Vic Gohのフォトアルバム
編集部 註:今回から郷 勝哉氏より氏が撮影された写真ならびに小文をご寄稿いただき、Vic
Gohのフォトアルバムとして単独ページを設け、連載させていただくことになりました。 |
まえがき
山田さんから、「杉の会のホームページに何かエッセイでも」とお誘いを受けたのですが、ものを書くのは苦手なので、代わりに写真を掲載させて頂く事にしました。
数十年間撮り溜めたものの中から、丁度古いアルバムをめくるように、思い出しながら何とか見られそうなものを選んでいくつもりです。芸術的にも写真技術的にも自信はないものの、皆さんご覧になって多少なりとも面白いものがあれば幸いです。(2003年2月
郷)
アラスカにある北米の最高峰マッキンレー山(右)6,194m です。1984年冬に冒険家の植村直己氏が遭難死してから日本でも知られるようになりました。
山の両側に弧を描いているのは氷河で、右上に翼の一部が写っているように、高度約3,000mで飛行中の飛行機から撮ったものですが、プロの写真家ではないので、「撮影のため小型機をチャーターし、零下20度の烈風を冒して窓を開けて....」というわけにはいかず、実際は単発の観光用セスナ機の擦り傷だらけの窓越しに撮ったものです。(空の左の方に反対側の山の写り込みがあるのはそのため)マッキンレーは年間を通じて雲に隠れて見えない日の方が多いことで有名?であり、この数日前地上から行ったときも麓しか見えずがっかり
だったのですが、この日は珍しく朝から快晴になったので、早速遊覧飛行としゃれ込みました。
馬鹿と煙は高いところに登りたがるといわれる通り、私はマッキンレーまで往復約70分の山岳フライトを大いに楽しんだのですが、つきあわされた家内の方は、帰途山越えで揺れたので酔ってしまい、それ以来飛行機は懲りたようでした。 |
手前は見ての通りトナカイですが、その先に見えるのは熊の親子です。遠くて小熊の方は黒い塊にしか見えず済みません。マッキンレーの北山麓には野生動物の宝庫として知られるデナリ国立公園があり、その中を往復しているシャトルバスの中からの撮影です。この季節(8月末)になると動物たちは冬ごもりに備え、せっせと餌を食べに出てくるのだそうです。この他にも赤狐、雷鳥、山羊なども見かけました。 |
エアータクシーにどうぞ? アラスカは、日本の1.35倍の土地に人口僅か61万人しか住んでいないこともあり、鉄道も道路もあまり発達せず昔から飛行機、それも小型機が日常的に使われてきました。冬季は何処にも出来る雪原や河川敷が格好の離着陸場になる一方、雪のない季節は昔の氷河の削り跡である無数の湖が飛行場替わりになるため、このような水上機もよく利用されています。
(この飛行機も冬はフロートを橇に変えて使える筈です)
写真のエアータクシーは、道路に沿って何マイル毎かにあるマイルポストと呼ばれるコンビニ兼ガソリンスタンド兼簡易宿泊所の近くで撮ったものですが、恐らくここから釣り客、あるいは狩猟客を朝奥地に運び、夕方迎えに行くために利用されているものでしょう。 |
アンカレツジから東150kの所にコロンビア大氷河と呼ばれる世界最大級の氷河があり、その氷河末端の幅は10kもあってコロンビア湾に落ち込んでいます。
数年前まではその末端の巨大な氷の壁が崩れ落ちるのを観光船から見る事が出来たそうですが、今は温暖化のため崩れた氷がアイスパックとなってコロンビア湾を半分埋め尽くし、船では近づけなくなりました。私が行ったときも末端の氷壁は遙か彼方で、この写真も残念ながら氷壁ではなく、海に浮かんでいるアイスパックを撮った物です。 |
今回の写真の撮影データと後書き
季節:1999年8月末、カメラ:PENTAX MZ5、レンズ:PENTAX 28-105 ZOOM、
雪や氷は反射光が強いので、偏光(PL)フィルターを頻繁に使いました。
アラスカというと、同じアメリカでも辺境で遙か遠方の感じがしますが、日本からだと時差が5時間しかない近くであって、特に夏は緯度が北のため日照時間が長く観光時間がたっぷり取れるメリットもある行きやすい観光地です。
(その代わり睡眠不足になりやすい!)また緯度が北の分太陽が低く、斜めの光線を受ける時間が長く、何時でも陰影がはっきりした綺麗な写真が撮れるよ
うです。
私はこの後、2001年冬にもオーロラを見にフェアバンクス近郊の温泉に行きましたが、もしこれからアラスカに行ってみようと計画される方がおられましたら(全部貴方任せのツアーもあります)、何かお役に立てるかもしれませんので、ご遠慮なく私にお尋ね下さい。
以上
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