参考文献1:日本ビクターの60年(昭和62年9月発行)

参考文献2:VICTOR 世界のオーディオ、ステレオサウンド別冊(昭和52年10月発行)


出来事

開発技術

昭和2年

日本ビクター蓄音器株式会社 創立

a

昭和6年

この頃よりポータブル電蓄、電器蓄音機、ラジオ付き電蓄などの国産化を開始した。

a

昭和12年

日本ビクターの設計による大型電蓄RE-48は「ヨンパチ」の名で親しまれ、大ヒットモデルになった
また劇場用トーキー装置も国産化された

*マジックアイ
*2A3PP高音質大出力アンプ
*10インチ鹿革フリーエッジスピーカー
*マジックボイス(特殊バスレフ方式)
*コブラ型ピックアップ

昭和20年

会社のほぼ全機能が灰燼に帰してしまったが、経営者と従業員が一体となり、「日本ビクター株式会社」と社名を改め再建に取り組んだ。

a

昭和28年

全工程を国産化したLP,EPを発売した(他社は原版を輸入しプレスのみ国内でやっていた)

モノラルなりの音の拡散を目指して
*パノラマスピーカ
*トーングラフ
*音響レンズ付きツイータ
*シリンドリカルリフレクター
*マルチスピーカーユニット構成

昭和31年

レコード盤のステレオ方式に45−45方式が最適であるとの結論が出る。

a

昭和33年

NHKの「立体音楽堂」で45−45方式ステレオが放送された

国内初45−45方式ステレオ再生装置STL-1Sを発売(ラジオなし)

昭和34年

本格的ステレオ時代に突入。ステレオ時代の技術は如何ににあるべきか、喧々諤々の議論、。

*パーフェクトピックアップ
*インサイドフォースキャンセラー
*ダイナミックバランスアーム

昭和35年

更なるステレオ再生の充実を目指す、横方向の広がりは十分になったが「奥行き感」の不足を解決する技術の登場。
ついにその技術の集大成として、「生演奏とのすり替え実験」が朝日講堂にて行われ大成功を収めた。
演奏は藤家虹二クインテット

*フェーズスキャッター方式エコー装置
*全自動プレーヤ
*オートカット付きプレーヤ
*バキュームコーンスピーカ
*ランバーコアーキャビネット
*フェザータッチドアー

昭和36年

更なる音質向上を目指し、「動的帰還」つまり「MFB」回路が開発されたのもこの頃でした。

*シンクロナスモーター付きプレーヤ
*MFB回路

昭和38年

この年には、東洋一の「大和ステレオ工場」が完成し、中に「夢の試聴室」も設けられました。

*フローティングピックアップの開発
*0.8gで動作するマグネチックカートリッジ
*0.5ミル針の開発
*180度無指向性パノラマスピーカ
*ステレオエキスパンダー

昭和40年

「生すり」の経験を踏まえ、ステレオには音質だけではない、複雑な「音場」への取り組みが重要であること、 とりわけ低音域と高音域のエネルギーバランス重要である事がわかってきた時代であった。
またこの年北村英二クインテットによるレコードとの第2回「生すり」が行われた。
またこの年「モデルチェンジしない永遠のステレオ」STL−661が発売された年でもある。このモデルは空前絶後の30数万台の売上に達した。

*SEA
*無指向性スピーカ
*トラッキングエラーレスアーム
*2重アイドラーターンテーブル

昭和41年

日本フィルハーモニーとの共演で、オーケストラの「生すり」が行われ、聴衆1,600名。これで都合3回目の 「生すり」となり、ビクターの技術力が多いに認められた。

*マイクロコンポーネント103シリーズ
*小型スピーカ「BLA−103」登場
*IMカートリッジ

昭和42年

科学技術館で「ビクターミュージックショー」が開かれた年、音場への取り組みは更に進化し「SEA」「マルチチャンネル」などの技術開発が行われた。

*業界初半導体カートリッジ(Nさん)
*ICローブースター(音研Tさん)
*マイクロコンポーネント200シリーズ
*チャンネルフィルター
*呼吸球スピーカ「GB−1」

昭和43年

ついに音場への取り組みは、「SEA」と「サウンドコレクライザー」を併用し、聞く位置でフラットなエネルギーバランスになるよう 調整することまで可能にした。

*音声測定装置「サウンドコレクライザー」

昭和44年

このころマルチチャンネルシステムやSEAシステムで、音場問題を解決するのは困難であることから、 ソースの多チャンネル化が検討され、MCSSと名づけられ、4チャンネルシステムが登場することとなる。先ず最初は4チャンネルテープデッキMTR−10Mの登場。
4−0方式、2−2方式、3−1方式など色々と議論された
また青山スタジオが完成した年でもあった

*MCSSセパレートステレオ(66,87,97)
*パンポットシステム(4ch音場を一本のスティックで同時調整可能)

昭和46年

音源の多チャンネル化はついにレコードにまで及び、CD−4システムの開発発表と続いた。

*CD−4ディモジュレータ
*柴田針
*4chカートリッジ(4MD−1X)
*Zシリーズステレオ

昭和47年

CD−4はますます進化し、4チャンネル対応ステレオから4チャンネル内蔵ステレオへの進化をした年であった。
また本格的コンポーネント時代を向かえそれぞれのパーツは如何にあるべきかが追求された。
特に「固有振動」は「歪」として捕らえられ、歪の少ないパーツが研究された。いわゆる「無振動」、「無共振」思想の誕生である。その結果スピーカにおいては「ソフトドームツイータ」を生み、 クルトミューラー社のコーンを生み、キャビネットにおいてはカナダ産のダグラスファーが採用され、仕上げは「スプルース」というあの世界の名機「SX−3」 が誕生した年であった。
同じようにこの「歪」排除の思想は、プレーヤに及びブナ材の積層合板をキャビネットに使用し、モーターには起動時DC、定常時ACという 「ダイレクトドライブ」が採用され、更にPUアームには共振止のフェルトが入れられた、外観性能ともに最高水準を行くプレーヤが開発され、 その後の業界のプレーヤデザインに大きな影響を与えることになった。

*CD−4内臓レシーバーの発売
*国内初CD−4内蔵高級ステレオDZ−7
*CD−4内臓普及型ステレオDF−11
*ソフトドームツイータ
*無振動無共振思想
*JL−B77シリーズ
*シールドワイヤーゼロ設計

昭和48年

オーディオ製品の販売だけでなく、部屋まで含めた音響特性を最適なものにすべく数千万円の機材を整備した 「ビクターミュージックオーディオクリニック」システムなるものを開発整備し、全国各地を巡回することにより、ビクターの音に対する取り組み姿勢を全国に訴えた。

*パルスとレイン測定法
*CD−4内蔵4chプリメインアンプ(JA−X9)
*CD−4デモジュ回路のIC化
*クオーツサーボ回路開発

昭和49年

東京高田の馬場に「ビクターミュージックプラザ」を開設、更にディーラーとの結びつき強化のため秋葉原に「ビクターラボ東京」を開設した

*業務用JL−B1000(TBSへ納入)

昭和50年

この頃になると再生だけでなく自分で録音できる媒体としてテープレコーダーが脚光を浴びるようになった。
技術的にも合金ヘッドの開発やノイズリダクションシステムなどのインフラが整い「生録」が合言葉となり、生録デッキ「KD−3」が発売された。
また超高級手作り製品である「ラボラトリー1000シリーズ」も発売され、普及品から高級品まで品揃えが充実した。

*超高級コンポ「ラボラトリーシリーズ」開発
*合金ヘッド(SAヘッド)
*ANRS回路開発
*半導体L回路の開発
*トロイダルトランス

昭和51年

アンプにおいては従来からの「電源重視」の思想を更に進めて「Aクラス動作」する回路と「Bクラス動作」する回路を独立させ、 それぞれに電源トランスを持たせるA級・B級独立電源供給方式を開発し音質向上に寄与した。
生録の浸透で進んだ音場録音の思想は更に進み、ついに人間はどうして音の方向を感じるかを端緒とする「バイノーラル」 録音方式が注も越されるようになったのもこの頃である。

*A・B独立電源供給方式
*ICLイコライザー回路
*バイノーラルヘッドホンマイク
*バイフォニック再生方式

昭和52年

アンプにおける電源問題もついに行き着くところまで来て、新春懇談会において、カー用バッテリー電源と通常電源の切り替え試聴実験などが行われるに至った。

a

昭和53年

この頃よりオーディオ市場は多様化の時代を迎えることになる。消費市場が冷え込み消費者のニーズも多様化の時代に入った。 この対応策として打ち出された戦略が「デルタ作戦」であった。ここから引き出されたキーワードは「パーソナル」であり、ニューオーディオで有った。

*ポータブルコンポPC−5

昭和56年

この頃より「デジタル」という技術が段々と注目されるようになり当社では固定ヘッドによるPCM録音を可能とする方式が開発され、 これ以降オーディオのデジタル化はより一層進展することになる。

*ドルビーC回路のIC化
*ファインセラミックス振動版

昭和57年

他社に遅れてCDを発売する。当社はVHD/AHDの開発に一生懸命の頃であった。

a

昭和58年

音と映像のドッキングを実現したVHDの登場をきっかけとして、オーディオのAVC化も進み、クロスメディアコンポとして「PEACE」シリーズを開発した。

*VHD
*AHD

昭和61年

市場の成熟度はますます多様化し、「マーケットリンク作戦」が打ち出された。「今市場で求められているものは何か?」、 「売りや数商品とはどういう商品か?」、「オーディオメーカーに求められているものは何か?」と言うようなことに答えを見つける作戦であった。
この結果生まれたのが「CREATION」シリーズであり、「ロボットコンポ」であった。市場占有率はコンソール時代以来の価格帯40%をもつに至った。

*COMPO34
*ROBOT COMPO
*電動ボリューム
*電子コントロールSEA

昭和62年

61年3月ステレオ事業部とラジオ録音機事業部が合流し「ステレオ事業部」となった。そしてオーディオ成熟と言われる中「音のビクター」 として発展してきた伝統的な企業風土の中で、時代の求める音楽文化のハード、ソフトを率先して市場に提供してきた。
以降オーディオ事業部はこれらの民生機器と平行して非民生機器の開発と販売網の開拓、マーケットリンクの推進などを通じて、教育用ステレオ、 電話機、カーオーディオ、CDカラオケ、DAT、プロ用DASシステム、などの開発を積極的に推進し平成20年の今日のビクターへの礎を築いたことはご承知の通りである。

a

以上のんべんだらりと思い出したことも加えて昔を振り返ってみました。お叱りを受けるような表現やいい足りないこと、 余分なこと多々あろうかと思います。
是非色々のご意見を頂戴しこのページを想い出のページとしたく思いますので、ご協力お願い申しあげます。


ラボラトリーシリーズM7070の開発の流れはこちらです(今回編集子が追加した項目)

コンソールステレオコーナーはこちらです

セパレートステレオコーナーはこちらです

単コン&ミニコンコーナーはこちらです

蓄音機コーナーはこちらです

その他ラジオ、ビデオ、ムービー、カラーTVコーナーはこちらです

Photographs copyrighted (2023, Suginokai)

inserted by FC2 system