのですが、この時はその間にカメラが動いたようです。  

 

あとがき

速水さんの素晴らしいオーロラ写真はまだ沢山あるのですが、夜景画像の処理は初めてだったのと、オーロラの微妙な光り方や色合いをモニター上に再現する調整に手間取り、今回全部は間に合わなかったので、残りは次回にオーロラシリーズ2としてご紹介する予定です。

オーロラメモ その1

1.オーロラは何処に出るか?

一番頻繁に現れるのはオーロラベルトと呼ばれる、南北それぞれ緯度65度付近のドーナツ状のエリアで、私が行ったアラスカのフェアバンクスが丁度北緯65度でした。発生原因となる太陽活動が盛んになると、もっと南の方にも現れ、去年はアメリカのフロリダ州とか、北海道でも観測されました。
オーロラ観光で有名なのは他にカナダのイエローナイフとか、ノルウェー、スエーデン、フィンランドなど北欧諸国があり、最近では北大西洋のグリーンランドやアイスランドなどのオーロラツアーまであるようです。


2.オーロラはいつ見られるか? なぜ2001年に行ったのか?

オーロラは11年ごとに強くなる太陽風により発生しますが、数年続くピーク期間中は夏冬無関係に、また夜昼差別無く発生します。従って昼間は見えないだけですが、夜でも足許を気にして下ばかり見ていると出ていても気がつきません!
私が2001年に見に行く決心をしたのも、次のピークでは80才を越えてしまい間に合わない!と思ったからでした。ちなみに私がオーロラの事を初めて知ったのは、小学生の頃家にあった百科事典ですが、カラー写真は勿論、白黒でも高感度フィルムなどなかった時代でしたから、おどろおどろしい奇怪な形のものが真っ黒な空に描かれていて、綺麗というよりこんなものが頭の上に被さってきたら怖いという気持ちの方が強かった記憶があります。しかし強烈だったその時の印象が、いつかは見たいという潜在意識になっていた気がします。

3.夏でも出るのになぜ寒い冬に行くのか?

高緯度地方では夏は白夜で夜が短い事を思い出して下さい。つまり旅行者にとって、その限られた滞在中にオーロラが見られるチャンスが夏は少ないという事です。事実オーロラ圏に住んでいる地元の人はピーク時期には日常的現象らしく、夏でも良く見かけていて、私が最初にアラスカに行った1999年9月のフェアバンクスでも、地元の人に「昨夜見えたよ」と言われました。
その後帰国まで、夜になると空を見上げたのですが、残念ながら美しい星空だけでした。冬を選ぶもう一つの理由は高気圧の勢力が強いので晴天が多いためです。

それでも海や大きな湖が近くにあると曇りやすく出ていても見えなくなるので、その点「寒くても内陸のフェアバンクスがベスト」と地元のガイドが自慢していました。
ついでにお国自慢の片棒を担ぐと、日本との6時間の時差が、フェアバンクスで深夜目を覚ましていて、翌日は昼頃まで寝ているというオーロラ見物のパターンに丁度合っていて、時差ボケに悩まされずに済む事があります。

4.冬行けば必ず見られるか?

そうと限らないのが恨めしいところで、私たちの場合は4泊して3夜見られたのですが、すれ違いに帰国した人の話では「折角日本から来て寒い思いをしたのに、一晩も出なかった」そうで、本当に気の毒でした。

5.寒さにはどうしたか?

現地の空港とホテルの往復用には、日本のスキーウェアぐらいで間に合いますが、零下20度を越える深夜を外で過ごすには、それなりの防寒対策をしないと凍傷になります。それには厚いフード付防寒服、防寒手袋、それに防寒靴をレンタルすることで、日本を出る前にサイズを指定して予約すると現地で借りるより割安です。防寒服は充分でしたが、手袋はごつすぎてカメラの操作は無理で、日本から持っていった普通の手袋と2重にはめ、必要な時だけ防寒手袋を外しました。防寒靴も厚手の靴下を2重にして履いていたのですが歩いている時は問題無くても、長時間じっとしているとつま先がじんじんしてきました。
経験して解った事はいろいろありますが、零下15度を越えるとそれ以上は体感温度はそう変わらないこと、意外に早く馴れたが、中でも顔は一番寒さに強いこと。素肌でも短時間なら耐えられ、零下30度ぐらいでも、即座に凍傷になるわけではないこと。

事実零下12度の時、水泳パンツ一つで露天風呂まで数十秒歩きましたが、大丈夫でした! 但し、日本のスキー場でも経験しましたが、零下15度でも金属に素手で触れるとぺたぺた凍り付きそうになるので、金属に触れての凍傷の危険は大いにあります。それでメガネの金属フレームで凍傷になっては大変とカバーを作って持っていったのですが、耳かけ部分は細くて熱容量が小さいためそれほど熱を奪うわけではなく、必要はありませんでした。困ったのはフードを被りマスクまですると、吐く息でメガネに霜が出来て見えなくなる事でしたが、その内オーロラは距離が無限遠相当で形も大きいので、メガネ無しでも良く見えることに気がつきました。

わざと古いカメラを持っていった理由や、その防寒対策、オーロラの発光メカニズムや色、フェアバンクスへのルートなどについては次回のメモに書きます。

撮影データ

時期:2001年3月
場所:アメリカ、アラスカ州、フェアバンクス郊外、チェナ温泉ホテル他
カメラ: HONEYWELL PENTAX SP500 (レンズ:スーパータクマー 55mm f/2.0)
オーロラ撮影には ASA800 フィルム使用、露出はバルブで 10-25 sec
その他昼間の撮影には、専ら女房持参の CANON IXY 330 (APSフィルムカメラ)を使用、その他にもレンズシャッターの ドイツコダック RETINA というオールドカメラを持参したのですが、流石に老朽化していたのか、最初の1枚撮った後、寒さでシャッターが故障し、それきりでした。

速水氏のカメラは CANON A-1 24mm f/2.8 レンズ、及び 645版 フジカ GS-645 60mm f/4.0 で、使用したフィルムは ASA400 と 800 だったそうです。

以上

 
 
Photographs copyrighted (2003〜2004, Vic Goh)
 
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