コロラド便り(その1)
前回9月28日に開催された第4回「杉の会」には事前に幹事より連絡を頂いていたにもかかわらず出席出来ず皆さんの元気なお顔に接する機会を逸してしまい大変残念に思っています。
現在、私はアメリカのほぼ中央、西から1/3くらいの所にあるコロラド州の首府デンバーの隣町のオローラと言う町に住んで丸6年が経過しました。
それ以前に家族は12年前に移して私が逆単身赴任の様な感じで時々コロラドへ行くと言う生活をしていましたので、早くも総じて約10年以上が経過した事になります。
コロラドは皆さんもご存知の様にロッキー山脈が州の中央を南北に走っている地域でアメリカの中でも田舎で特に放送通信や宇宙軍事産業に強いハイテク企業の集まっている州と言う事が出来ます。
コロラドの様子などについては追って徐々にご紹介させて頂くとして、今回この「杉の会」のホームページ立ち上げのご案内を頂き、皆さんへの日頃のご無沙汰のお詫びと何か日本と変わった興味を持って見て頂く私の身の回りで起きている事柄のご紹介を兼ねて「コロラド便り」として継続しての寄稿をさせて頂く事になりました。
皆さんに興味を持って見て頂けるような内容での便りがお伝え出来れば、と考えております。
ご高覧頂き、何か気が付かれた事やご質問、ご忠告など有りましたら、masahg@ix.netcom.com
の私のE-Mailアドレスまでお知らせ頂ければ幸いです。
コロラドの近況から:
我が家の周りはもうすっかり晩秋の気候で家の前に有る2本の大きなカエデの街路樹の落ち葉の清掃が毎日大変でしたが、それも殆ど落葉し、ロッキー山脈でのアスペンツリーの紅葉(葉が真っ黄色に変わる)の時期も過ぎて朝晩には気温が摂氏零度を割ることも増えて来ました。
庭の芝生への追肥(Fatterize)やスプリンクラーの水抜きなどの冬の準備(Winterize)も終えて、後は11月21日(木)の Thanksgiving
Day ---毎年11月の第4木曜日--- から年末のクリスマスにかけて始まるHoliday Seasonを待つだけとな って来ています。
今年のコロラドでの大きなトピックとしては下記の様な項目が挙げられます。
(1) 昨冬シーズンに於けるロッキー山脈への降雪量が例年に無く少なかった事からその積雪による雪解け水の貯水に年間消費の殆どを頼っている水の供給不足が深刻であった。
極端な乾燥状態からくる水の供給不足については早くから対策が取られてきたものの、ますます深刻となって、私の住んでいるAurora市では今までの3日毎の芝生や洗車のための散水制限規制に加えて今年の9月には更に日曜日の散水が完全禁止となり、丁度散水日が日曜日に当たると丸々5日間芝生への散水が出来ない事となった。
更に散水日であっても散水時間は合計で一時間以内に制限され、午前7時から午後7時までの間だけ許される、と言う事になっていた。
新たに芝生を植える事は許されなくなって10月15日以降については芝生への散水は手散水以外のスプリンクラーによる散水は完全禁止、という措置がとられて来た。
我が家を含め近所の芝生では水不足からくる部分的に芝生が枯れてしまう症状が発生したが、陽射しも弱くなって夕方の降雨も期待される事から何とか全部枯れてしまうことは避けられたが、この水の使用制限はこの冬に於いても継続規制が実施される。
日本での水不足と違って飲み水の制限と言うところまでまだ行っていないが、今年の冬の 積雪がまた少ないと来年の夏には深刻な事態となると考えられている。
原因としては水源での積雪量が少なかった事もあるが、併せてコロラド州がここのところ全米一の経済発展を遂げて来た事から人口の急激な増加が生じてこの5年間に州全体での人口増加が100万人に及ぶという水消費の急増に水資源確保が追いつかなかった、と言われている。
(2) コロラド州全域での極端な乾燥状態から3月下旬にデンバーの南西の山麓で発生した大規模な森林火災を始めとして、一旦治まったものの5月初旬よりコロラド各地での森林火災は次々と各地で発生して9月の下旬となってやっと完全に治まった、と言うことでその焼失面積は膨大なものとなってしまった。
京都議定書の地球温暖化ガスの発生などは消し飛んでしまって、アメリカ政府・議会がその批准をしなくて良かった、などと言う冗談も出た程である。
コロラド州の冬のレジャーの主体を占めるロッキー山脈中の各スキー場では今シーズンは自然降雪に頼る事は諦め昨シーズンに急遽設置した人口降雪機を増強して11月中旬からの開場をそれぞれアナウンスしている。
(3)もう一つの心配な種は2年程前の夏にアメリカ東海岸の地域で認められた西ナイル脳炎 (West Nile Disease)の西の各州への進行で、遂にコロラド州にも到達したと言う事で、今年の夏では人の発病はまだ認められないものの鳥や馬、採取した蚊などからの病原菌の発見がコロラド州内でも認められており、新たな脅威となっている。
鳥に依って運ばれて蚊が媒介する脳炎の一種でワクチンは用意されているものの一旦発病してしまうと適切な対応療法がまだ確立していない事から体力の無い老人や子供は死に至る、と言う事で何ともやっかいな病気であるが、全米では既に此れに依って170名以上の死亡が発生して居る事から今年の夏は何とかコロラドでは大事に至らず治まっても来年には再び発生の可能性が有ると言う事でデンバーの北のFt.
Collinsにある州の疫病対応機関のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)ではその追跡調査や地域限定での薬剤散布、動物へのワクチン注射などその対策に追われた。
(4)新たに発足したアメリカ本土防衛司令本部がコロラドに設置された。
昨年の9月11日に起こった同時多発テロから既に一年以上経過して、アメリカ政府ではその後のアルカイダを中心とするテログループの追求の成果に基ずいてその危機レベルを一ランク緩めるとの発表が先に為されている。
そうした状況に基ずいて、アメリカ政府では今まで分散していた危機管理・対応組織を10月1日より地球を6つの地域に分けて対応する一本化した危機対応統合本部を発足させて、アメリカ本土のテロ防衛を担当する統合本部がコロラドスプリングスの町外れにあるPeterson
空軍基地内に発足している。
近くには、かってソ連との冷戦時代にアメリカ本土の空の防空監視本部としてシャイア ン・マウンテインの山腹の地下深くに設置されて大陸間弾道ミサイルなどの監視で活躍したNORADが在り、その後も絶え間無く活動を展開している事から近くのPeterson基地が選定されたものと思われる。
また、併せて東海岸の政治経済の主要都市から遠距離に在り危険分散、と言う意味からも有効と見られたものと考えられ、極く近くにある大陸上演習場をもっているアメリカ陸軍のFort
Carson基地には陸軍及び海兵隊の大部隊が待機しているので、一旦火急の作戦などの時の陸上部隊の出動にも備える事が出来る、といった有利点も司令本部選択の理由の一つとも考えられる。
併せて地域を限定しない司令本部として別途4っの機能別の指令本部が設けられているが、その中での偵察衛星や対ミサイル撃墜衛星などの宇宙関係では同様にPeterson基地内にSpace
Commandが発足した。 衛星放送やケーブルの送り出しでも理解出来るようにコロラドが地理的にアメリカ本土の中心に位置しているおりNORADの活動も有る事から有利と判断されているためと考えられる。
更にLockeed Martin,Boeing,Ball Aerospace等の航空・宇宙産業の主要企業が有ることも基因しているようである。
こうした事からアメリカでの田舎でありながらアメリカ本土の安全・防衛面でのコロラドの重要性は益々高まって来ている。
アフガニスタンでの戦闘にドイツの空軍基地からの後方支援のために昨年の多発同時テロ以後直ちに結成されて派遣された空軍予備役の兵士230名がその任務を終えて10月2日には軍用長距離輸送機C−130合計15機に分乗してPeterson空軍基地へ帰還している。
ペルシャ湾岸戦争の時もそうであったが、万一これからアメリカ軍のイラク攻撃が始まる事になるとその第1陣としてコロラドからの空軍・陸軍の兵士達が大勢出陣して行く事となり、コロラド州での現在の関心事となっている。
以上最近の私の身の回りでのトピックスを記しましたが、今年のもう一つの大きな出来事として今までアメリカ内で最も目覚しい経済発展してきたコロラド州内の企業の活動が一変して、特にIT産業と言われるうちの通信・放送部門中心に不況状態が昨年後半より生じ、コロラド州の経済活動に大きな影響を与え始めており、州政府としては最も現在頭を痛めている項目となっています。
私自身は、昨年11月末にそれまで働いていたZEN Research社を解雇となってから今年の3月末までコンサルタント契約で繋がっていましたが、4月から自由の身となり、現在再就職活動を展開しているところです。
日本だけでなくコロラドでもこの昨年後半から大型のレイオフが各社で実施され今年に入ってからも規模は小さくなったものの特にハイテクを中心としてのかなりの企業でレイオフが継続しており就職活動もなかなか苦戦しています。
お陰で、久方振りにユッタリとした毎日の「コロラド・レージー・ライフ」をエンジョイしています。 さて、2003年はどうゆう年となりますか? いずれにしても健康第一、元気に毎日を感謝して生きて行こうと思っています。
[ 以上]
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