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コロラド便り(その6)
2003年4月1日
萩原 正喜
註:このコロラド便り(その6)には、引き続き郷 勝哉氏より氏が撮影されたコロラド州や周辺の州の写真ならびにコメントをご寄稿いただきましたので、萩原さんの便りとのコラボレーションで編集させていただきました。

日本でも幾らか春めいてきた気候で皆さんお元気にお過ごしの事と思います。
とうとう米英軍によるイラク攻撃が始まってしまいました。 また、コロラドでは昨年来の水不足に苦しんでいたのを一気に吹き飛ばすような大雪に見舞われました。
今回の「コロラド便り」ではそうした話題と併せてこの記事を読んで頂いている先輩からの御質問を頂いておりますのでその調査結果について併せて以下に報告したいと思います。

気象観測開始以来2番目の湿った大雪に見舞われたコロラド:

以前のこの「コロラド便り」で冬季の積雪が少なくて水不足が深刻になっている事を報告しましたが、コロラドでは3月17日(月)の深夜から大雪となり、一晩で50センチ以上もの積雪となって、更にその後も継続して降り続いたので車が動けなくなって立ち往生し道路中央に放置されているものが多く、除雪作業の邪魔となる事から、私の住んでいるオローラ市では市民の車での運転外出を全面禁止する処置に踏み切りました。



 

コロラド州及びその周辺の州には多くの観光名所がありますが、州の西南の角の所に、メサベルデ国立公園と呼ばれる約1400年前の先住民族の住居遺跡があり、世界遺産にもなっています。断崖の中腹のくぼみを利用して立てられた建築物(住居群)は一寸した小都市にも見え壮観です。

デンバーでのオフィシアルな今回の積雪量は31.8インチとの記録ですが、私の住んでいるオローラ市に於ける公式積雪量はデンバー市よりも少し多く40インチ丁度となっていますので1mちょっとの短期日での集中降雪と言う事になります。 58年ぶりの大雪で気象観測開始以来2番目と言う事ですが、量もさることながら大変湿った雪で乾燥粉雪に慣れているこちらの人達も勝手が全く違った、と言うのが大混乱のもとです。(4輪駆動車は非常に多いのですが市街地に住んでいる人ではタイヤ・チェーン等を持っている人は全く居ません。)

また、コロラド州を東西に横切っている幹線ハイウエイの70号線はデンバーから東の平野部で隣のカンサス州境までが除雪が降雪に間に合わず全面閉鎖に2日間なって大型トレーラーがデンバーのハイウエイ沿いに数珠つなぎとなるといった事が生じました。 そしてデンバーから西のロッキー山中では大型な雪崩が発生してその上下線ともに覆い尽くすといった事故が発生し、多量な雪とともに岩石や大量な土砂も一緒に巻き込んでいるためその取り除きに大型重機が多数出動していますが未だに完全開通していません。

通常ですと、危険と思われると一時車両を全面通行止めにして積雪の斜面へバズーカ砲のようなもので火薬玉を打ち込み強制的に雪崩を起こさせて直ちに除雪し、交通解除するといった方法がとられているのですが、今回は一時に多量な降雪が有ったので交通止めにはして車両が雪崩に巻き込まれると言う事は避けられましたが、少量の内に人工的に雪崩を起こさせようとしても湿った雪であったためにうまく行かずこの大被害となってしまった、との事です。


メサベルデ国立公園から西へ約60キロのところに、コロラド、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコの4州が一点で接した場所があり、4コーナーズ モニュメントと呼ばれる台石が設けられています。アメリカにはワシントン特別区を除き州が50ありますが、4州の境界が直角座標のように交わっているのはここだけで、ここに来れば写真の女の子の様に、四つの州を一度に踏むことが出来ます。

雪は3月20日(木)の明け方まで降り続いてやっと止みましたが、お陰で丸々2日間デンバー空港は閉鎖で空港内では約4000人の人達が足止めをくって周囲のホテルにも泊まれず空港内で過ごし、木曜日の正午過ぎにやっと一番機が飛び立つ、と言った事になりました。 その間、デンバー空港のトレードマークで自慢の日本テント社(以前の日本の天野テント社)製の空港メインターミナルの屋根を形成しているテントの一部が破れて大きな孔が開き、そこから雪がターミナル内に落ちて乗客達が別の場所へ急遽避難する、といったハプニングなども起きました。 最も高いテントの上端から氷を含んだ時速70マイル(時速112km)の強風によって破れて、2層構造となっている表面の亀裂が発端となって下の層にまで切れてしまったと説明しています。

また、当然各学校も休校となって3月24日(月)から再び開校と言う事で、各オフィスや商店なども火、水の2日間は完全営業停止と言う状態でした。
それだけでしたら木曜日には午前10時頃からは日も射して来たのであまり心配なかったのですが、家の周りの除雪を終えて一息付いてホットしていたら、我が家の南側の方へ軒先から4m位い突き出しテラス風に屋根を付けているのが、突然母屋の屋根に積もった雪の固まりが滑り落ちて来て、その重さで一気に落下し倒壊してしまいました。

軽量鉄骨の柱や梁とプラスチックの屋根材で出来ていたのですが、湿って重い雪が多量に積もっていた上に母屋の屋根の積雪がその上から一気に滑り落ちて来たのが原因ですが、古くなっていて支えが弱くなっていた為と思われます。 4mX6m程の面積の上に雪を多量に積んだ屋根が大音響とともに一気に潰れ落ちて来てビックリ仰天大変な思いをさせられました。
幸い、怪我は有りませんでしたが、その少し前まで自分と我が家で飼っている犬とでその下を除雪の為に行き来していたのでヒンヤリさせられました。
屋根から落ちた雪も加わって雪が周りには人の背丈程も積もっているのでそのままにしていますが、天気が回復してから後のかたずけや整理で大変です。

同じブロック内の近所の家でも2軒ほど同様に突き出し屋根が雪の重さで潰れて落下しており、その内の一軒ではその時運悪く丁度下に人が居て重傷を負った、と言う事です。
また、TVの二ユースでも大きな建屋の屋根が雪の重さで潰れた、と言う事をデンバー地区で2つのビルで起きた事を伝えており、ガソリンスタンドでも2個所でその屋根が潰れて営業停止となっています。 同じオローラの町でも手芸用品を扱っている大きな店舗の屋根がやはりソックリ落下しており、改めて日本の上越地方等では当たり前な屋根の雪下ろしの重要性を認識させられました。

今まで多量に降っても乾燥粉雪で飛んでしまうので、屋根に多量に水分を含んだ重い雪が厚く積もると言う事が無かったのですが、以上が今回の事故の顛末です。 TVの伝えるところでは、コロラドの建築法律では30ポンド/平方フィートの荷重に屋根は耐える事、となっていて、今回は丁度その30psf位いの大変湿った雪であった、と報じていますが我が家でもとんだハプニングに見まわれた一週間となりました。
その間アメリカ軍のイラク攻撃の火蓋がいよいよ切られてしまいましたが、お陰でコロラドの我が家ではそれどころではない一週間となってしまいました。


4コーナーズからアリゾナ州を100キロぐらい南に下がった所にウインドウ ロックと呼ばれる町がありますが、名前通り風穴がある岩山があり、ナバホ インディアンの首都になっています。

一方、今回の湿った大雪でニッコリしているのは市の水道局の責任者です。
昨年の異常渇水で貯水池の水を使い果たして、今年はどうしようかと思っていたところへの朗報です。 今回の大雪はロッキー山脈中にも大降雪をもたらし、積雪量が今までの不足分を補ってしまうほどの降雪でしたのでコロラド内の各河川毎の流域に於ける積雪量を今回の大雪の前と後とで比較しているデータが地方新聞に載りましたが、特にデンバー地区への水源となるSouth Platte川流域とコロラドリバー上流域との積雪量が大きく回復しやっと平年並みとなったのは朗報です。

今回のコロラドでの突然の湿った大雪のメカニズムについては、規模の大きな前線がコロラドの上空に2日間にわたって居座った為、メキシコ湾からの湿度をたっぷり含んだ空気と北からの冷たい空気がコロラド上空で衝突してこの大雪をもたらしたと言う事で、エルニーニョによる関連した雪嵐であるとしています。
ともかく今回の大雪は水不足に喘いでいるコロラドにとっては正に救いの神だったのですが、湿った大雪に慣れていないコロラドの人々にとって我が家も含めて飛んだお土産も残して行ってくれました。

 

4コーナーズから反対に、ユタ州を北に向かって180キロぐらい行ったところにアーチーズ国立公園があり、自然が作ったアーチがいくつも見られます。左の写真はその一つ ランドスケープ アーチ

米英軍によるイラク攻撃が遂に始まった:

とうとう米英軍によるイラク攻撃の火蓋が切られてしまいましたが、毎日の戦局展開が詳細にTVや新聞で報道されています。
地元新聞ではイラクの国の広さとコロラド州とを比較している図がその記事に載りましたが、その面積からするとコロラド州の1.7倍くらい広く、カリフォルニア州より少し狭い、といったことになっており、こうした州が50もある国が攻める訳ですから何ともサダム・フセインも苦戦を覚悟の必死の戦局に臨まざるを得ないと言う事のように感じます。

コロラド州は南北の州境は緯度に沿って区切られており、また、東西の州境は経度に沿って区切られている長方形の州ですが、そうした事から実際の形状は地球の球面に沿っての逆扇型に少しなっています。
南北の距離が276マイル(441.6km)、東西の距離が州の中央部で387マイル(619.2km)と言う事で、日本の国土は147、656平方マイルですから、丁度コロラドとイラクの中間位の面積と言う事になります。

緒戦での状況からするとアメリカ軍が一般市民の犠牲者が出る事を最小限とする戦略を採らざるを得ない状況を利用して首都のバグダッドに立て篭もって市民を盾としてのイラク軍の戦略と見られる状況ですが、制空権を米英軍が握っているとはいえイラク空軍の出動が殆ど見られないのが不思議です。 米英軍のバグダッド周辺への集結が行われたところで隠しておいた空軍機や化学・細菌弾頭のミサイルでの大反撃に転ずると言う作戦ではないかと心配になります。

一方、米英軍の南東部からの進行開始に依って早くもイラク軍がその油田に火を放つ、と言った事が発生しているので、テキサス州ヒューストンに本社を置く油田火災消火活動の専門会社であるCud Pressure Control社では専門チームをクーウエートへ派遣して戦況が安全となった地域から順次消火活動に当たる事にしており待機状態です。

また、先のレポートでお伝えしたアメリカ空軍よりの発注を受けてEELV (Evolved Expendable Launch Vehicle) プログラムで計画の4基の通信衛星の内の3番目に当たる高性能音声・データ通信用衛星が3月10日に打ち揚げ成功しています。 衛星部分はロッキードマーチン社が担当して打ち揚げロケットとしてはボーイング社のDelta IVが使用されたと言う事で今回のイラクでの戦闘にその通信能力の威力を早速発揮している筈です。

また、前回のアフガニスタンでの戦闘時には大活躍したデンバーの北のThornton の町に在るSpace Imaging社では同社の所有するIKONOS衛星からのイラク各地の超高精細観測写真をリアルタイムで米国防省へ提供しており、今回の戦闘で有力な武器となっています。

サダム・フセインが最初の米軍のトマホークミサイルとBunker Buster Bombの攻撃に依って死亡したとも負傷を負ったとも見られていますが、生き延びてヤケッパチとなってバクダッド市民を巻き込んでの化学兵器や細菌兵器の使用に踏み切らない事を祈るばかりです。
全米でのテロ攻撃に対する警戒レベルも先月末に一旦1ランク落とした黄色レベルに国家安全保証省がしましたが、このイラク攻撃の開始とともに再びオレンジランクとなってコロラド州でもデンバー空港を始め州庁舎、軍の各基地などの警戒体勢が強化されています。
このレポートが皆さんのお手元へ届く頃にはもしかしたらイラク攻撃の大勢は決しているかもしれませんが、もしまだ激戦継続中と言う事になると戦況は長びく事となるかもしれません。

アーチーズ国立公園の中でもっとも有名な デリケートアーチ(左)


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このコロラド便りを見て頂いている「杉の会」の先輩から下記のようなご質問を受けています。
1. 私の住んでいるAurora市ではオーロラは見られますか?
2. アメリカではインターネット・Eメールでの季節の挨拶状やクリスマスカードなどの送付
は失礼になりませんか?
と言う2つのご質問です。 以下にその調査結果をご報告します

1.オーロラに関しては、

市の名前のAuroraは北極などで見られるいわゆるオーロラと同じですが、オローラと書く方がこちらでの発音に近いつずりとなります。
結論から言いますとアラスカなどで見られるオーロラの様に幻想的な雰囲気とは全く見える様子が異なりますが、同じ発生原理のものが太陽の活動が活発な最近ではうまくすると年に2回くらい見ることが出来ます。
季節的には11月の初旬の夜8時前後と言う事が多く、太陽が沈んで完全に空が暗くなってから空の一部がボーっと赤褐色に明るくなっている状態がしばらく継続する、と言った光景です。

昨年も11月5日夜にAurora市でも観測されています。
オーロラの発生は太陽の活動が活発でその磁気嵐により強い帯電した宇宙線粒子が地球へ吹き付ける時に地球の磁界に遭って発光する現象とたしか記憶していますが、事前に発生時間などが予測出来るようでこちらの地元TV放送で紹介されます。 しかしながらTV二ユースでそれを見ても常に見逃してしまっている天文無関心マニアの私です。

市の名前のAurora はもともとデンバーの中心に在る現在の州政府や州議会場の建物があるCapitol Hill 地域の土地開発で成功したシカゴから来た不動産屋のDonald Fletcher さんがその儲けたお金でデンバーの東の当時まだ未開拓だったオローラ地区の新規宅地開発を行ってデンバーとの間にトロリーバスを走らせたのが1891年の事で、1907年になってTownとなる時にそのフレッチャーさんが命名したのですが、当時オーロラを実際に見てAurora と命名したのかどうか不明です。 その後1929年になって人口が増えて来た事からデンバー市から独立してCityとなっています。

同じ公園内の バランスド ロック

2.インターネット・Eメールでの季節の挨拶状の送付については

我が家のネイテイブ・アメリカンだけでなく、何人かの知り合いに確認した結果、以下の様な結論です。 中年以降の通常のアメリカ人の認識としてお受け取り下さい。 (ヤング・ジェネレーシヨン間ではアメリカでも日本でもあまり今日では差が無くなってきていると思います。)
結論からすると、「気持ちを伝える事が重要で、カードと比べて失礼に当たるとは感じられない」と言う事です。

クリスマス・カード等の季節の挨拶だけでなく誕生日や病気見舞いなどカードでの気持ちの伝達はかなり古くからの習慣で、アメリカではそのカードの制作販売だけでHallmark社の様な大きな企業が成立しているのはご存知の通りです。 従って、その習慣が一時にインターネットの普及によって無くなってしまうと言う訳ではありませんが、近年になってそうしたカードをオンラインで注文に依って送付する事業が盛んになってきています。
日本と同様に、中にはなかなかこった出来栄えのカードもオファーしていて音楽なども交えて素晴らしい仕上がりのカードを選択する事が出来るように為ってきています。 当然自分のメッセージも入れる事が出来ますから、正にオンラインのカードと言う事になります。

そんな背景にあっても、やはり自ら選択したカードに手書きのメッセージの方が気持ちを伝えるには相応しい、とする気持ちが強いのは万国共通の様です。 また、受け取った人はそのカードを自分の部屋の壁に貼っておいたり、大切に保存しておいたり、と言う習慣がありますから、そうした意味からもカードの方が価値が有る、とするのがアメリカでの中年以上の人達の認識です。

この「コロラド便り」をまとめている3月27日の昼頃からデンバーでは再び雪が降り出しており、前回程ではありませんが、かなりの降雪量となるとTVの天気予報で伝えています。
やっと前回の雪が解けて消えてきたので明日には業者が前回倒壊して落下した突き出し屋根の取りかたずけに来てくれる事になっていますが、このまま又降り続くと延期せざるを得ないかもしれません。 イラク攻撃の戦線はますます激しさを加えて来ている事をTVが伝えていますし、外は今度は乾燥粉雪の降る寒空となっていますので、セントラルヒーテイングの温度を少し高めにセットしてTVで戦況を静かに眺めるきり無さそうです。

[ 以上 ]

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
Photographs copyrighted (2003, Vic Goh)
 
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