コロラド便り(その20)
註:このコロラド便り(その20)には、萩原さんがご自分で撮影された写真を掲載しました。写真下の解説文と共にご覧ください。
(なお、フォトレタッチは郷さんです。) |
6月20日からがアメリカでは暦での夏の始まりと言う事になっていますが、5月も下旬に入っていよいよサマーバケーシヨンのシーズンに入ってきました。
アメリカでは日本のゴールデンウイークの様な国民一斉に休暇と言う事は有りませんがそれぞれに家族で旅行へ行こうなどと言う計画を立てています。
夏のシーズンは全米でも特に大型のキャンピングカーでの旅行を楽しむ人達が多く、ハイウエイでも多くのキャンピングカーが走っているのを見かける様になります。
こうした夏の旅行シーズンを迎えるにあたって今年は困った事が生じています。 それは全米各地でガソリンの値上がりが激しくなった事で、通常AAA(American
Automobile Association)の調査結果が全米の各地のガソリン価格の指標とされていますが、去る5月18日には始めて全米平均のセルフサービスのスタンドでのレギュラーガソリンの価格が1ガロン当たり2ドルを越えたと報告され大きなニュースとなっています。
コロラドの夏の必需品スワンプクーラー:
コロラドの夏は大変乾燥している為、各家では写真のような独特の冷房装置を屋根の上に取り付けています。 鉄のケースに入った1/4馬力のモーターで回す送風機と小さなモーター付きの水ポンプが入っていて、水道から水を供給して鉄ケースの下面へ水を溜めます。
横4面に着けている空気フィルターヘポンプで水を吸い上げて上からかけ流しとして、送風機で空気をそのフィルターを通して室内へと吸入します。
従って家の中へは湿度を含んだ冷えた空気が流れ込む、と言う事になります。
湿度の高い日本の夏には考え難い環境ですが、湿った冷たい空気で乾燥した部屋の中は丁度良い環境となります。 そして特に冷やしたい部屋の窓を少し開けておくとそこから吹き込まれた空気が流れ出して行く、と言う仕組みです。
水道の水は水溜にフロートが有って一定水位になると自動的に給水を止める様になっています。
フィルターにはコロラド名物のアスペン・ツリーの枝を細く割いて蔓状にした物が多く使われていましたが、鳥が来て巣造りの材料に咥えて行ってしまう為、最近ではスポンジ状のプラスチック製のシートがポピュラーになって来ました。
各家の屋根でこのスワンプクーラーが回り出すといよいよコロラドの夏本番です。
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カリフォルニア州など通常高い場所ではとっくに2ドルは越えて2.30ドル以上となっている地域も多くありますが、コロラド州はそうした中でもカナダからとテキサス州で産出する石油によって賄われている為ガソリンの価格は安い方ですが、AAAの同日の発表では州の平均で1.98ドルと全米平均とあまり変わらないくらいに上昇して来ています。
ガソリンが安いからと言う訳では無いでしょうがAAAの全米の人からの「今年の夏に旅行に行きたい州」の調査では全米で5位となり昨年の8位から大きく人気を上げています。
特にガソリンを多く消費する大型キャンピングカーにとっては余分な出費をこうした旅行者にかける事となるのでその影響が心配されています。
一方、航空便の方もやはり航空燃料が高騰してきていますのでデンバーをハブとしているContinental Airlines社では早くも国際便運賃の値上げを発表しており、その他の航空各社も追従するかどうか見守っている様相です。
しかしながら、2001年の9月11日の同時多発テロ発生後の極端な旅行者の激減は既に回復して以前の状態を凌ぐ程になって来ていますが、もともとはOPECの生産縮小から端を発しているこうした石油燃料の高騰は旅行者のみならずアメリカ経済全体にも徐々に悪い影響を与えるのではないかとの予測がされています。
AAAでは現在のところ車での旅行者の減少と言う事は見られず昨年に比べてガソリン代金の負担は全体の平均経費の3%の上昇となるが今年は宿泊料金と食事にかかる費用が安くなっているのでガソリン代と相殺するとしています。
芝生への自動散水スプリンクラーシステム:
コロラドの夏は陽射しが強く大変乾燥するので水の供給無しでは庭の芝生は直ぐに枯れてしまいます。 我が家では家の表と裏庭のかなりの面積が芝生となっていて夏の散水は一仕事です。、水不足の解消の為市条例で奇数のハウス番号の我が家は水曜と土曜の朝10時以前か夕方の6時以降きり散水が許されていませんので時間や曜日を憶えておくのも大変ですが、そのタイミングを逃すと芝生が弱ってしまいます。
今までホースで一々場所を移動させて散水していたのですが3年前にこれらの事を自動的に行なわせる為のスプリンクラーシステムを設置しました。
水は元栓から芝生の下の地中に配置されたパイプを通って各端末のノズルへ供給されますが、元栓の所に自動のON/OFFする弁が付いていて無線で家の中に設置したプログラミング・コントローラーと接続されており、そのセットされたプログラム通りに弁を開閉させて所定の個所のノズルから所定の曜日の決まった時間に散水をする様になっています。
停電でもバックアップ電源入りで問題無く動作するので、留守にしていても散水しないで芝生を枯らしてしまうと言った心配が有りません。
各散水ノズルは通常は芝生の下に隠れているのですが、散水時には写真の様に水圧で地上へせり出して来て自動的にスイングして広範囲へ撒水するようになっています。
冬の水が凍結する前にはコンプレッサーを積んだ車が来て各パイプからの水の抜き取りをします。
専属の会社に料金を払って維持管理を依頼する訳ですが、如何にもアメリカ的なシステムです。
この方が手動で散水するより結果として水の使用量が少なくなるので市当局ではこうしたスプリンクラーの設置を推奨しています。 |
オローラ市誕生113周年:
私の住んでいるオローラ市がデンバーから独立して市となってから今年で113年となります。
113周年を記念してオローラ市が主催して市の歴史博物館で市民対象のパーテイを開催するという案内が各市民に出されています。
オローラ市は市内を東西に走っている全米で一番長い連続した通りと言う事になっているColfax Avenueを中心として現在よりずっと狭い長方形の地域が当初市として成立しましたが、その後デンバーのベッドタウンとして人口の増加とともに南及び東へと拡大して現在ではこの旧オローラ市の約10倍くらいの面積の市となっています。
当時このColfax 通りが主要幹線の道路で国道70号線のハイウエイが出来るまではこのColfax 通りを東へ辿って東隣のカンサス州迄行く道となっていました。
また、西に辿ればデンバーのダウンタウンを通過してロッキー山脈の山越えの道へと続いている主要道となっていました。
私の家内の話では30年前ほどでもまだ、このColfax 通りには馬に乗った人や馬車が通っていたと言う事で今でもオローラ市の中には馬を調教したり飼育したりする小さい牧場が多く街中に在ります。
当初このColfax 通りにデンバーからの市街電車が敷設されて交通の便利さから人口が増加し住宅地として発展したのですが、現在では電車は廃止されてバスが運行されています。
旧市街地区の北東の隅には広大な敷地で以前に陸軍の医療センターのFitzsimon Army Hospitalが在った場所が占めており、現在ではオローラ市に返還されてコロラド大学の医学部の健康科学センターとして多くの建物が新築されてデンバーの街中に在る医学部所属の大病院も将来移動してくる事となっています。
また、この敷地内部には18ホールのゴルフコースや25m・6コースの冬でも泳げる室内温水プールも在って現在ではオローラ市が市民用に管理運営しています。
2000年に実施された国勢調査時の人口の年齢層別の構成比で見てみると、特にオローラ旧市街地区でのフィスパニック系の20才から29才の年齢層と10才以下の年齢層の人口が突出しているのが特徴的となっています。
これらはメキシコからの若年の移民労働者達が集まって住んでいる地域であることを示しており、近年その子供たちがこの地区で多く誕生している事を示しています。
アメリカに於けるマイノリテイ人種の多数は今や黒人では無くなってヒスパニック系となっていますが、彼等は主としてカソリック教徒であるため避妊に対して否定的である為にどの家族も子沢山で若年層移民の増加とともに急速な子供人口の増加となって政府当局が人種構成バランスの破綻を心配するほどの現象として表れています。
オローラ市に於いてもこの旧市街地区はリトル・メヒコと思える程のヒスパニック街となっています。
オローラ市に関する基礎数字:
オローラ市をいろいろな面から紹介する小雑誌「オローラ・ガイド」の今年版が発行されています。 その中に市のいろいろな基礎数字が載っていますので紹介します。
オローラ市の人口は: 29万1418名(2003年末現在)
オローラ市の面積は: 144平方マイル(368.64平方km)
ヒスパニック(主としてメキシコ系)又はラテン系の人口比は: 全人口の19.8%
住民の平均年齢は: 31.7才
所有している公共貯水池の数は: 3個所
市の管理している公園の数は: 80個所
パブリックのゴルフコースの数は: 7個所
図書館や市のリクレーシヨン・プログラムの数: 8000
年間の日照日数: 310日
市内で営業している店や会社の数: 大小合せて10400
市内の道路の総延長距離: 1015マイル(1633km)
市内の下水道の総延長距離: 670マイル(1078km)
市内の小売店の総売場面積: 1100万平方フィート(102万平方km)
市に登録されている飼い犬の数: 56508匹
市に登録されている飼い猫の数: 63150匹
Smith (スミス)と言う苗字の家の数: 1178軒
春の平均総降雨量: 5.17インチ(131.3mm)
市の公式な海抜: 5428フィート(1653.5m)
市が誕生した年: 1891年(113年前)
市の中で一番高い地区の標高: 6229フィート(1898m)
市の赤道からの距離: 3212マイル(5168km)
市の南極からの距離: 8951マイル(14402km)
等となっています。
電話線の接続ボックス:
こちらの各家へ引き込まれている電話線は殆どが地中にパイプに納められて埋設されていて、やはり地中に在る幹線との接続の為にこの様な大小の接続ボックスが道路脇へ設置されています。
こうしたボックスは鋼鉄性の丈夫なもので鍵がかけられていて電話会社の人のみが必要に応じて開けられる様になっています。
内部は中継器と接続端子がギッシリで、電話新設や故障などの時にここから接続チェックを行なう様になっています。 町のあちこちに設置されていて美観と言う面では異様な感じを与える物で感心しませんが、市民生活には欠かせない電話ですので市民からのクレームは聞きません。
ケーブルの幹線のターミナルも同様な形態ですが、以前は電話会社のQwest,ケーブルTV会社のAT&T Broadband
社がそれぞれ競っての光ファイバー幹線の敷設で町のあちこちで埋設工事をやっていましたが、それも最近では一段落しています。
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今年が最後の運行となるGeorgeTown Loop鉄道:
コロラドには規模の差は多少有りますが5個所の観光に特化した鉄道があって、何れもかって金銀の鉱山からの産出に伴ってその輸送の為に活躍したルートを観光用として再開発した路線です。
ジョージタウン・ループ鉄道は現在の国道70号線に沿ってデンバーの町からロッキー山中の金や銀鉱山への器材運搬や労働者の運搬に活躍した鉄道の一部で、現在の国道70号線もそうですが特にGeorge
Townの町から急激な上り勾配となっていて鉄道としては最も難所であった場所で当時の技術としてスイッチバックの方式やループ方式などで高度を稼ぐ方式が取り入れられていてその如何に難所であったかが現在でもしのばれる場所となっています。
この最も通過に困難であった場所のGeorgeTownの町から更に登ったSilverPlumeの町まで延長4.5マイル(7.2km)の距離の路線を改修しループの部分などを路線に取り込んで、当時の蒸気機関車や車両に手を加えて30年前の1974年から観光用としての運行を行なって来ています。
7.2kmを1時間10分かけてユックリ走る狭ゲージ軌道(日本のJR在来線と同じレール間隔)で運行はGeorgeTown Loop Railroad社が蒸気機関車や車両を保有して当たっており、線路や土地を所有しているColorado
Histrical Society が資金援助を行って今まで運営が計られて来ていました。
パートタイマーを含む総勢60名の従業員で運営されており、昨年のシーズンには総計で11万5000名の観光客を運んでいるとしています。
この2者間の契約は30年間と言う事で始まっていますが、今年がその最終年度となることから契約更新の話し合いが行われて来ましたが、最大の困難点は蒸気機関車の保守や維持に費用がかかり過ぎる事で、交渉は物別れとなって遂にその30年の運行を今シーズンの終る10月で閉じる事となっています。
Colorado Histrical Society では現在来年の5月からの運行再開を目指して新たなスポンサーを探していますが、もし見つからない場合はそのまま閉鎖となってしまう事となっています。
地元新聞へのこのジョージタウン・ループ鉄道の観光案内の広告では、Last Year of Operation (今年が最後の運行)と言う事をうたっています。
GeorgeTownの町はデンバーからも国道70号線で便利な山合いの昔風の町で、私も家族を連れて昼食などを食べによく遊びに行きましたが、そのかっての鉄道の難所の当時がしのばれる風情が残る町です。
こうした歴史を語る鉄道は貴重な遺産ではありますが、その維持には動いて乗客を運ぶ物だけに費用が沢山かかり、また蒸気機関車の様な保守が大変なものも含まれているので徐々に消えて行く運命に有るのかもしれません。
また、当時としては鉄道が如何に重要な輸送手段であり困難が伴っても克服して建設して来たと言う歴史も人々の目から同時に消えて行く事になります。
デンバー国際空港(DIA):
現在のデンバー空港は以前もう少しデンバーの町の近い所に在ったStapleton空港に代わってデンバー市が1997年に建設開港したものです。
従ってその施設はデンバー市の所有で管理運営もデンバー市が行っています。
広大で平坦な敷地の中へタップリと余裕の有る3600mの滑走路5本で運営して来ましたが昨年世界一の長さと幅を誇る4600m滑走路が完成して運用に入っています。
デンバー空港の扱う乗降客数は昨年一年間の実績で3750万人となっており、羽田空港には及びませんが世界で10番目でアメリカ国内では5番目の空港となっています。
デンバー空港のシンボルは何と言ってもそのメインターミナルの屋根がテント張りとなっている構造で遠くから見るとあたかも雪を被ったロッキー山脈を思わせるユニークな外観となっている事です。
このテントは日本テント社(昔の天野テント)製で空港創業以来破損と言う事はたった一度だけ昨年の11月下旬に氷を伴う強い風雨が襲った時にテントの支柱付近の高所に氷で付いた傷が原因と思える大きな裂け目が入って内部の人々が他の場所へ避難すると言う事態が生じましたが、それ以外には何事も無く使用されていますのでなかなかの耐久性のテントと感心しています。
今私の楽しみにしている事はこのDIAから成田行きの直行便が何時飛び立つか、と言う事です。
今まで高地の為ジェット気流に逆らって飛行する沢山の燃料を積んでの離陸が無理の為、シアトルやサンフランシスコで乗り継ぐ必要がありましたが、長い滑走路が出来たのでこれからは可能となります。
日本の景気が回復して乗客数が増えれば直行便の開設となると思います。
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6月は全米自転車通勤の月:
アメリカでは自動車での通勤をやめて自転車で家と職場を往復する自転車通勤奨励の月に6月はなっていますが、デンバー地区では6月23日(水)を「Bike
to Work Day」として交通渋滞を緩和して身体の健康増進を計ろう、と言う事で特別案内が市当局から出ています。
6月23日にはデンバー地区合計で100個所以上の休憩場所が設けられて自転車通勤の人達は無料で朝食のサービスが受けられる他に記念のマーク入りTシャツが5ドルで購入出来ます。私の住むオローラ市では3個所の休憩所が設けられる事になっています。
更に市当局ではこの日の為に2ヶ月間有効な市営バスの2回分の無料切符を配布して自転車通勤が出来ない人の為に供しています。
この日ばかりはデンバー警察もオローラ警察も自転車優先の交通規制を敷いてその安全通勤とこの運動の効果が上がる様に務める事となっています。
自転車によるロッキー山脈縦走ツアー:
毎年このシーズンになるとコロラドの自転車マニアをウズウズさせる催し物として自転車によるロッキー山脈の縦走ツアーが6月下旬から7月初めにかけて行われます。
毎年コースを変えて実施されるので今年のコースはどうなるかと言う興味も有りますが、1週間かけて自転車で全コースを走破するもので、今年も早くもその案内予告のパンフレットが各公共施設やレストラン等に置かれてあります。
毎年その参加者数は2000名に限定して実施されますが、事前に申込者からの抽選で参加者が選ばれる仕組みとなっています。
今年のコースはコロラドの北の山岳コースが選択されており、コロラド州立大学の町Fort Collins の町を出発点として延長411マイル(658km)を途中1日の休憩日を挟んで5日間で走破して再びFort
Collins の町へ戻ってくると言うコースとなっています。
山岳コースなので全面舗装路のコースではありますが、もともと標高が高く空気が希薄なのに加えてその高低差では大変厳しいものがあります。 特に2日目のコースはロッキー山脈国立公園の中を通過するTrail
Ridge Roadのコースでその最高点は12183フィート(3713m)と富士山の頂上に匹敵する高さを越えなくてはなりません。 また、毎日1個所、全コースで5個所の峰を越える事となるのでその合計高度は10083フィート(3073m)を稼ぐ事となるとしています。
途中のSteamboat Springs の町には文字通り温泉もあって、ここで1日の休養を取る事となっています。
貸し出しテントの運搬車などサポート部隊がバイカー達と一緒に移動し夜はテントでの睡眠を摂る事になります。
この自転車ツアーが始まってから今年で10回目に当たると言う事でConquer the Ridge「トレイルリッジを征服しよう」と言うタイトルが今回の催しに付けられて夏の初めを飾るコロラドらしい主要イベントの一つとなっています。
毎年恒例のこの自転車ツアーはBicycle Tour of Colorado と言う専門の協会が主催して運営に当たっていますが、今年はペプシコーラ社を始め健康ジムや自転車業者そして地ビール会社、Steamboat
Springsにあるシェラトンホテルなど多くのスポンサーによって運営される事となっています。
陸軍病院跡地に建設中のコロラド大学医学部病院キャンパス:
以前に陸軍の医療センターのFitzsimon Army Medical Centerが在った広大な敷地は3年前に軍からオローラ市へ払い下げとなって、現在ではコロラド大学の医学部の健康科学センターとして多くの建物が新築されてデンバーの街中に在る医学部所属の大病院も将来移動してくる事となっています。
また、この敷地内部には18ホールのゴルフコースや25m・6コースの冬でも泳げる室内温水プールもあって現在ではオローラ市が市民用に管理運営しています。
写真中央の大きな建物は以前の陸軍病院のメインビルデイングで内部や外装は改修はされましたが外観や構造はそのままコロラド大学の医学部で使用されています。
この建物の周囲には既に大きな幾つかの建物が新築されましたが、現在でも大型クレーンが3基ほど活動しており大建設工事が進行中です。
これらの建設工事は国の援助を受けてオローラ市が推進しており、完成するとコロラド大学を始め関連する企業へとリースされる事になっています。
目下の所オローラ市にとって目玉の大プロジェクトとなっています。
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JVCの酒に浸した木製コーンスピーカーの紹介記事が載りました:
雑誌ポピュラーサイエンスの5月号の何時も目新しいユニークな物を紹介するWhat'sNew の欄では「酒がスピーカーの音をまろやかにする。 アルコールとなら全て良くなりそうだ!!」と言った見出しでJVCの酒に浸して作った木製のコーンを使ったスピーカーの紹介がされています。
桑畑さんの名前なども出て来て大変懐かしい思いがしました。
「ここ20年間JVCの技術者の桑畑敏勝は理想のスピーカーコーンの材料として木材を使用する事を夢見て来た。 音波の伝播が広い周波数範囲にわたって木材は速く、なお且つ良好なダンピング特性を示すのでスムースな周波数応答を示す。しかしながら木材をシート状にしてコーンにする時に割れたりヒビが入ったりせずに作る事は今まで不可能とされていた。
同僚の一人が地元のレストランで固くてゴムの様なスルメイカを柔らかな一口食に変えるのを見て驚くまでは実現しなかったが、その事が解決方法を示してくれた。
単にイカのアミノ酸を日本酒が柔らかくしただけなのだが、同様に木材だって酒が柔らかくする、と思った。
桑畑さんの忍耐強さのお陰でJVCは世界最初の木製コーンのスピーカーの製造に成功した。JVCのDVDコンポーネントEX−A1型(550ドル売り)と一緒に購入可能である。乾杯!!!」
と言った内容の記事となっています。
また、ユニークなデザインの家庭用商品で売っているThe Sharper Image 社 の「父の日」号のカタログにもこの木製コーンスピーカー付きのJVCオーデイオシステムが掲載されました。
その解説ではBirch と言っていますのでケヤキの木を使ったコーンなのでしょうか?
D2Audio 社のPWMアンプ:
Dクラス動作のスイッチングアンプについては大分昔に日本ビクター・オーデイオ事業部で遊佐さんや篠崎さんがその商品化に取り組んで、当時大変苦労された事が思い出されます。
今回D2Audio 社で発売したスピーカーシステムはXS250型は384kHzのスイッチング周波数のPWMアンプを内蔵しており、DSPによりMOS−FETの最適駆動制御を行なう様になっています。
この内蔵MOS−FETアンプは100Wから2kW迄の各最大出力用に設計されており供給電源電圧に依ってそれぞれの出力に対応出来る様になっています。
このシステムでは4オームのスピーカーへ最大250Wの出力を供給し、周波数レンジは20Hzから20kHz迄+/−0.5dBでTHD (Total
Harmonic Distortion) + Noise レベルは0.05%以内、SN比は105dB以上となっていると言う仕様で、スピーカー駆動出力をモニターしておりデジタルに変換してDSPへ戻すアダプテイブ・フィードバックによって出力の低歪化を計っているとしています。
こうしたスイッチングPWMオーデイオアンプはそのD級動作の出力効率の良さから駆動素子の発熱を気にしなくてよい点で大きなヒートシンクを必要としない事が特徴ですが、
最近小型低出力の用途のものから利用が広がって来ていますが、こうした本格的な大型大出力の物に付いてはそのスイッチング周波数の外部不要輻射がFCC基準レベルをクリアーするのが困難な事から今までは殆ど使用されてこなかった訳ですがこの商品が不要輻射レベルでどの水準に有るのか確認してみたい気がします。
当然こうしたスピーカーへは供給電源が内蔵でありパワーコードが付いている事となります。 供給電源の方も発熱防止の為スイッチング電源を採用するとなるとこちらの不要輻射についての対策も大変となりますので、このシステムでは電源の方はどう対応しているのか現物を確認したい気がします。
今後大型TVセットの内蔵スピーカーシステム駆動用などではこのメリットが最も利用し易いシステムと言えそうですが、一方、野外でのコンサート用のスピーカーシステムやPAシステムの拡声装置等への応用では最適と言えると思います。
信号の供給は光ファイバーで行なってスピーカーボックスに電源コードが付いていると言った構成のものがやがて主流となって世の中で広く使用される様になるかもしれません。
なお、このスピーカーと一体のXS250型の他にD2Audio 社ではそれぞれ同じ構成のPWMアンプとして次の様な商品を揃えています。
* XR125 型 − AVレシーバー用、ホームシアター用の125W max. / 8 Ohms x 7ch (@$150 / 1万個)
* XM100型 − 各部屋へ設置したスピーカーへAudio を分配する用途
* XC100 型 − 各場所へ設置したスピーカーへAudioを分配する業務PA用途
等となっています。
オローラ市にあるプレスベテリアン派の教会:
オローラ市には多くのキリスト教会が有りますが、写真では植木に隠れて良く見えませんがその中でも比較的大きな建物と信者数を有する新教の一派であるFaith
Presbyterian教会です。 大分昔の事となりますが私と家内の結婚式もこの教会で挙げました。
また、カントリーの歌手で「Country Road」の大ヒットで有名であったジョンデンバーが以前にモーターグライダーの墜落事故で亡くなりましたが、その時の葬儀は彼の母親がオローラ市に住んでいてこの教会の信者と言う事でこの教会で盛大に催されました。
私の家からは歩いて行ける距離でデンバーへの通勤路で朝夕混み合うAlameda Avenue 沿いにあります。
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開封して24時間経つと消えてしまうDVD映画デイスクが発売:
ニューヨークのFlexplay Technologies 社はデイズニー傘下のビデオ販売会社Buena Vista Home Entertainment
社とタイアップして、袋に封止してありユーザーがその封を切って空気に晒されると48時間で最初赤色だったのが黒色に変わって内容が読めなくなるez-D
と言う商品名のDVD映画デイスクのテスト販売を全米の4都市で始めました。
イリノイ州Peoria,サウスカロライナ州Charleston,テキサス州Austinとコロラド州のデンバー地区が最初のテスト販売地域に選ばれて各地元TVの宣伝が4月下旬から始まっています。
何故デンバー地区が選ばれたかと言う理由は地元の小売店が取り扱いに熱心であったのと全米でのDVDのレンタル及びセルビデオで上位に付けているからであるとしています。
販売は7Eleven を始めとするコンビニエンス・ストアーとBPやPhilips 66 などのガソリンスタンドとで行っており、1タイトルが5.99ドルで売られています。
現在、このez-D は50タイトル以上がリリースされていますが、各店には32タイトル以上が展示されている現状です。
Buena Vista 社で扱っている映画のレーベルはWalt Disney,Touch-stone,Hollywood Pictures,Miramax,Dimensionの各スタジオの作品ですが、今後Buena
Vista ではタイトルを順次増やして行く計画としています。
また、Flexplay社では他のビデオ販売会社とのタイトル・リリース契約を進めており今後多くのタイトルが提供出来る事を期待しており、併せて販売地区の数も増やして行く計画であると言っています。
このez-D の仕組みのメリットはレンタルの様に返却する手間が不要であること、会員登録が不要な事、返却遅延料金の支払いが不要、そして買って来てから見たい時に封を切って48時間以内なら何回でもユーザーはそのプログラムを鑑賞する事が出来て、時間が過ぎればごみ箱へ捨てるだけで良い、と言ったメリットであるとしています。
DVD映画の新譜はまだ1タイトルが19.99ドルが一般的な価格ですが、旧譜やヒット新譜でないものは9.99ドル売りが通常となって来ていてez-D
の価格の5ドルに近ずいて来ている現状です。 また、現在、郵便を使うDVDレンタルシステムのNetflix 社が今まで業績を急激に伸ばして来たが、通常のレンタルを含めて今後どのような競合を展開する事になるでしょうか?
CDの寿命面での問題が出始めて注目されている:
1980年代にCDが発売されてから年月が経過して、CDを趣味のコレクションや仕事用のデータなどとして保管していた物が久し振りに取り出して演奏して見るとまともに演奏してくれない、と言ったケースがアメリカで話題と為り始めています。
地元新聞で紙面を割いて取り上げている記事では、取り扱いや保管方法に注意しないと100年はもつと言われるCDもダメになる、DVDでも同様である、と言った内容で各注意点が上げられています。
データ保存と言う意味ではこうしたROM型のCDを書き込み型のデイスクへコピー更新する方法が考えられるが、その書き込み型CDも信頼出来るメーカーのものを使う事が推奨されています。
こうした場合は特に反射膜のアルミ層の腐食によるものが主な原因となっている様でデイスク製造メーカーの製造管理が悪かったのが原因とされており、併せてユーザーの取り扱いの悪さが原因しているとしています。
現在の所、こうした問題のデイスクは1980年代のCD初期の物がほとんで、国の研究機関であるNIST(National Institute of
Standard and Technology −国立標準局)では連邦議会の図書館(日本で言う国会図書館)の依頼で特に書き込み型のCDやDVDの寿命に関する調査を開始しており、ユーザーサイドでの適切な取り扱いガイドの必要性と併せて製造メーカーサイドの問題として寿命に関する標準のテスト方法の確立の必要性を上げています。
また、特定なメーカーの場合でもその使用材料や製造工程をユーザーには知らせる事無く変更している事があるので追跡し難くしていると指摘しています。
DVDの場合はCDに比べると保護層側に付いては張り合わせ構造となっている為CDに比べて丈夫であるが、特に初期のデイスクではこの張り合わせ部分の長期で強度が不足するものが有って問題を発生している、としています。
いずれにしても、ユーザーサイドの取り扱い不注意で済まされているうちは良いとしても、各製造メーカーの品質管理に事が及ぶ様になると各メーカーの実力が試される時期となって来ていると言えそうです。
コロラドに在る三井化学の光デイスク製造工場:
日本の三井化学の子会社の三井アドバンスト・メデイア社はコロラドスプリングスの町の北外れにあって当初CD-Rデイスクの製造工場としてスタートしましたが、ビジネス用の高性能・高信頼度デイスクのMitsui
Gold として市場での信用を勝ち取り、価格も通したビジネス運営を行なって来ています。
最近DVD-Rデイスクの製造にその主体を切り替えて、同時に会社名もMAM−Aと変更しています。
「プロフェッショナル・グレードのDVD−R」と言うCD-Rの時と同じ高級販売路線をDVDでも踏襲していますが、同社の広告では3つの特長を訴求しています。
* デイスクのベストな互換性確保に重要な染料は独自特許の物である。
* 業界で最もエラーレートが低いDVDメデイアを供給するために細心の注意を払った生産をしている。
* 張り合わせ強度面でベストな耐久性を有している。
TVプログラミング会社Starz Encoreの創業者John Sie氏が引退:
デンバーに本社を置くケーブル、衛星のTV放送各社へ主として映画プログラムの制作供給を行っているプログラミング会社 Starz Encore
Groupは現在ではHBO, ShowTime と並んで主要な位置をTV放送業界で占めています。
同社は創業者のJohn Sie 氏が当時アメリカで最大手のケーブルTV会社であったTCI社からスピンオフして1991年に創立した会社で、今回そのJohn
Sie 氏が同社のCEOの役を6月末で下りる事が発表されました。 その後同氏は会長として同社に留まるが現役からは引退する事となるとしています。
同社の主要株式は株式保有会社であるLiberty Media 社が所有しており、大きく複雑になり過ぎたLiberty 社は現在その社内構造改革を実施中ですが、その傘下の企業としてのStarz
Encore 社がプログラム用としての映画の放送権利取得に費用がかかりすぎて経営上不調と為って来ている事からJohn Sie氏の引退はその組織人事もこの際に入れ替えて業績改善を計ろうと言う政策の一貫と見られています。
地元新聞では同氏のこれまでの経歴を含めて紙面を大きく割いてこのニュースを報じています。
John Sie 氏は1936年に中国の南京で生れ現在68歳ですが、 第2次大戦が終って中国本土を共産党が支配しはじめる1949年の最後の船で台湾へ家族で渡り、更に翌年ニューヨークのStaten
Island へ移住しました。 男3人兄弟の次男で大学で電気工学の博士課程を終了してから、当時のMicroState Electronics社へ入社しましたが、後に同社はRaytheon
社に買収され、その後Jerrold Electronics 社の新設部門の長として移籍し、この時の社長が現在のLiberty Media の会長を務めているJohn
Malone氏でした。
3年後にプログラミング会社のShowTime社の営業部門の責任者に転じて、更に9年後の1984年にJohn Malone氏とともにケーブルTVの最大手TCI社の上席副社長として務めて、1991年にベンチャー企業としてスタートしたEncore社の責任者となりましたが、後にStarz
部門を追加してStarz Encore GroupのCEOとして今日に至っています。
毎年恒例となっている「デンバー国際映画フェステイバル」の主催者の一人を務めており、世界各地からの応募上映映画の収集にも努力しています。
先日ニューヨークで開催されたLiberty Media 社の株主総会は5時間に及ぶ長時間の総会となりましたが、その時の決定事項としての大きな2つの項目は、
* Liberty Media は日本のケーブルTVの最大手のジュピターテレコム社の株式の45%を所有しているが、近く株式の上場を予定している。
* 傘下のStarz Encore Group 社では同社独特のSVOD(Subscription Video On Demand)サービス及びインターネット上でビデオゲームマシンを通して映画やその他のプログラムを可能とするサービスでこれからの発展を期する。
と言う事を上げています。
併せて、Liberty Media 社は日本の東京地区で60万軒の視聴者を持つケーブルTV会社のMediatti Communication社を8200万ドルでその株式の23%を取得する事を発表しています。
このMediatti社はブロードバンド・サービスも併せて運営しています。
常にアグレッシブなLiberty Media 社の活動ですが、今回の報告でJohn Sie さんが創り上げたStarz Encore社の歴史が一つの節目を迎える事となります。
日本ではこれから梅雨の季節に入ると言うことで風情をもたらすとともに湿度の高い日が続きうっとうしい季節を迎える事になりますが、皆さん健康に気を付けられ元気にお過ごし頂くよう祈っています。
コロラドではそうした梅雨が有りませんのでこれからは強い陽射しで乾燥した夏となりますが朝晩には気温が下がって寝苦しい、と言った事は有りません。
5月25日(土)にはデンバーの北のコロラド大学のキャンパス町のBoulder では毎年恒例の10マイル市民マラソン「Bolder, Boulder」が開催され1万5000人のランナーが参加すると言っています。
私自身は空気の薄いコロラドでのマラソンをする元気はとても有りませんが、元気にこの夏を乗り切ろうと思っています。
「 以上 」
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