初代ステレオ事業部長 鈴木健の 「私の体験よりの随想」


第8章:私の事業運営上モットーとして来た片鱗

1):「管理」とは、決められた静的規約をチェックする行為ではない。是は全くナンセンスである。目的を完遂するまでに起きるであろうあらゆる問題を想定、 これを踏破させる具体策ステップを、設定完遂に「追い込むという道程の動的チェック活動」でなくてはならぬ。


2):いまや単に努力せよとか協調せよなどでは何の効果も出ぬ。「条件つくり」こそ管理者の仕事。条件さえ作れば自然と達成されるものなり。 意外と目標とこれを生み出す職場管理を全く逆にしておること多し。たとえば独創的商品を生み出せ(目標)といいながら日常管理は、少数意見を尊重せず、 個性に強いものを敬遠したり、みんなの意見はどうかとか、又大切な人事や採用条件も協調性のみ重視するとかに見るように。これは正に凡作を生む条件なり。


3):現象と原因を混同するな
現象対策は再発防止にはならぬ、現象の奥にあるそれを生み出した根源を抉り出すことこそ大切、これが本当の原因なり。


4):技術はあくまで手段であり必要条件だが十分条件ではない。 その前に情熱的ソフトビジョンを持ち、是に命を懸ける要素こそ重要。 ・・・・必要技術もこの力が生み出すことを知るべし。  これからはソフトビジョンを持たぬ企業は滅亡するであろう。「技術に生きるビクター」スローガンは、 ソフトビジョン(夢)に燃えるビクター集団が夢を実現する決意の表現と思うべし。


5):改善、開発など新しいことをやろうとすることは、今までを先ず否定して取り組むことなり、所詮そこには保守的な連中は反対するに決まってる。 過去を否定してこそ「新」が芽を出すもの。周囲の環境に屈せず突進せよ。 この力の無い限り「新」は生まれるはず無し。この力の源は何度も申しました ように知識、財力、設備、技術力では無い、情熱あふれるニーズである。


6):素直な心とは決して従順になることではない
あるべき姿に徹しまい進する・・・”最大の勇気と実行力”を生み出す原動力なり。


7):衆智結集のためには”積極的に異なる意見者に接せよ”同類の者では、何万人に接してもナンセンス。異なる意見として単に取り込むのでは混合物に過ぎず。 互いに大議論を交わし白熱しつくすと、そこに両者とは全く異なる・・・二つの物質が反応して新しい融合した化合物が生まれるように・・・・新結論が生まれる。 これが本当の衆知の結集の姿である。即ち衆知の結集には勇気が無くてはならぬことを知るべし。松下幸之助様が衆智結集とは最大の勇気を生む源であると 申されたことが今尚頭に強く残っております。


8):原音探求は、音創りの心構えとして私が唱えたものです。

正面玄関前の石碑、  石碑の文面、  自筆の色紙-1、  自筆の色紙-2

   音楽を愛する者、音楽を精神の糧とする者にとって
音楽は信仰に似ている
音楽の再生に  生涯を捧げる われ等は
限りなく  奥深い
“原音の究明”に
悔いなき日々を   生きなければならぬ

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