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コロラド便り(その9)
2003年7月1日
萩原 正喜/コロラド
註:このコロラド便り(その9)には、引き続き郷 勝哉氏より氏が撮影されたコロラド州周辺の州の写真ならびにコメントをご寄稿いただきましたので、萩原さんの便りとのコラボレーションで編集させていただきました。

デンバー市長のWellington Webb 氏の任期切れを迎えて選挙投票が去る5月6日に行われたました。8人の候補者の接戦となり、どの候補者もその得票が投票者総数の1/3を下回った事から上位2名の再選挙となって6月3日に再投票が行なわれ、事業家のJohn Hickenlooper 氏が当選しました。 7月21日にWebb現市長との引継ぎが行われて新市長が誕生します。

現職のWebb市長はアメリカの好景気に乗じてデンバーの経済発展政策を積極的に推進して海外の各国との経済活動促進やデンバー空港の開港そして海外からのデンバー空港直行便の運行呼び寄せなど活発な推進を計って来ました。 それらが効を奏してコロラド州は全米一の経済発展を遂げましたが、2年半前より情勢は一変してアメリカ経済の低迷のスタートとして情報・通信を始めとするハイテク産業の活動停滞に始まって大型解雇がコロラド州を襲い、高い失業率と企業買収によるコロラドでの大手数社の本社機構が他の州へ移ってしまうなど、その租税収入面でも大幅な減収に見舞われたところでの新市長への業務引継ぎとなります。

いろいろ珍しい名前のあるアメリカに於いても大変珍しいヒッケンルーパーと言う事で覚え易い事もあるが、大変に活発な活動家でもあるという事で今後の活躍に対する市民の期待が集まっています。

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前回のイエローストーン国立公園は、ワイオミング州の北西端でしたが、そこから真東300マイルの所に、デビルズタワー(悪魔の塔)国定公園があります。
SF映画ファンなら、「未知との遭遇」という映画で、この奇怪な岩山に見覚えがあるでしょう。

折しもデンバー地区の各所ではMetro Improvement Project と名付けた道路を中心とした改良建設工事がいたるところで展開されており、特にデンバーの町中を南北に縦断している国道 25号線のハイウエイ・レーン数拡張工事は経済発展に伴って急上昇した人口と車の数によって深刻な状態で有るだけに日に夜を接いでの大建設工事が展開されており、これらに併せて今後のデンバー地区の経済の回復に効果的な政策が新市長によって実行される事を願っている市民達です。

丁度、デンバーに於いては71回目のUS Conference of Mayors(全米市長会議)が町の中心にある市庁舎に近いAdam's Mark Hotel で6月7日より5日間に渉って開催されて、全米各市を始め20ケ国以上の外国からの市長達総員200名以上が集まって都市運営の共通課題に付いて討議を行ないました。
スペインのバルセロナ市長が同市でのオリンピック開催後に生じた経済不況とその解決活動に付いての反省も含めた発表を始めとして現在アメリカの各市が抱えている経済問題を始めSARSの感染予防対策などに広範囲な問題についての討論も行なわれました。

特に私の住むデンバーの隣町のAurora 市に関連するトピックスとして、市の北部の旧陸軍医療センター( Fitzsimons Army Medical Center )であった18ホールのゴルフ場も含む広大な跡地へ現在コロラド大学の医学部のバイオ・センターを始め各種の公共施設の一大建設が推進されていますが、その再開発計画に対して国庫より510万ドルの補助金が支給される事になった、と商務省長官のDon Evans 氏がこの全米市長会議の場で発表しAurora市長のPaul Tauer氏に小切手が手渡されています。

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看板の TRADING POST は昔の交易所のことですが、この建物は宿泊設備、レストラン、おみやげ物屋があるレストハウスです。

世界最長の滑走路がデンバー空港に完成:

6月23日には、かねてより新設工事が進行していたデンバー国際空港の6本目の新滑走路の完工式典が行われました。
この新滑走路はその長さが16000フィート(4800m)と北米では最も長く、また電子誘導着陸付きの滑走路としては世界最長の滑走路となったもので、長さだけでなくその幅も200フィート(60m)と広く、これによってここ3年以内に運行が予定されているエアバス社の2層構造のスーパージャンボジェット機A-380型の離発着も可能となり、またデンバー市としては長年の悲願であったアジア各国への直接便の運行もこれで可能となります。

ちなみにデンバー空港では今まで12000フィート(3600m)滑走路5本を使って運用されて来ていますが、もともとデンバーは標高1600mの高地であることから特に夏の暑い日で空気の分子が散漫となる時には燃料を満載した長距離航空機はその離陸に長い滑走距離を必要とし、大型機の長距離便ではポピュラーとなってきているボーイング777型機でも東京や北京へのジェット気流に逆らって飛ぶ西周り便では従来の滑走路では109席分を空にしてでないと飛び立てない、とされており、これは約全席数の1/3以上を空席にしての運行と言う事で商業ベースに乗らない事からアジアへの直行便の実現が出来ずにいました。

今回の4800m滑走路の完成でボーイング777型機での東京・北京への直行便が夏の平均気温が82度(摂氏28度)の日でも満席で出発が可能となるとボーイング社でも保証しています。
ユナイテット航空を始めそのStar Alliance会社のANA(全日空)やアシアナ航空等が先ずアジアへの直行便の準備かかる事になると考えられ、エアーフランス、キャセイ航空、南中華航空等からもデンバー空港への問い合わせが来ているとしています。

デンバー国際空港はデンバー市が建設し運営している空港であり、建設の当初からその任期の全般にわたって空港建設の積極推進を計って来たWebb市長はこの完工式の席上で「我々の長年の悲願がかなった。 アジアへの直接便の運行はデンバー地区へ年間1.42億ドルの経済波及効果をもたらす事になる。」と語っています。
まだ、滑走路脇の整備工事、誘導灯の整備そして7月には航空管制局の公式チェックを経て今年の9月始めから運用が開始される予定となっています。

現在デンバー空港へのアクセス方法としては、片側2車線の高速道路Pena Blvd. を使う自動車による交通手段だけとなっていますが、デンバーのダウンタウンとの間を高速で接続する鉄道の建設が今後の大きな課題となっており、今迄もその工事に関しても検討が為されて来ています。
しかしながら私の家からは車で30分以内では必ず着ける、という距離にこうした大空港が有ると言う事でその便利さを満喫して来ていますが、あとは日本を始めアジア各国の経済が立ち直って、人々の往来が活発となりデンバー空港を主要ハブとしているユナイテット航空は現在会社更生法に基ずく再建中ですが、早く立ち直って欲しいと願うものです。

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写真に見られる柱状の構造は、地下からせり上がったマグマが固まって出来たものだそうです。この垂直に近い岸壁は標高差が264メートルありますが、ロッククライマーには大いに魅力があるらしく、世界中から年間5000人も登りに来ているそうです。
頂上はどうなっているかというと、ほぼ平らで草が生えており、驚くべきことに蛇やリスが棲みついているそうで、クライマーがたどり着いたら、がらがら蛇がお出迎えということにもなりかねません。

Ride the Rockies 2003自転車でロッキー山脈を縦走:

毎年恒例となっているロッキー山脈の山中を途中一日の休みを挟んで合計7日間かけて自転車で縦走する「 Ride the Rokies 」が6月15日からの週に予定通り応募者から抽選で選れた2000名の参加者によって行われました。 この催しは地元新聞The Denver Post社が主催して行なわれるもので、今年はビールのCoors 社が特別スポンサーとなっています。 この案内広告については、何か北斎の浮世絵や四季の墨絵などをバックに筆習字で描いた自転車のマークなど日本の影響を受けたアーテイストが制作したと思えるものになっているのが興味深いのですが、毎年恒例となっていて地元を始め州外からも多くのサイクリング・マニアの参加者を集めて総勢2000名のグループによる山岳ツアーであり、毎年コロラド州内でのコース設定を変えての運営で人気の高い催しとなっています。
1日の休養日を含めてトータル7日間の走破コースで今年はコロラド州の西南の端の町Cortez をスタート地点として全長404マイル(646km)を6日間かけて走破しました。

その間5つの高い峠越えを含み、特に6日目のCottonwood 峠はその標高が3638mと富士山並みの高さであることから希薄な空気への個人個人の挑戦となり最終ゴールはデンバーへ通ずる国道70号線沿いのスキーリゾート・タウンCopper Mountainとなっており、その直前のFremont 峠も標高3395mと厳しい心臓やぶりのラストコースとなっていました。
しかしながら、一週間かけて2000名と言う大勢がそれぞれ自分のペースに沿って走破するこの催しは自転車マニアにとっては毎年楽しみにしている行事となっています。

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デンバーからワイオミング州のシャイアンに向かう途中に フォートコリンズという町がありますが、写真のコロラド州立大学が中心の大学町です。

汽車でシャイアン・フロンテイア・デイの参加ツアー募集広告:

コロラド州を南北に縦断している国道25号線を北にとってワイオミング州に入ると直ぐに同州での最大の町Cheyenne(シャイアン)に着きます。 毎年この町で恒例となっている催しもの「Cheyenne Frontier Day」は西部開拓の時代を再現した一大パレードが呼び物で、その外にロデオ大会などを含めた各種イベントが町を挙げて行われる事で、コロラドの人達も毎年楽しみにしている催しの一つとなっています。

今年も7月19日の土曜日に行われる事になっており、その催しにデンバーのダウンタウンの中央駅(Central Station)から列車で往復する参加ツアーの募集広告で地元新聞のDenver Post 紙が募集しています。
自動車で行くとなると片道106マイル(170km)程の距離のハイウエイを飛ばして行く事になるが、それよりユッタリと汽車で往復して車中での朝夕の軽食付きで、昼食はシャイアンの会場でバーベキュウが楽しめる上、ロデオも特等席で観覧出来るという仕組みとなっています。

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大学内のモニュメント。今アメリカの大學では、活性化のため米国外から学生を多く集めようとしていて、このキャンパスでも日本人始め世界各国の学生が闊歩しています。

普段石炭を運ぶ気が遠くなる程長い連結をした貨物列車だけが走っている鉄道を使ってツアー専用列車を走らせよう、と言う事になっており、かっての西部劇に現われる時代の様子を楽しむ一日となるツアーです。
シャイアンの町はコロラドとの州境にあるワイオミング州の主要都市でデンバーから西に向かいロッキー山脈越えをする国道70号線が開かれるまでは西ヘ向かう主要ルートの拠点となっていました。

このシャイアンの町から更に西へ国道80号線をとると昔のTV劇映画「ララミー牧場」でお馴染みのLaramieの町となるが、どちらの町もかっての西へ向かう駅馬車の重要拠点でここで馬車を引く馬を交代させた場所でもあります。

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コロラド大學の優秀な人材を求めて、フォートコリンズには大企業が進出していますが、この写真はヒューレットパッカードの開発センターで、広大な敷地に緑に囲まれた瀟洒な建物がゆったり並んでいて、何とも羨ましい開発環境です。


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パイクスピークの頂上の立っているモニュメント。
14,110フィートの文字が何とか読めると思います。

第81回Pikes Peak International Hill Climb レースが開催:

標高14110フィート(4233m)の頂上まで車で登れるパイクス・ピーク山はコロラドスプリングスの町から少し上ったところからその登山道が始まっているが、途中からはダートコースとなっていてそこから頂上までの12.42マイル(20km)の156個所のカーブを含む急勾配の上り路の通行を遮断して自動車登坂レースが毎年行われています。

このレースはモーターバイク部門から始まって、登坂専用に設計された車に至る各種の部門毎にそのタイムを競うもので、日本からも毎年参加者が有りコロラドの夏の始まりを告げる恒例行事となっています。

今年は6月28日(土)に開催され、地元新聞には日本から参加している堀内浩一さんが三菱の2001年型の車を駆って「悪魔の踊り場」と呼ばれているカーブを疾走しているところの写真が大きく掲載されました。 一番の呼び物は最も高速レースとなるスーパー・ストック・カー部門で毎年親子で参加しているVahsholtz親子の息子の方のClint君がトライアルでフォードMustangを駆って5分10秒91の最高タイムを出して本戦でも優勝しています。

ダートコースの上に片側絶壁、片側断崖といった部分も多くあり、昨年にはトライアル時にコースを外れて死亡すると言った事故も起きており、なかなかの難コースの上に標高が富士山の頂上よりはるかに高いところでのレースという事でドライバーにとって精神的にも肉体的にも大変な耐久レースでもあります。

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登山道中腹のグレンコーブ・ロッジの前の看板。題して「雲に向かってのレース」。この説明によるとレースの始まりはインディ500の次ぎに古く1916年で、左の写真は当時の優勝車(記録は23分04秒)右上は1950年3位の車(16分02秒)右下1996年の優勝車(記録は11分26秒)で車のスタイルの変遷と記録の向上が解ります。最近では一般車が平均35分で登る同じコースを、レースカーは10分だそうで、平均時速は何と120k。

ロッキー山脈の夏の始まりを告げるブルーグラス演奏会:

アメリカでの民謡と言えばカントリー・アンド・ウエスターンと言う事になるでしょうが、その中にも幾つかの流れが有って、特に中西部で盛んになったのがBluegrassです。 バンドの楽器構成でギター主体でなくバンジョーとバイオリン(フイドル)がかなり表に出てくる演奏スタイルで人気があります。
「コロラドのスイス」と地元で自称しているコロラド州の南西部のロッキー山脈の麓の町Tellurideではこのブルーグラスの野外演奏会が1984年から毎年6月に開催されています。

今年も6月19日から22日の4日間にわたってTelluride の町の公園で開催されましたが、4日間にわたってたっぷりブルーグラス演奏を楽しもう、とする人達で山間の田舎町が一杯となるコロラドの夏の始まりを告げるイベントとなっています。
最初の1984年の時から毎年この開催案内のポスターは素晴らしい出来栄えでブルーグラスファンにとっては趣味の収集品となっています。

毎年このTelluride Bluegrass Festival の案内ポスターの制作を行なって来たのはデンバーの水彩画家のWilliam Matthews さんでデンバーの町中に画廊も設けられているが、今年のポスターはその画廊で販売されています。 彼はこのポスターだけでなくいろいろな音楽グループのCDのジャケットも描いており、特にカントリー・アンド・ウエスターン音楽の世界では有名な画家となっている人です。

ところで「恒例のJVC Jazz Festival は今年も行われるのであろうか? 今までロッキー山脈中のスキーリゾートの町Winter Parkで開催されて来たが今年は新聞のリストなどでも見当たりません」、と思っていたらAVストアーのSoundTrack店の広告にJVCのホームシアター・システムと一緒に非常に小さいスペースで「 JVC Jazz Festival 2003,July 19 & 20 at Winter Park」と日曜日の新聞折り込み広告で見つけました。 何故かホットした感じです。

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デビルズタワーから東南に進み、サウスダコタ州に入ったところにジュエル ケーブ 国定公園があります。直訳すれば「宝石の洞窟」ですが、色々な形や色の鍾乳石がある鍾乳洞です。

デンバー空港にリアージェット機の実物展示:

一世を風靡した音楽用テープカートリッジStereo 8 の発明でもお馴染みのビジネス用小型ジェット機のLear Jet社は1996年に同社製のジェット機による世界一周早回り飛行に挑戦して記録を打立てています。
その時にデンバー空港にも立ち寄っているが、今回その時の飛行機の実物がBill Daniel 財団の寄付でデンバー空港の国際線及びAmerican Airlines 等が主として使用しているCコンコースの中央広場に天井から釣り下げられて展示される事になりました。

私自身はかなり以前に仕事で当時HDDのコントローラーで日の出の勢いであったXebec社のネバダ州のCarson City工場を訪問した際に同社のToreson 社長と一緒に近くのローカル空港からサンノゼ空港までこのリアージェット機で飛行した事が有ります。 離陸時のすごい加速とその上昇スピードに驚かされた思い出が鮮明に残っています。
当時音楽用として普及してきたCDをコンピューター用のデータデイスクとして利用しようという今日で言うCD−ROMの最初の打ち合わせがこの時に業界で始めてJVCとXebec 社の間で話し合われたのも大変懐かしい思い出です。

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公園の案内パンフレットをご紹介します。
(画像をクリックしますと、大きなサイズでご覧になれます)

旭ペンタックスのアメリカ本社がGoldenの町へ統合移転:

カメラの旭ペンタックスのアメリカ本社はデンバーの南のデンバーテックセンターに本社機構を置き、デンバーの北のBloomfieldに研究開発ラボと全米への配送センターを有して運営されています。

今回これらのコロラド内の各事業所をデンバーの西に接しているビールのCoors の工場でお馴染みのGolden の町へ一括移転する事になりました。
新たな本社オフィスは昨年新築されたガラス張りの3階建てのこの町では最大のビルで、このGoldenの町のClear Creek Squareに同社の本社機能と研究開発ラボとが移転し、Coors Technology Center の建屋に同社の配送センターが移転する事で既に移動作業が始まっています。

同社では今回の主たる目的はその運用効率にあり、経済性からも同社にとってこの移転は重要だ、としています。 Golden の町は人口が18000名でその内約13000名が働いている、と言う高勤労者比率の町で、その全体の約52%はGoldenの町の在るJefferson 郡以外へ毎日通勤していると言う実態です。
旭ペンタックスのコロラド本社は総員150名程の規模ですが、今回の移転に依ってGoldenの町へは約500名分の社外でのサポート業務が新たに生ずると言う事で同町の活性化に大きく寄与する事となる、と見られています。

Goldenの町当局では「我々の町はその中央をClear Creek川が流れており、住民構成も良い環境であるし、ゴルフコースも在り、ハングライダーやカヤックそして登山も楽しめQuality of Life と言う面では大変恵まれている環境にある、」などと自慢しています。
ちなみにこの旭ペンタックス・アメリカはコロラド州内の日系企業の中では最大の規模で、古くよりデンバーを拠点として活動を行って来ています。 (なお、2番目の日系企業はコロラドスプリングスの郊外にある三井化学のCD-R / DVD-R のデイスク製造工場のMitsui Advanced Media社。)

また、日本から派遣されている日本人の従業員の人達も長期滞在で地元に密着した生活を過ごしており、地元の日系企業会や日系人会などの会合にも役員を務めたり、世話役となっての活動を展開しています。
また、このGoldenの町へは一昨年まで酒の「灘の生一本」でお馴染みの「黒松白鹿」の工場があったが、アメリカでの業績は順調に伸びていたのにもかかわらず日本での事業改革縮小の一環で閉鎖となっており、今回の旭ペンタックスの移転は日系企業としてそれを補った形で地元では大変歓迎されています。

ここのところ日本の長期にわたる経済低迷でコロラド州へ進出する日本企業が現われていないが、早く回復して新たな進出企業の名前を聞きたいものだと思っています。

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ワイオミング州と聞くと、緑に富んだ山や牧場を連想しますが、それはロッキー山脈のある西の方で、東に進むと雨が少なく乾いた荒れ地が多くなります。写真はハイウェイのレストエリアですが、このオアシスは人工湖でその向こうはもう砂漠です。

コロラド・コンベンシヨン・センターホテルの建設がいよいよ始動:

デンバーが一流の都市として大規模な全米規模の集会や催しものを招集する為には交通の便は良いものの全体の宿泊ホテルの部屋数が不足している、とされてきました。 その問題点を払拭する意味で最も効果的なプロジェクトがダウンタウンの南西部に在るコロラド・コンベンシヨン・センターに面する土地への大ホテルの建設となっています。
先にその建設案がデンバー市の議会を通過してその建設のための外郭団体としての基金集めが行われて来ており。 極く最近の情報ではその基金募集が予定額に達して締め切られたと発表されています。

こうした新規の事業投資となると何処からと無く投資基金が急速に集まってくるのは如何にもコロラドらしいと思うが、今回その最終の基金ボンドの売り出し総額は3億5470万ドルで年利率が4.61%とアメリカでは異状に低い利回り(日本では異常な高金利)であるにもかかわらず発売後2時間で完売となったとしています。
このホテルの総部屋数は1100室でコンベンシヨン・センターの真正面と言う便利な地理条件から今後の大イベントへの寄与が期待されています。

早速、6月30日にその基礎工事開始の式典が行なわれその建設が始まりました。 このホテルのオープンは2005年の12月の予定でホテルチェーンのHyatt が運営に当たる事になっています。

天文観測の高性能望遠鏡をリモートで遠距離から操作して共用:

コロラド州の南に接している二ユーメキシコ州のSunspotにあるアパッチポイント天文台では3.5mの大口径反射望遠鏡が6つの大学の共同運営で使用されています。
この望遠鏡はアメリカ内の6つの大学の天文学科が共用して使用しており、コロラド大学のボールダー本校も2001年からこの協会に加盟してその利用校の一つとなっています。
それぞれの大学と天文台との間はQwest 社の高速光ファイバーによるバックボーン回線を利用する高速インターネット( Internet 2 )で接続されており、望遠鏡を遠隔地のそれぞれの大学の研究室から自由に操作出来て、その観測画像も高精細度で同時に見る事が出来るようになっているのが特長です。

この天文台は標高9240フィート(2772m)のサクラメント山の山頂に1994年に建設されたもので、標高はそれほど高くは無いものの気流の流れが年間を通じ穏やかで周囲に町が無い事から夜間の光が無い、と言う事からこの場所が選択されています。 コロラドにはもっと高地な場所は有るが、町が接近していて夜間の光が多い事と気流の流れが年間を通じて激しい事から適切では無いのだと言う事です。 現在では高速インターネットがこんなところでも活躍している、と言う事の実例です。

先日新星を数多く発見した二ユースを提供した日本が建設したハワイのスバル望遠鏡が高速インターネットで日本全国の学校や大学でその観測成果を共用出来るように成ると聞いていますが大変な影響力をもたらすと考えられ、望遠鏡自体を勝手にそれぞれの学校が操作する事は出来ないものの専門的な高度な性能の望遠鏡のデータが身近になると言う事で、天文学がもっと身近なものとなり天文熱が上がる事になるのではないか、と思われます。

デンバー・グランプリ・レースの前売り券発売:

昨年から始まって今年で2回目になるデンバーのダウンタウンの街路を仕切って交通止めにしてホーミュラー・カーが轟音を響かせてその最高時速200マイル(時速320km)に達する、と言うグランプリ・オブ・デンバーが今年も9月1日(月)のLabor Dayの3連休に行われる事になっています。

早くもその前売り券の発売を通知する新聞広告が地方新聞の紙面を飾っています。
コロラドでは本格的な高速カーレース場としてはコロラドスプリングスの町からかなり南へ下がった国道25号線沿いに有るが、モナコグランプリの向こうを張って町中で行なうと言う事に価値があるのかもしれません。

昨年は始めて、と言う事もあって大盛況の観客動員数であったが、もともとアメリカ人はこうしたモータースポーツが好きな人種なのかもしれません。 ちなみにそのチケット販売所に指定されているKing Soopersは日用品や食料品を中心とする我が家でも家内が良く買い出しに行くスーパーマーケットでコロラド各地に多数の出店をもっているチェーンとなっています。 カー・グランプリ・レースの切符をスーパーマーケットが扱っていると言うのも大変ユニークです。

ダウンタウンの高層ビル群の外れに大きなドームの建物のプロバスケットボールのデンバー・ナゲッツそしてプロアイスホッケーのコロラド・アバランチェの2チームがホームグラウンドとしているペプシセンターが有りますが、その駐車場を最高ラップを出すホームストレッチとして行われます。

フロンテイア航空がAirbus A−318型機の第一号導入:

デンバー空港を本拠地ハブとしているFrontier Airlines社では当初Boeing 737型機から創業運行を始めましたが現在ではAirbus A−319型機が主体となって来ています。 今までは同社の格安料金システムが人気を呼んで繁盛して来たが、最近の航空業界の不況の為に今までの同社の独自性であった格安料金制度にユナイテット航空、アメリカン航空と言った大手も参入を始めて同社としての特徴が薄れて来ており乗客獲得に苦戦が始まっています。

今回同社では席数が132席から114席と減少するものの維持に手間がかからず燃料消費が少なく、なお且つ長距離の飛行が可能なAirbus社の新型機 A−318型機の導入を行なう事になって、Airbus社としての初号機が納入される事となりました。
この初号機は6月15日(日)から開催されていたパリ航空ショーにその尾翼に現在フロンテイア航空が使用している各種動物の絵としての熊が描かれて展示され、7月下旬にデンバー空港へ配備される事になっています。

現在使用のA−319と新たなA−318では乗客にとっては何か変った、と言う印象は全く感じられないもののフロンテイア航空では航空業界での生き残りを賭けての運行に年間100万ドル以上のコスト削減が計れるものと期待しており、来年4月までに総計5機の所有とし、2005年3月迄には合計7機の所有とする計画です。

ボーイング社の宇宙ロケット製造のPueblo事業所が移転:

衛星打ち揚げなどで活躍する宇宙ロケットはコロラドのデンバーの西南に在るロッキード・マーチン社とコロラド州の南の町Puebloにあるボーイング社とで競って来ているが、最近ではそのコスト競争も熾烈なものがあり、その打ち揚げ精度とともに打ち揚げコストも大きな課題となっています。

1987年に創業したPueblo事業所はボーイング社の主力であったDelta II,Delta III の組み立てで今まで活躍して来ましたが、現在ではアラバマ州のDecatur事業所で組み立てられているDelta IV 型が主力となって来ており、その任務をほぼ終えた事から今回コロラドの事業所は閉鎖されアラバマの事業所へ来年初めに編入される事となりました。
約20名の従業員は同事業所製作のメインロケットの最終打ち揚げが予定されている2007年まで残るが、これによりPueblo事業所では約250名の従業員が職を失う事となります。

ボーイングのアラバマ事業所は約600名の従業員で運営されていますが、今回の再編成で160名の人員増加を行なう事となっています。
コロラドのプエブロ市では今回のボーイング社の事業所移転は残念だが、新たにボーイング社が開発を計画している将来大型雇用が約束される新型旅客機7E7型「ドリームライナー」の最終組み立て工場をこの跡地へ誘致しようと積極攻勢をかけています。

ボーイングの新型旅客機「ドリームライナー」の最終組み立て工場誘致合戦:

先日のパリ航空ショーでそのモデルが顔見せしたボーイング社の新型7E7型の最終組み立て工程の工場地選定で各都市間での誘致競争が展開されています。
707型に始まって、世界の航空輸送の主力航空機を供給してきた7X7シリーズの同社の航空機群ですが、先に以前より検討して来た超音速の長距離旅客機に関しては現在の航空業界の低迷状況からその計画棚上げを同社は発表しており、代わって中型ワイドボデイで長航続距離と低メインテナンス・コストとを狙った新型機7E7シリーズを発表となっています。

客席数は200から250人乗りで8300から9200マイルの運行が出来るとしています。 現在日本航空(JAL)とシンガポール航空とがその最初の購入会社として付いている、と言う事で、最初の商用運行は2008年を予定しています。
この新型機のニックネームはボーイング社がインターネットで一般より募集して160ヶ国から50万の応募の中から選択の結果「 ドリームライナー 」と決定しています。 (7E7の“E”はこのシリーズの最終Endの“E”かもしれない。)
この新型機の最終組み立て工場について現在ボーイング社ではその土地選定を進めており、6月28日(金)に候補地の締め切りをして今年の年末までに決定する事になっています。

この工場誘致によって800から1200名分の新規雇用が見込めるという事で大変注目されているが現在の応募地としては、コロラド州、ワシントン州、テキサス州、カンサス州、アーカンソー州が登録しており、コロラドでは南の主要都市Pueblo の郊外のPueblo Airport Industrial Parkにボーイング社の宇宙ロケットの製造工場があるが、来年には閉鎖してアラバマ工場へその機能を合併させる事に決定しており、市の当局ではその跡地をこのドリームライナーの最終組み立て工場とする事で誘致に積極的な働きかけを行っています。

コロラド日系人の恒例行事「桜祭り」が開催:

デンバーのダウンタウンには「桜スクエアー」と言う四方を通りに囲まれた1ブロックがあって、その中には大きな梵鐘のある浄土真宗のお寺や公会堂、30数階の高層アパートで日系人が多く暮らしている玉井タワー、日本食料品店、そしてこじんまりとながら庭園などが在ります。
毎年、コロラド日本人会の主催でこの桜スクエアー一帯を交通遮断してCherry Blossom Festival が開催されています。 今年も6月28日(土)の午後から翌日曜日にかけて開催されました。

デンバー市民バンドの演奏するスーザのマーチに乗って多くの着物姿の日系人の人達のパレードから始まり、この土曜日の夜には盆踊りも行なわれ、多くの餅やおにぎり、照焼き肉、寿司などの日本食や着物、日本人形といったものなどを売る夜店などもでて大変な混雑の盛況でしたが、これらの各売り上げ利益金額はコロラド内のデンバー、グリーリー、ロングモントの町にある3つの仏教寺院へ寄付される事になっています。
期間中には桜スクエアー内のお寺内では茶道の紹介やお灸の実演、墨と筆による習字の紹介等が行われ、日曜日には日系人の少年少女で構成されている「デンバー太鼓」のグループ15名による太鼓チームの演奏が行なわれ多くの観客を集めました。

コロラド州には第2次大戦中に日系人達を強制収容したConcentration Camp が在った事から日系人が多く住み着いていることはこのレポートで以前に紹介しましたが、そうした人達が望郷の念から始めた、と思えるこうした恒例行事が世代が大きく変っても脈々と受け継がれて行っているのには感心させられます。 そうした意味では日本に住んでいる日本人よりもこうした日系人の人達の方が「日本人としてのアイデンテイテイー」を持ち合わせていると言えるかもしれません。

以上、最近のコロラドでの出来事をダイジェストしてお知らせしました。 日本では高温多湿な梅雨の季節真っ盛り、と言う事かと思いますが、コロラドには梅雨期は有りません。 6月に降雨がかなり有って心配されていた水不足も多少改善されています。 週2回にそれぞれ1時間ずつと言う芝生への散水制限も2時間ずつに変更になりました。 ところどころそれでも枯れてしまっている部分が有りますがお陰で我が家でも全部枯らさなくても済みそうです。

暑さに向かう折、皆さんには健康第一で健やかにお過ごし下さい。

[以上]

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
Photographs copyrighted (2003, Vic Goh)
 
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