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コロラド便り(その40)
2006年2月1日(水)
萩原 正喜/コロラド

昨年の11月25日成田着で日本へ行き、1月25日成田発の便でコロラドへ戻ってきました。
正月を挟んでの2ヶ月という久し振りに長い日本での滞在でしたが、その間アルツハイマー症の進行している私の母親を老人介護ホームへ入居させて、新しい環境に慣れてきたと思っていたら朝方起き抜けに転倒して大腿骨の骨折と言う事で急遽入院手術に立ち会うこととなってしまいました。 お陰で生まれてはじめて 救急車に乗るという体験をしました。
幸い手術はうまく行って術後の経過も良好でしたので退院してリハビリ専門病院へと転院し、あとは当人のリハビリへの意欲に期待を込めて後の事は弟に頼んでコロラドへ戻ってきたところです。

私が戻る前まではコロラドでは毎朝摂氏零下20度の最低気温が続いていたようですが、私が戻ってから温暖な日が続いており、日本へ居た時より暖かい感じがする最近です。 それでも今シーズンはロッキー山脈の各スキー場では例年以上の大雪に見まわれ多くの積雪で大勢のスキーヤーで賑わっています。
カナダから越冬で来ている渡り鳥のGeese(ガチョウ・がん)達は若鳥達を交えての長距離飛行に備えての編隊飛行の練習で賑やかですが、飛び立つまでにはまだまだ一月程かかりそうです。

日本へ居た間には、多くの驚くようなニュースでTV放送や新聞が賑やかでしたが、コロラドへ戻ってきてから溜まっていた新聞や雑誌を見直して見ると、ライブドアー社のホリエモンの逮捕、裏日本での大雪による災害・死亡事故や列車脱線事故、ホテルやマンシヨンの耐震構造偽装、小学生女児の誘拐・殺人・死体遺棄など驚くほどの大事件が立て続けに発生して居たにもかかわらず羽越線の列車脱線転覆事故については小さな記事で死者4名と紹介されましたが、その後のフォローは無く列車の下から後になって女性が発見されて死亡5名となった事など知る由も有りません。 コロラドの地元TV放送や地元新聞ではこうした日本での出来事に付いては全く報道されておらず、改めて日本はコロラドの人々にとっては遠方のFar Eastの国なのだと言う実感です。

むしろ、年初め恒例の相撲の横綱朝青龍の明治神宮での四股を踏む様子がモンゴル出身のチャンピオンとして紹介されてやはりモンゴル出身の朝赤龍を太刀持ちに従えての奉納が写真入りで紹介されています。 地元の新聞社からは東京などへ駐在員を送っていないのでこうした日本での出来事をAP電などで紹介するだけとなっています。

アメリカ産牛肉の日本輸出の再度前面停止について:

やっと再開したアメリカ産牛肉の日本への輸出については政府間の合意でBSE防止の為入れてはならない事となっている脊椎が混入されていた事件で日本政府が前面輸入禁止の処置を取ったことに付いては、牛肉の日本への最大輸出州であるコロラド州では一大事件であり地元新聞では大きく紙面を割いて報じています。
アメリカやカナダでのBSE問題が発生する前ではアメリカの食牛肉の約10%に達する量が日本へ輸出されており、その内の約35%がコロラド州からの輸出で占められて最大輸出を行っていたのが突如全面停止となり、ヤットの事で再開に漕ぎ着けたと思ったらニューヨークの食肉業者の不手際で再び全面停止と言う事で大困惑のコロラドの食肉業者達となっています。

コロラド州の食肉業者数は12000軒で年間の事業総金額は40億ドルに達しており、その内の4億3500万ドルが2003年の外国への輸出金額となっていました。
BSE問題が発生した2003年末まではコロラドからの牛肉の輸出金額は4億3500万ドルで過去の最高を記録し、輸出先としてはメキシコがトップで2億3600万ドル、続いて日本が2位で1億6500万ドル、3位のカナダもほぼ同額の1億6500万ドル弱となっていました。
それが昨年の輸出総額で2億8800万ドルと大幅減少となっています。

昨年12月初めに日本への輸出再開にあたって日本政府からの調査視察団のアメリカ現地業者のチェックもコロラドの最大の食肉加工会社のConAgra社で行われました。 また、コロラドの牛はトウモロコシを主体とした飼料で育てられているのでアメリカでのBSE問題の発端となった以前にカナダからワシントン州に移送された牛にBSEが検出された時もコロラドの牛肉は大丈夫、と言う宣言をしています。

もともとアメリカの牛肉全体の90%はアメリカ人達の胃袋に納まっており何も問題が発生していないのだから、どうして日本人はそんなに神経質になるのだろうか? と言った実感を農務省関係者も含めて持っていたと考えられますが、今回の事でその管理状態が不完全だった事を露呈した結果となっています。
日本への牛肉の輸出はアジアのシンガポール、香港、韓国そして台湾への輸出にも影響を与え業者にとって大きなダメージとなっています。
やっと再開に漕ぎ着けた日本への輸出がニューヨークの1業者の不注意か故意かの間違いが大きな影響をもたらした事で今回アメリカ政府の農務省やコロラド州政府の農務部のメンバーに大変頭の痛い出来事となっています。

おりしもこの1週間はデンバーのコンベンシヨン・センターを中心会場として毎年恒例のNational Western Stock Show(全米西部畜産ショー)が開催されており牛、羊、豚などの競り市やロデオ大会などの催しが行われていますが、参加業者の話題の中心はこの日本への輸出の再度前面停止に集まっており、
「アメリカの牛肉は世界で最も安全なのだ。 日本への輸出再開は間もなく始まるだろう。」といった強調のアナウンスが各主賓の挨拶で行われましたが、政治的決着で再開をしても日本の消費者が買い控えをするので以前のレベルまで回復するのにかなりの時間がかかるという事に気が付いていないのではないか、という感じがします。 吉野屋の牛丼だけがアメリカ牛肉なのだと思っているのかもしれません。

Adam Aircraft社の双胴の小型ジェット旅客機の運行が開始:

何度かこのレポートで報告していますが、デンバーの南のCentennial 空港に本社を置くスタートアップの小型航空機会社Adam Aircraft 社が準備してきたツインジェットエンジンを積んだ小型旅客機A-700型がいよいよ今年から運行が始まります。
こうした新しい小型旅客機はVLJ ( Very Light Jet ) と呼ばれ価格は約150万ドルと従来の同サイズのものに比べて半値で、巡航速度は時速400マイル以上と同サイズのプロペラ機の2倍、離発着の滑走路としては3000フィート(915m)で充分と同サイズのジェット機が4000から5000フィートが必要なのに比べて短くて済む様になっています。

現在全米には大中小合せて約5500の空港が在りますが、商用旅客の98%がたった460個所の商用空港から発着しており、70%が30個所の大空港から発着しているのが現状です。
VLJを利用するプライベイト目的の他にAir Taxi やチャーター便への活用が予定されていますが、もっと広範囲の小空港への離着陸が可能となり大きくアメリカの航空業界の変化が見られるようになるとされています。
こうした事が実現するに当って小型ジェットエンジンの進歩が大きく寄与していますが、プロペラのレシプロエンジンに比べて保守・点検が容易で維持費も低く抑えられる点が特長となっています。
小型旅客機用のジェットエンジンは大型機用と同じくGE社とPratt & Whitney社とが競って開発を進めてきており今後大きな需要が生ずると予測されています。

Colfax 通りのマラソンレースの広告案内:

全米に在る一本道で途中で途切れる事無く続いている最も長い通りはコロラドのデンバーの中心を東西に横切っているColfax Avenue だと言われています。
この通りは東はオローラ市の東端に始まってデンバーの中心に在るコロラド州庁舎やデンバー市庁舎のあるキャピタルヒルを通過し、西端をLakewoodの町の西端で終る延長42kmの一本道で、かってデンバーの町が開かれた頃からのメインストリートです。
以前のこのレポートで紹介しましたが、このちょうどマラソンの42.195kmに近い長さが有ることからニューヨークマラソンやボストンマラソンの向こうを張ってデンバー地区の発展と活性化の為にマラソンレースを開催してはどうか、と言う案が浮上して今年の5月21日(日)にその第1回目の「コロラドColfaxマラソン」を開催する事となっています。
早くも地元新聞にはこのマラソン大会の広告が載っています。
デンバー市長、オローラ市長、レイクウッド市長の3名がマラソンシューズを肩から下げて並んでいる写真入りで「Post−News Colorado Colfax Marathon,Half Marathon,& Relay」と言う事でマラソンと同時にハーフマラソン及び駅伝も一緒に行う事となっているようです。

地元新聞のデンバーポスト紙とロッキーマウンテイン・ニュース紙とが主催者となって、今年のスポンサーとしてはファースト銀行、コロラド大学病院、Keller Williams陶器、ユナイテット航空、ハイヤット・リジェンシーホテル、KUSA第9チャンネルTV、セイフウエイ・スーパーマーケットの各社がなっています。
主催者は6000名の参加者があると期待しており、全米で最も長い通りで行う事から「Americaユs Main Street Marathon」と命名しています。 また、競技運営上のサポートメンバーとして1600名のボランテイアの募集を行っています。

金鉱山会社のNewmont Miningが世界一の座を失う:

Newmont社はデンバーに本社を置き世界の各地で金の採掘を展開している世界一の会社ですが、最近金の市場取引き価格が高騰を続けておりコロラドの元気印の会社の一つとなっています。
最近カナダのトロントに本社を置く現在世界第3位のBarrick Gold社がやはりカナダのバンクーバーに本社を置く世界第5位のPlacer Dome社を104億ドルで買収すると発表して、この買収が成立すると両社の金産出量を合せるとNewmont社の規模を凌ぐ世界一の規模となることになります。
ちなみに現在世界2位の金鉱山会社は南ア連邦のAngloGold Ashanti 社となっています。

関連各社の従業員数はNewmont社が14000名、Barrick社が5700名、そしてPlacer社が13200名となっています。

金の採掘は掘り出される多量の鉱さいの中から精製して取り出す作業であるために常に環境保護との攻めぎあいとなっており、最近のNewmont社の場合ではインドネシアでの採掘鉱山での環境破壊が国レベルでの大きな問題となって事業所長が逮捕監禁されるという事態まで引き起こしています。
そうした意味から、今まで世界一であったが為にこうした環境保護運動の標的となり易かったので、今回その首位の座を明け渡す事には歓迎の表明をしている同社となっています。

金の価格上昇については今までは日本の投資家の需要が資産運用の一貫として大きかった事が起因しているとされていますが、今後は現在経済成長が著しい中国の資産家の需要が継続的に大きくなるため今後の10年間位いは価格上昇が継続するものと見られています。

ユナイテット航空が会社更生法適用から脱出:

2002年12月に破産申請・会社更正法の適用申請を行なった当時最大の航空会社だったユナイテット航空社はその後経営の建て直しに鋭意務めてきましたが、今年の2月1日付けで会社更生法チャプター11の適用から外れ破産脱出が裁判所から認められて再生を果たしました。
この事はデンバー空港での半分以上を占めているユナイテット航空であり、デンバーでの雇用従業員数5500名を擁している最大規模の航空会社で有るだけに今回の会社更生法管理からの脱出は地元では大歓迎されています。

ユナイテット航空のチャプター11適用前の2002年の実績と昨年2005年末での実績とを比べて見ると;

  2005年 2002年
従業員数 58000 83000
所有航空機数 460 567
座席占有数 82% 74%
座席当たり運用コスト (セント/マイル) 10.4 11.2
燃料を除く座席当たり運用コスト(セント/マイル) 7.5 9.4
負債総額 170億ドル 300億ドル
メイン路線乗客数 1200万 1400万
Ted 航空の乗客数 27.2万
地方路線の乗客数 38.6万 21.6万
DIAでの占有率 54% 63%

といった基礎数字を残していますが、航空燃料の高騰が続くなかで格安航空運賃の競争に対応する組織を分社化したTed Airlines社をスタートした事やリースしている機体を含めて所有している航空機数についての削減を計ったこと、収益率の高い海外路線へのシフト、更には従業員数の大幅削減、従業員企業年金の制度改正などと大きな改革努力を行ってきて昨年末に同社のメインバンク2社からの新規追加投資が行われた事から破産申請当時の負債の返済を行えたので破産裁判所に対しチャプター11脱出申請を行って今回それが認められた、と言う経緯となっています。
また、DIA(デンバー国際空港)を所有しているデンバー市ではそれまで支払いが焦げ付いていたユナイテット航空からの空港使用料や税金の総額2160万ドルが入ってくる事となってホッとしているところです。

未だユナイテット航空は黒字に転換しておらず昨年末の4半期決算でも大幅な赤字を計上していますがアメリカでの航空利用旅客数が延びてきている事、体質改善努力が実を結びつつ有ることなどから今回のチャプター11脱出となった訳で今後も継続しての経営努力が要求されるものの年初の明るい話題とされています。


今年2006年も早くも1ヶ月が経過して2月に入ってしまいました。 どうも最近時の経つのが著しく早く感じられます。 ここのところデンバー地区では温暖な日が続いており、コロラドの厳しい寒さの冬といった感じが有りません。
しかしながら、まだ2月初めですのでこのまま暖かくなってしまうはずが有りませんが3寒4温で「もうすぐ春」と言う事だと思います。
杉の会の皆さんにおかれましては風邪など引かぬよう気を付けられ元気な毎日をお過ごし下さいますよう願っております。

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
 
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