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コロラド便り(その17)

2004年3月1日
萩原 正喜/コロラド
註:このコロラド便り(その17)には、萩原さんがご自分で撮影された写真を掲載しました。写真下の解説文と共にご覧ください。
(なお、フォトレタッチは郷さんです。)

2月7日(土)からデンバー地区では雪が降っては止み、降っては止む、といった天候が続いて、途中で太陽が出る事もありましたが、積雪量としてはたいした事は無かったのですが寒い陽気が続いた一週間となりました。

木曜日に北西からの寒気が南下してコロラドを蔽ったので急激に気温低下に伴う大量の降雪がロッキー山中には有って、明け方のデンバーの町での最低気温は華氏で−9度(摂氏で零下23度)となってふるえ上がりました。 日中でも気温は上がらず最高気温でも華氏で22度(摂氏で零下6度)と言う寒い一日となっています。 地元TVの二ユースでは犬などを外へ出したままにしないように、との注意を流しています。

2月14日(土)の週末には太陽も出てきて快晴の一日となり乾燥した南からの空気が流れ込んで道路の雪も溶けて一変に蒸発して消えてしまうといった気候です。
この季節には通常北のワイオミング州の上空を通過しているジェット気流が何かの加減で南下して来るとコロラドは急激に震え上がると言った天候が繰り返されます。
もう暫らくそんな三寒四温の陽気の繰り返しが続くコロラドからこのレポートをお送りします。


デンバーの鉄道駅ユニオン・ステーシヨン
かっては一日にシカゴ行きの上り40本、サンノゼ行きの下り40本の長距離旅客列車AMTRAKの運行があり、大陸横断の主要幹線California Zephyrの主要中継駅として賑わったデンバーの中央駅ユニオン・ステーシヨンです。
この路線を Union Pacific鉄道会社が運営していたので駅名もユニオン・ステーシヨンと付けられています。

当時の繁栄の面影を残す立派な建物でデンバーのダウンタウンの名所となっていますが、現在ではAMTRAKも一日に上りと下りが各一本ずつとなってしまって、その他ではデンバーとロッキー山脈中のスキーリゾート地のWinter Parkの町とを往復するスキー列車の旅客で賑わうだけとなっています。
駅前の広場に沢山の車が駐車していますが、スキー列車の旅客が車で来てここへ停めて列車でスキーに行くといった仕組みになっています。

アメリカの健康保険制度の一面:

西部開拓の歴史では「弱い者は捨てられて、強い者だけが西を目指して先へ進む」と言った習慣がアメリカでは今だに残っているようで日常的ないろいろな場面でそうした事を感じさせられる事が多くあります。
国民皆健康保険制度についてもその端的な例で過去クリントン大統領時代にも奥さんのヒラリー女史が先頭となってこの保険制度の法律の制定を試みましたが議会での反対にあってもろくも不発に終っています。

1月30日(金)にデンバーの喘息の治療等で全米でも有名なNational Jewish Hospitalに全米の医療関係者達を集めてHealthcare Financial Management Association(医療保護費用管理協会)がスポンサーとなって「現在健康保険に入っていない人々をどうやって救済するか?」と言うテーマで専門家会合が持たれました。
会議での専門家の報告では「アメリカでは健康保険に入っていない為に(医療が受けられず)死亡してしまう人の人数が年間18000名に上る」としています。また、アメリカでの連邦政府及び州政府が医療に使っている費用は年間国民一人当たり2900ドルで政府管掌の国民皆健康保険を適用しているカナダの2810ドルよりも多くを使っているのにアメリカでは全国民をカバー出来ていない現状を指摘しています。

全米では経済不況に伴う長期失業者の増加もあって1976年には2200万人であった健康保険非加入者数が今日では4400万人と拡大してきています。 そして、コロラド州だけでは2002年では70万人を記録しているとしています。 さらに、全米で年間約3000億ドルのお金がその医療管理費用だけに費やされていて医療そのものに使われていないのだ、とも指摘しています。

ブッシュ大統領の年頭教書ではさらに健康保険の予算経費に付いて年間3000ドルまでの健康保険の保険料支払いを税金控除する方針を打出しまたが、その保険料が払えない人に付いては何の恩恵にもならない事には変わり無く、 そして健康保険に加入してない人で全米の1450万人がMedicade や Child Health Plusなどの救済プログラムへ登録する必要があるとしています。 更に年間5万ドル以上の収入のある人でも1430万人については税金の免除などで健康保険に加入を促進するような方策を講ずる必要が有る、等々の発表・討議がこの会合では専門家の間で行なわれました。

今やアメリカはダントツで世界最強の軍事大国で、また世界最先端の医学技術の進んだ国ですが、こと国民の健康保険に関しては上記の様な実態でカナダや日本にはとても及ばない水準であるのが実態であると言えそうです。 大統領選挙の年を迎えてこうした健康保険の問題を正面から取り上げる候補が居ても西部開拓以来の習慣でアメリカ国民には支持されないのだろうか? と感じるこの頃です。

野球メジャー・リーグのコロラド・ロッキーズの本拠地Coors Field球場の正面入口
この球場で当時ドジャースのピッチャーだった野茂がロッキーズを相手にパーフェクト試合をやった事から高地で空気が薄いので変化球が効き難く、ホームランが出易い球場での偉業としてデンバー市民に記憶されています。

日本の自衛隊のイラク出陣を伝えるコロラドの地元新聞:

前回のこのレポートでの不満が伝わったのか地元新聞のRocky Mountain News紙の2月9日(月)の朝刊は日本の自衛隊の先遣隊がイラクのサマワ地区へ到着した大きな写真とともに「終戦以来初めての戦闘地域への日本の兵士の出陣」と言う事を同紙の21ページ目の国際欄でAP通信社の報道として伝えています。

丁度、突然イギリスのチャールス皇太子が南部のバスラを中心に展開しているイギリス駐留軍への慰問の為日曜日に訪れていたので、それと一緒になった記事となっています。 また、併せて国連の代表とイラク暫定自治の代表との新政府設立の為の公開選挙の実施に関する話し合いの状況なども混ざっての記事となっているので、自衛隊の話は薄まってしまっていますが、この日本の部隊は殆どが技術者の集団でサマワ地区を中心とする飲料水の設備や公共施設の建設に当たるのだ、としています。

バレンタインズデイの贈り物:

2月14日(土)はセント・バレンタインズデイです。また従来、初代大統領のワシントンの誕生日(2月22日)と16代大統領のリンカーンの誕生日(2月12日)と別々にそれぞれがアメリカの祝日だったのを一緒にして「Presidents Day」として2月16日(月)を祝日としています。 アメリカでは従って3連休となりました。

バレンタインズデイは日本では「女性から男性へ愛の告白が許される日」だとか「女性から男性へチョコレートを送る日」だとかと言う事になっていますが、こちらでは全くそんな雰囲気ではなくて旦那から奥さんへ愛情を込めて贈り物をしたりするのが通常ですので、もともとのオリジナルがヨーロッパの習慣ですから、女性の強いアメリカなのでそう変ったのか日本の習慣の方が正当なのか不明ですが、バレンタインズデイの贈り物についての調査統計での、何を贈り物とするか、と言う事ではメッセージ・カード、チョコレートを含むキャンデイ類、外での夕食を伴にする、そして花束を贈る、等といった順番となっています。

また、年代別にどのくらいの費用を贈り物に使うか、と言う事では18才から24才の年齢層が一番多く平均154ドルも使うとしています。 そして、それぞれが贈り物をする対象の人は誰か、と言う事では夫婦の間で互いに相手に、と言う事が圧倒的に多く、次いで家族の誰かに、と言う事になっています。

これらの統計からアメリカでの習慣的なものが日本での習慣とかなり異なっているのが分かります。 日本の場合はチョコレート・メーカーの上手な宣伝に載せられて今や習慣となってしまったのではないかと想像されます。

ペプシ・センター・アリーナの正面入口
プロバスケットボールのデンバー・ナゲッツとプロ・アイスホッケーのコロラドアバランチェのホームグラウンドとなっている屋内競技場です。
スポーツ競技の他にもデンバーでの大きな集会などの催しにはこの建物がよく使用されます。 フォーミュラ・カーによる高速自動車レースも毎年8月にこの会場の大きな駐車場をメイン・ストレッチにしてデンバーの街中の公道を交通閉鎖して開催されます。

ギャンブル場への道:

コロラド州には公認のギャンブル場(Casino)が3個所あってBlack Hawkの町が最大で22のカジノで州全体のギャンブル収入の72%を上げています。 そしてそのBlack Hawkの町から更に山中に入ったところにあるCentral Cityの町はもともと金鉱山町で最も古くからのギャンブル場ですが5個所のカジノがあり7%の収入となっており、コロラド州の南のColorado Springsの町からかなり山中へ入ったと所にあるCripple Creekの町には17個所のカジノで残りの21%の稼ぎを上げています。 そしてこれらのギャンブル・タウン3個所の年間総収入は6億9830万ドルとなっています。

Black Hawkの現在の繁栄に対してかねてよりCentral Cityでは老舗であるにもかかわらずお客がその道路事情の為 にBlack Hawkに取られてしまっている、としておりCentral Cityへ直接入る最短ルートの道路の建設の必要性が有るとされて来ていました。
どちらもロッキー山脈の分水嶺近辺の町であるのでたどり着くには現在は国道ハイウエイ70号線の途中から6号線に入り3つのトンネルを越えて州道119号線を北西にとって険しい山間の道をたどってから、まずBlack Hawkの町へ到着しそこでお客の一部を降ろしてからCentral City へ向かう、と言う事で、どうしても送迎用の専用バスで来る人も、また自分の車で来る人達にとってもBlack Hawk泊りとなってしまって、Central City まで来てくれない、と言った理由です。 また、途中の119号線はClear Creek 渓谷をたどる道で特に夏は落石、冬の間は道路の凍結や雪崩の心配などもあって通過するのに難所となっています。 一方、Idaho Springsから入る州道279号線がありますが、別名「オー・マイ・ゴッド・ロード」と呼ばれているほどの難所となっているので殆ど使われていません。

1998年にThe Central City Business Improvement District と呼ばれるCentral Cityの再生委員会が結成されてこうした難所でドライバー達が苦戦する事無く直接国道70号線からCentral Cityへ入る新道路の建設を悲願として来ました。
現在その計画の総延長8.4マイル(13.5km)の道路建設が進んでいてほぼ半分が完成しており今年のThanksgiving Day 前の11月20日開通を目指して現在約35台のブルドーザーを含む建設重機が入って片側2車線ずつの山中での大工事が進行しています。

このルート国道70号線よりCentral Cityまでの標高差1200フィート(360m)の内半分は勾配が8%以内で造られますが、1/4は10%勾配、残りの1/4は12%勾配とコロラド州内でも最もきつい勾配の道となります。 ちなみにコロラド州内の現在での勾配のきつい順に道路をリストアップすると、標高14264フィート(4279m)のMt. Evans山への登山道路の頂上近辺の10%から15%と言うのが最もきつい事になっており、今回の道路はそれに匹敵する急勾配の道路となります。

果たしてこの道路がCentral City への顧客を再びBlack Hawkから取り戻し繁栄する事になるかどうか、と言う事で注目されています。 ちなみにこの建設予算としてはCentral Cityの負担分は4000万ドルとなっていて、ゴールドラッシュの昔より金がからめば何でもやってしまうのは昔も今も同じであると言えます。

Estes Park の町が「アメリカでの山小屋を購入可能な場所ベスト6個所」の一つに選ばれた:

ロッキー山脈国立公園の入口の町Estes Parkは州内はもとより州外からのハイキングや登山、そして車で国立公園を見物しようとする人達で特に春から秋にかけて賑わう山麓の町となっています。

雑誌Business 2. 0 の1月/2月の合併号で「アメリカでの山小屋を購入可能な素晴らしい場所」の特集記事の中でそのEstes Parkの町が全米6個所の内の一つとして選ばれて、40万ドル(日本円にして約4600万円)で近代的な山小屋が購入出来て、映画サウンド・オブ・ミュージックの環境が楽しめ、小屋の裏庭の米松の木々の間からは大鹿の叫び声が聞ける所として紹介されています。

マイル・ハイ・スタジアムの遠景
プロアメリカン・フットボールのデンバー・ブロンコスのホーム・グラウンドです。 Invesco社が主要投資家となって一昨年に以前のスタジアムの直ぐ隣に新設されました。 正式には Invesco Field at Mile High Stadiumと言う名称ですが、地元ではマイルハイ・スタジアムで通っています。

以前のスタジアムが老朽化してきてデンバー・ブロンコスが名コーターバックのジョン・エルウエイの活躍で両リーグのチャンピオン優勝を獲得したのを機会に新設されましたが、新しいホームグラウンドを得てからはブロンコスはリーグ優勝も出来ていません。

技術者達が選んだコロラドの5つの名橋:

コロラド州内の技術者8500名を対象とした調査で「コロラド州内の橋で素晴らしいと思う橋」と言う投票結果で5個所の橋が上げられています。 以前のこのレポートで紹介したRoyal Gorgeの吊り橋は3位となっていて、建設は最も古く1929年で「世界で河底から最も高い所に架けられている吊り橋」とされています。 私自身も以前に見物に行きましたが、コロラド観光に来られたら一見の価値有る橋だと思います。
どうして技術者を対象に橋の投票コンテストを行なったのか不明ですが、多分その建設技術面での評価も加味しようと言う事かもしれないと思われます。

5位の19th Street Bridge はデンバーの町中を通っているSouth Platte Riverに架けられている橋で1880年に建設された初期の金属製(鋼鉄製)の橋の一つと言う事で、私自身今まで気付かずに通り過ぎているかも知れませんが、コロラド州内の名橋と言う事で何がそんなに良いのか改めてそれぞれを一度見に行ってみようと思っています。

コロラド州内の大小の空港の数々:

コロラド州内には大小合せて79個所の公共空港が在って、その内の17個所の商用航空便で使用されている空港を除けば残りの空港ではハイジャック・テロに対するセキュリテイ面では大変手薄で、2001年9月11日の同時多発テロ攻撃発生以来こうした小空港の殆どは商用旅客機の発着は閉鎖となっており自家用機のみでの利用となっています。

小規模の空港と言ってもデンバーの南にあるCentennial Airportの様に自家用ジェット機の離発着が盛んで、大変忙しい空港も中には在るので、当局としてはセキュリテイ面での管理は大変と言えます。
それにしてもこんなに沢山の空港が州内に在るので自家用小型機の利用が如何に盛んか、と言う事を物語っていると言えます。

スターバックス・コーヒー店の「何でも統計」:

今や世界的にポピュラーとなったコーヒーのStarbucks店の所在地についての統計です。
* 最も高層な店:韓国のソウルに在る5階建て。
* 最も赤道に近い店:シンガポールにある。
* 最も標高の高い店:コロラドのBreckenridgeの町にある、海抜2880m。
* 最初に開店した店:シアトルのPike Place Marketの店。
* 今度の夏のオリンピックに最も近い店:ギリシャのアテネにもある。
* 映画俳優など有名人に最も会える店:カリフォルニアのビバリーヒルズにある。

デンバーの街中にある広大な大学キャンパスのAuraria Campus
コロラド大学デンバー校、Metropolitan State College、Denver Community Collegeの3つの大学の集合キャンパスでデンバーの街中にあることもあって働きながら勉強する学生やかなりの年長の学生などが入り交じった大学で教授か学生か見分けがつかない様な学生も多く見かけられます。

日中はリュックサック(バックパックと言う)に重たい教科書を詰めて背負っている大勢の学生の行き来で賑わっているキャンパスです。
中央の遠くに見える白い塔はElitch Gardenという公園遊園地にある展望台です。
また左の建物は手前が教会でその後ろがKing Hallという大きな劇場ホールとなっています。 そして、右の長い建物はコロラド大学の Art 学部の建物で音楽、絵画、建築、コンピューターグラフィックス等の学科の事務局と教室のある建物です。

格安料金で勝負するTed航空の運行開始:

ユナイテット航空が格安料金で他社と競争するために分社化して身軽な体質で運行するTed 航空がいよいよその運行を2月12日から開始しています。
デンバーをベースとするフロンテイア航空への競合をターゲットに置いており、当初全ての座席がエコノミークラスの156席Airbus A-320の4機による運行で始めて今年の年末までにはその総運行機数を19機とする予定となっています。 競合するフロンテイア航空は現在39機による運行であるが、年末までに48機に拡大する予定となっています。

Ted航空の運行ルートと行き先都市別の往復運賃が航空会社別にその最も安い金額での比較が地元新聞に記事として載っていますが、デンバー・ラスベガス間の料金ではTed航空が最も安く、その他の場所でもフロンテイア航空との料金での対抗を意識した設定となっています。 当然親会社のユナイテット航空と競合する路線は避けての運行となっています。
経営コンサルタント会社のAccenture社の調査によると、ビジネス客の59%はこの6ヶ月間で格安料金の便を利用しており、アメリカの企業各社がそれぞれの事業運営的に立ち直ってきている現在でもまだ経費の圧縮を目指しているのだと言う事が分かるとしています。 そして、調査の回答者の約2/3は格安運賃の航空会社を現在もそして今後も活用していく、と答えています。

一方、親会社のユナイテット航空は一昨年末に破産に追い込まれて現在会社更生法の適用下で会社の再建に努めている訳ですが、今後どうなるのかが大変気になるところです。
ユナイテット航空では最近破産管理裁判所に対して、外部の投資家や債権者からの影響を受けず独自で再建計画に基ずき運営出来る期間限度の3月8日の期限を6月30日迄延期する申請を行なっています。

もし裁判所がこの申請に許可をする事となれば、ユナイテット航空としては8月30日迄に債権者の各社やユナイテット航空の買収などに興味を示している各社に対して今後の同社の経営処置に対しての判断投票を仰がなくてはならない事となっています。 その投票で誰か強力な買収元や債権者からの再建の為の名案が出ないと本格的な破産と言う事になって最悪の事態となります。

期日の延長に関する判断は裁判所が、ユナイテット航空に対してもう少し再建の為の努力に猶予期間を与えるべきかどうかを判断するの事が委ねられている、と言う事になります。
現在、同社が抱えている当面の経理上課題としては、16億ドルに上るローンについて政府の債務保証が得られるかと言う事と、J.P. Morgan Chase 銀行及びCitigroup 銀行からの20億ドルの出資を得て会社更生法から脱出する事、更には退職従業員に対する健康保険保護をどうするか、航空機のリース代金をどうするか、地方債に対する履行義務対応、と言った項目が有って難問山積と言うところです。

現在、担当の破産管理裁判所としてはユナイテット航空の猶予期間の申請に対してOKを与えるものと思われていますがこの2月20日がユナイテット航空からの説明の申し立て日となっています。
これらの債権計画に新たにスタートしたTed 航空がどう作用するのか良く判りませんが同社が何か再建努力を行っていると言う証拠の大きな目玉商品となっていると言えます。

Ted航空の新聞広告から:

ユナイテット航空の格安航空運賃で勝負する為に発足した新子会社Ted航空の広告が最近頻繁に地元新聞へ載るようになっています。
デンバーを基地として2月12日のラスベガス及びフロリダ州のフォート・ローダーデール行きの便から順次行き先を増やしていく、と言う案内をしています。
「デンバーは今冬で寒いけれど、幸いなことにアメリカには暖かい場所もあります。 Ted 航空は貴方を低料金で最もバケーシヨンに良い所へとお連れします。」といった記述内容になっています。
「Ted,Part of United」と言った表示となっている点も注目です。

Ted航空についての雑誌Time の記事から:

雑誌TimeにもTed航空の運航開始の案内とその評価の記事が載っています。
サンフランシスコからラスベガスへの料金は219ドルで、ユナイテット航空の同じルートの料金710ドルやアメリカ・ウエスト航空の347ドルに比べてはるかに格安になっている。そして、搭乗員はオレンジ色の野球帽をかぶってTed's Friend と書かれたバッジを胸に付けており、機内ビデオは1チャンネルのみでケーブルTVの番組の再放送物であり、これで本当にユナイテットから変れるのだろうか? といった記述となっています。

キャンパス内のベーグル・サンドイッチの店
非常に大きな合同キャンパスなのに食堂やレストランといったものが全然ありません。唯一このMarcantile Restaurantと言うサンドイッチなどを売っているコーヒーショップがあって、デンバーの町では馴染みのチェーンの「Einstein Brothers Bagles」のベーグル・パンのいろいろなサンドイッチがあって学生客で繁盛しています。

ユナイテット航空の機体の外観塗装が変更になる:

現在のユナイテット航空の機体はグレーの全面色そして尾翼に赤とブルーのロゴマークの入った外観となっていますが、2月21日の週末に同社はこの機体の外観デザインの変更の発表を行なう事になっていましたが、事前にその情報が漏れてインターネットに載ってしまいました。 その情報によると、新しい外観デザインは青色と白に胴体を塗り分けて、UNITEDのロゴマークは黒のブロック体となり、尾翼にはユナイテット航空の大きなダブったUの字が描かれているものとなるとしています。

機体の外観を一新して新しく経営の建て直しを計ろう、と言う事かと想像されますが会社更生法適用から何時外れる事が出来るだろうか?

ボーイング社が7E7ドリームライナーの開発にGO:

シンガポール航空では最近ロサンゼルスとシンガポール間7609マイル(12175km)の直行便を毎週木曜日に就航を始めました。 これは現在の商用航空便としては最長の飛行距離となり、使用する航空機としては Airbus社の特別仕様のSAS340-500型でその公式所用飛行時間は14時間32分となっています。 そして現在の東京経由ではジェット気流の関係でロサンゼルスからシンガポールへは約18時間30分かかり、シンガポールからロサンゼルスへは16時間かかっています(成田での乗り継ぎ時間を除いて)。

シンガポール航空では併せて今年の年末からニューヨークとシンガポール間の直行便を計画しており、これらの運行がビジネス的に成功するとアジアの各航空会社がそれぞれの国の主要空港への直行便の運行を開始する事となって、今までどうしても成田でワンストップせざるを得なかった必要性が無くなるので、その高額な利用料金や混雑でイライラさせられる成田空港の利用が大幅に減少する事となって成田空港としては大打撃となりかねない要素を含んでいる一大事と言えます。

このAirbus社の長距離対応機種に対してボーイング社では現在のBoeing777型機を改造した777-200LR型を準備しており、この方がAirbus A340-500よりもより航続距離が長く、より高速でかつ経済的な運行が出来ると言っています。

この様な市場の長距離・高速化への要求に応えて、ボーイング社ではかねてより課題となっていた、同社のエース機種であるBoeing7E7ドリームライナーの2008年就航を目指しての開発計画に同社の取締役会でのGO決定が為されて公式に準備をスタートしています。
この発表と同時にこのドリームライナー機の製造工場としてはワシントン州のシアトル工場で行なうことが確認されており、その製造場所として名乗りを挙げていたコロラドの同社のPueblo事業所やColoradoSpringsへの誘致などについては残念ながら不成功となりました。

今回のこの決定はボーイング社としては商用航空機事業がかんばしくない業績となっていて、Airbus社の追い上げ厳しい折から先に社長の解任交代を行なったばかりであり、公式にドリームライナー機の対外的な発表は今回避けています。 ボーイング社の2002年での営業売上げの52%がこうした商用航空機によるものとなっており、この様な商用旅客機の開発には多額な開発費と期間とを要するだけにそのコンセプトを誤ると会社の経営自体に重大な影響をもたらす事となりかねません。 ちなみこのBoeing7E7型のエンジンを除く機体部での日本の各企業の担当する比率は始めて20%を越えるといわれています。

アインシュタイン・ブラザース・ベーグルの商標
この店でベーグル・サンドイッチを買って試食してみました。 パン自体はクラッシックな味のベーグルでニューヨークを思い出させる懐かしい味です。 袋にその商標が記されており、なかなかユニークな商標なので写真に撮りました。

データ記憶装置の将来はプラスチック:

プリンストン大学とHP社ではその協同研究の成果として、透明で導電性の有ることで知られているPEDOT(重合樹脂材料)をヒューズの動作として使用する事に依ってROM型のWriteOnce記憶が可能な組み合わせ材料の開発に成功したとしています。 1立方cmの体積に1Gバイト以上のデータを記録出来て、紙のような薄い1平方mmの面積に1Mビットの情報が記録出来る事を初期の実験では記録しているとしています。

丁度ヒューズ型のROMメモリーチップの様に縦・横・厚み方向にそれぞれ格子状に導体が在って、それぞれの各交点にはPEDOTのフーズが接続されており、外部より高電圧を加える事に依ってその部分のヒューズを切断するか残すかを決める事に依って「1」又は「0」を記録して行く様になっています。 この記憶装置は直接電気回路に通常のICの様にマウントして使用するようになるとしています。

果たしてこれが次世代の高容量記憶メモリー素子となりうるか?どうかはこれからの実用化開発の努力にかかっていますが、立体的に構成出来るメリットもさることながら、平面的に1平方mmで1Mビットの密度が大きいかどうかも検証の必要があると言えそうです。
しかしながら、材料的にコスト上は大変安価なメモリーとなりそうであるし、ヒューズ型の記憶装置であれば、外からのアドレスのアクセス回路のみが必要であって、モーターやピックアップなどの外部駆動素子は全く不要であるのでなかなか注目に値する記憶装置となりそうな気がします。

Ctrl−Alt−RETIRE:

パソコンがハングアップした時などに我々はCtrl − Alt − Delete の3っのキーの同時押しをしますが、IBM社のデービッド・ブラッドレーさんと言う人がそのプログラムを書いた人です。
彼はここ数十年間にわたってパソコンユーザーが使用しているそのプログラムを5分間で書き上げたと言われていますが、極く最近彼はIBM社を定年退職しました。

エコースター社で推進しているHDTV受信用のレコーダーとアンテナが供給不足:

衛星TV放送のエコースター社が昨年より始めているHDTVプログラムの放送と、昨年11月よりローカルTVチャンネルの受信が24都市圏で可能なサービスを希望する視聴者にオファーしている最新の下記の装置2点についてエコースター社では最近突然の在庫不足となり、受注に対応出来なくなっています。

* DishPlayer−DVR921型: 昨年の12月からオファーしている 250GバイトのHDDを内蔵しているHDTV記録可能なレコーダーでHDTVプログラム25時間分の記録が可能。 一つのHDTVプログラムを録画中でも他のプログラムを視聴する事が出来て 早送り、逆転演奏、受信中のプログラムのポーズなどが可能。小売価格では999ドル売りのものだが、エコースターのHDTVプログラムの視聴申込者には600ドルでオファーしている。

* SuperDish : 昨年の11月にエコースター社でローカルTVチャンネルの数を増やして24都市分のプログラムの受信が可能となったのに合せて新型のパラボラアンテナをオファーしています。 従来の13インチ直径の円形のパラボラに対して横長の楕円形にしたパラボラアンテナで 従来の物よりアンテナゲインが上昇するが、特定な地域でローカルTVチャンネルの受信が従来のアンテナでは無理だったのを解消する為に準備されています。(デンバー地区では従来のもので問題が無い)

エコースター社ではどうして突然供給が不足となってしまったのか説明はしていませんが、市場調査会社のコメントによると「これらの機器はハイエンドの顧客への商品であってエコースター社のHDTVとローカルチャンネルの視聴者数が急に50万軒も増えてしまった、と言うような事による品不足ではないから、間もなく問題は解消する」としています。
何れにしても、HDTVやローカルTVのプログラムの視聴希望者数が同社が見込んでいたのに対して予想以上に多かった事が原因なのだと思われます。

「冬来たりなば春遠からじ」、アメリカでは3月21日をFirst Day of Springと呼んで春の季節の始まりの日としています。 5月に入っても時としてまとまった降雪を見る事の有るコロラドですが、日を追うごとに確実に暖かくなってくる季節に入ります。 日本に於いても2月中に早くも春一番が吹いたとのニュースも聞いています。 花粉症の気になる季節かと思いますが皆さんお元気に過ごされる事を祈ってこの「コロラド便り」(その17)をお送りしました。

[以上]

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
Photographs copyrighted (2004 Mike Hagiwara)
 
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