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Vic Gohのフォトアルバム Vol-40
オーディオ機器アーカイブ

2007年6月6日
郷 勝哉
このフォトアルバムは過去数十年間に撮り溜めた写真の中から、丁度古いアルバムをめくるように往時を思い出しながら選んだ写真回顧録です。山や湖、オーロラなど自然の風物が主になるはずでしたが、結果的に飛行機、鉄道、車など乗り物も多く出ました。このあたり、子供の頃好きになったものが染みついていて何かと顔を出すようです。今後もこの様なコンテンツで続くと思いますが、変わらずお付き合い頂ければ幸いです。なお、Windows の画面設定を800 x 600にすると写真を大きくして見ることができます。(2005-12-1)


<まえがき>
最近大和の保存庫に手持ちのオーディオ旧機種を寄贈することになり、長年の汚れを落として写真を撮りました。 主として1970年代のモデルですが、これら機種にまつわる設計や製造上の苦心など、皆さんもそれぞれ思い出をお持ちではないかと思います。



<5520 RECEIVER>
国内ではチューナーアンプと呼んでいた様でしたが、アメリカではプリメインアンプにFM-AM チューナーが組み込まれたこの形式を receiver と呼び、スピーカーとは全く独立して単体売りされました。当時の日本の住宅事情では考えられなかったことですが、遮音性が高い複数の部屋がある家屋に対応した(今では当たり前の)スピーカー切り換えスイッチがついているのが特徴でした。このスイッチは居間と寝室のスピーカーの切り替えとその同時使用、更にヘッドフォンに切り換えるため4 ポジションでしたが、2組のスピーカーシステムを同時に駆動するときは当然ながら負荷インピーダンスが半分になるため、当時の設計としてはそれなりの苦心があったのではないでしょうか。 ちなみに写真の機械は米国での発売直後から1977年に帰国するまで、我が家の重要な音楽ソースとしてレコードだけでなくニューヨークとロスアンジェルスのクラシックからメキシコのマリアッチまでヴァラエティに富んだFM放送を楽しませてくれました。
(註:上に載っているサービスマニュアルは5520と殆ど同じの5521のものです)



<JVC MF-4451 チェンジャー付 FM-AM STEREO RECEIVER>
レコードチェンジャーは高価な上重ねることでレコードが傷む、ということで日本国内では敬遠されていましたが、アメリカではユーザーの好みからチェンジャー付きでないと売れないとまで言われたものです。国民性の他、広大な土地柄でラジオの音楽放送がきわめて限られた地域しか受けられなかったことも理由の一つでしょう。
この装置は1977年に帰国した時実家用にサンプル(多分)を都合して貰ったものですが、電源スイッチを入れる度にスピーカーから「ボン」というクリック音が出るくせがありました。OTL出力がゼロDCレベルでない回路のため、スピーカー直列のカップリングコンデンサーがチャージされることが原因だったので、自分で遅延回路で動作するリレーを追加しチャージ終了までスピーカーをショートするようにして対策しました。かなり大きなクリック音だったので、正規モデルでは何らかの対策がされたのではないかと思います。



<NIVICO STH-10 STEREO HEADPHONES>
これもニューヨーク駐在時代から愛用していたものです。大きく無骨なデザインで当時はウレタンフォームのパッドなど採用していなかったので、長く着用していると耳に汗をかく問題がありましたが、この頃のヘッドフォンとしてはムービングコイル式の最高級モデルだったはずです。



<NIVICO TPE-21 AC-DC PORTABLE PHONOGRAPH>
モデル名は忘れましたが、これの原型はアンプもスピーカーもない免税プレヤーで、記憶が正しければ私が課長の時その蓋の取り付けに初めてプラスチック(ポリプロピレン)製ヒンジを採用しました。果たして繰り返しの折り曲げにどこまで耐えるか懸念があり、念入りな信頼性テストをしたと思います。それが良かったのか写真のTPE-21は私の子供達の乱暴な扱いに耐え、30年経った今でもヒンジは切れずに機能しています。

このTPE-21にはもう一つ思い出があります。ニューヨーク勤務(JVC AMERICA INC.)の時ですがサービスの受付からの「窓口に来たお客の苦情に困っている」と助けを求める電話があり行ってみると、 黒人の男が「俺はステレオのつもりでこれ(TPE-21)を買ったのに実際はモノじゃないか、何とかしろ」とおかんむり。「見ての通りスピーカーは一つでステレオの訳はない、どういう理由でステレオと思ったのか?」と聞いた所、レーティングレーベル(電池蓋を開けると見える)にSTEREO PHONOGRAPHと印刷してあるのを見せられました。 原因は良くある間違いで、担当者が既存のレーティングレーベルを下図にして製図するときの見逃しと気がつき、「これは単なる印刷上の間違いで、貴方も買った後で電池を替えるべく蓋を開けて初めて見つけたのではないか、買う時にステレオと思った筈はない」と主張したのですが、お客さんはこういう理屈は聞く耳持たずで頑として「これはメーカーであるJVCのミスで俺は迷惑を蒙った、この責任はそっちだ」とくり返すだけで埒があきません。これはかねてから聞いていた、メーカーのミスにつけ込んだ故意のクレームと気がついたので、一計を案じ試聴用に使っていたレコードを3枚くらい与えた所それで満足したらしく最後はニコニコして帰りました。



<T-2020 FM-AM TUNER>
これは5520 に比べるとかなり新しく次のA-X5と一緒に買ったと思います。この後にもアナログ式チューナーがあったかもしれませんが、恐らくシンセサイザー方式に変わる前、アナログ世代の最後期として最も高音質なチューナーではなかったかと思います。ちなみにこれの相棒?だったプリアンプP-2020は今でも元音響研究所のS氏の所で健在です。



<A-X5 Super-A AMPLIFIER>
1990年の定年まで愛用していたプリメインアンプです。一度出力の石が飛び前述のS氏から代替えの石を貰って修理したことがあります。このセットだけの問題だったかもしれませんが、前蓋が自然に開いてしまう癖がありテープで止めていました。他のアンプとA-B 比較まではしたことはありませんが、弱音の弦楽器を聞くことが多い私の使い方にはSuper-Aがぴったりだったと思っています。



<JT-V77 FM-AM TUNER>
これがどうして私の手元にあったのか思い出せません。今の保存庫がビクターに寄贈される前、すなわち (株) 湘南の稲葉社長のコレクションだった頃は、ジャンク市などでビクター製品を見かけるとこのコレクション用に買うことが時々あったので、その様なケースだったかもしれません。



<HP-8 STEREO HEADPHONES>
これも使うというより蒐集目的で入手したように思います。



<TA-11 PROGRAM TIMER>
メンブレインスイッチを採用しているところから判断して比較的新しいタイマーだと思います。藤沢市立鵠沼中学校の理科の先生が若くて他界したとき車庫一棟分のジャンク品を含む理科関連機材が残され、それを仲間の先生達が役立てようと私の所属するボランティア団体も誘われて、皆で分け合ったのですが、このタイマーはその中にあったものです。てっきり故障していて使えないと思い込んでいたのですが、今回保存庫に寄贈する前に写真を撮ろうと電源を入れたところ、ご覧の通り表示部の一部が変色している以外立派に動作しました。



<SCC-3 STEREO CRYSTAL CARTRIDGE>
フェランティ-タイプアーム専用のプラグイン式ステレオ・クリスタル・ピックアップです。
フェランティ-タイプアームというのは英国のフェランティ社が開発したピックアップで、断面が矩形のアルミパイプで、普通ならその一端にあるはずの支持部(上下左右回転機構)がそこに無く、下方に折り曲げた先でモーターボードに沈んだ位置に設けてありました。そのため支持部が隠れて見えず、細っそりしたスマートなアームだけが見えていて、その斬新なアームデザインと共に、世界最初(だったと記憶)のワンターンムービングコイルカートリッジ(モノーラル)が画期的でした。

針圧のかけ方もカウンターウェイトは使わず当時のハイファイアームとしては珍しいスプリングだけの加重でした。アームの回転中心が普通より低いところにあるメリットとして、従来の構造では、針がレコード溝の振幅が大きい部分にさしかかると、カートリッジは前方に引っ張られ浮き上がる様なモーメントが生じる(針圧が減少)のに対し、支点が低い位置にあると針が盤面に食い込む方向のモーメントが生じトラッキングが確実になるということを主張していた様に憶えています。
註:フェランティアームは盤面に垂直方向のコンプライアンスが問題にならなかったモノ時代に生まれたアームです。

なお、この頃セラミックカートリッジは開発途上でコンプライアンスが低かった上、焼き物のため出力のバラツキも大きくステレオには不向きだったので、このカー トリッジの発電エレメントはクリスタル、すなわちSCC-3の2文字目の"C"はceramicではなくcrystal の意味だったと思いますが、どなたか良くご存じでしたらお知らせ下さい。


<あとがき>
Walkman から iPod に至り、オーディオの大衆化が大いに進んだことは紛れもない事実ですが、一方コンポがここまで衰退?したことはハイファイファンにとって非常に残念なことです。しかしここへ来て団塊の世代の退職に伴い「かってあこがれたコンポを買うのではないか」との期待が高まっているとか。私の様に昔の機材を修理したり中古に買い換えてなんとか間に合わせている者にとっても、そうなることが楽しみです。

撮影データ
撮影時期:2007年5月
撮影場所:神奈川県藤沢市の自宅
カメラ : CASIO QV-2000UX

以上
 
 
Photographs copyrighted (2003〜2007, Vic Goh)
 
   
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