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コロラド便り(その14)

2003年12月6日(土)
萩原 正喜/コロラド
註:このコロラド便り(その14)には、引き続き郷 勝哉氏より氏が撮影されたコロラド州周辺の州の写真ならびにコメントをご寄稿いただきましたので、萩原さんの便りとのコラボレーションで編集させていただきました。

毎月月末に原稿を送付して掲載して頂いているこの「コロラド便り」も今回の(その14)についてはいろいろと緊急な私事が立て込んでその纏めが遅れ何時もより大変遅れての掲載となってしまいました。
そうこうしている内に時は早くも11月27日のThanksgiving Day が終って市場は早くもクリスマスへ向けての年末商戦一色となっています。

サンクスギビングデイはクリスマスと並んでこちらでは年末の一大祝日ですが、今年は特にその日が木曜日であった為次の28日(金)も休日としていた人達が多く事実上の4連休となっています。
お陰で全米の各小売業もその売り上げを昨年を大きく上回る記録を上げた模様で新聞などでアメリカの消費者購買力の好調を報じています。

コロラド便り その6 でコロラド州の西南の角に、4コーナーズポイントと称する四つの州が一点で接した、直角座標の原点の様な場所があることをご紹介しました。その第三象限相当がグランドキャニオンで有名なアリゾナ州ですが、コロラド州寄りにペトリファイド フォレスト(化石の森)と呼ばれる国立公園があります。

私は仕事でこのサンクスギビングデイの前日の11月26日(水)の午後サンフランシスコからデンバーへの飛行機で帰って来たのですが、通常サンフランシスコとデンバー間は便は頻繁に飛んでおり、ボーイング757以上の大型機が使用される事は無かったのですが、今回はボーイング777型機でそれも明らかに成田から来た機体をそのまま使用したと分かる日本語の機内誌が前のポケットに入っていました。
そして大型機にも関わらず機内は完全な満席で、私の隣に座った乗客はコロラドのVailへこの後行って4連休をスキーで過ごすのだ、と言っていたのが印象的で、もはやかっての同時多発テロ以後の航空業界の不振は消え去ってしまったかと思わされる感じさえしました。

あたりは乾燥した砂漠地帯ですが、ご覧のように直径数十センチから1メートルもある巨木の化石がごろごろ転がっています。

コロラドで猛威を奮い始めたインフルエンザ:

昨年世界の各地で猛威を振るったSARS が今年も流行するのではないかと当局は緊張が高まっている昨今ですが、幸いまだその二ユースはコロラドでは聞いていません。
一方、現在コロラドではインフルエンザの大流行の兆しが見えており、州の公衆衛生環境局によると、12月3日現在でのコロラド州内のインフルエンザ患者と認定された人数は6306名に上って過去の2年間での患者数を上回って早くも5名の子供が亡くなっています。

通常は11月下旬から患者数が見られるようになるのが常であるが今年は早く到来して猛威を既に振るっており、当局の推定では今年のピークは12月の後半までと見ており、体力の無い子供や老人には早めのワクチンの予防接種を受けるよう勧めています。 しかしながら予防接種後もその効き目が出て来るまでに2週間位いかかるため安心しないでウガイや手洗いでの予防に努めるようTVや新聞を通じて呼びかけています。

今回のコロラド州を襲っているインフルエンザは中国が始まりでその後オーストラリアで流行ってアメリカへ来たフジアン菌と言うビールスによるものとされ、通常のインフルエンザ予防接種を受けていれば万一かかっても容体が悪化すると言う事は無いとしています。
コロラド州公衆衛生環境局ではこのインフルエンザ・ホットラインを開設したり、オンライン情報サイトを設けて一般の州民への警戒を呼びかけています。
特に接種を受けるべきとされる老人として「50才以上の人」とこのインターネット・サイトで言っていますが、私自身は来る1月31日で満65才となりますのではるかに50才を過ぎていますからどうしようかと迷っているところです。

そうこうしている間に12月5日の当局の発表ではこのインフルエンザによる子供の死亡者数が9名に為ってしまった。 そして予防ワクチンの量が全米的に不足し始めており、コロラドでも底を突いて来ているので、2才から64才までの現在健康な人は接種を控えて欲しい旨の通達が発せられています。

如何に今回のインフルエンザの蔓延速度が速いかを物語っていると言えます。
こうした流行は今や世界中への蔓延は素早いものがありますので日本の皆さんに置かれましても充分日常生活に配慮されて元気に過ごされる事を祈っております。

これらの化石は、2億年余り昔、森林にあった樹木が洪水でこの辺の低地に流され、その上を数百メートルもの火山性の堆積物が覆い、その堆積物中の石灰成分などが樹木に浸透して化石化したといわれています。

ソーシアル・セキュリテイの仕組みについて:

日本での国民年金や厚生年金の制度と類似なアメリカでのシステムとしてアメリカ政府が管轄しているものとして Social Securityの制度があります。 アメリカ国民やアメリカ在住外国人は皆この制度に加入して国の一連番号の一つを貰って一生をその番号で管理される事となっています。

いよいよ私もアメリカでの定年とも言える65才となりますので、今回アメリカ政府のソーシアル・セキュリテイ運営局から案内状が今回郵送されて来ました。
それによると私のような1939年生れの人は満65才と4ヶ月経過でFull Retirement Ageとこの制度上からは為ると言う事でアメリカ市民及び住民は申請していろいろな特典が受けられるとしています。

特典の具体的なものは追って通知が申請書とともに送られて来るようですが、私も多少の税金をアメリカ政府に過去納めて来ていますので幾らかの年金的なものと医療補助(Medicare)の特典が受けられる事となるようです。

こうした過去のこの制度への負担支払い済金額の個人毎の実績金額も通知書に記載されており、忘れていた昔のJVC America社の発足時に大和工場から支援技術者として派遣された頃の事が改めて思い出されました。

割れた断面を見ると木が石英化していることが良く解ります。

その通知書によると私がこの制度に加盟したのは1968年の半ばの事となっており、今から35年も前の事ですが、当時日本ビクターはそのアメリカ市場への販売に関して今まで依存していたデルモニコ社から独立して独自の現地法人を設けての販売活動に入ると言う事で各商品事業部から支援の為の技術者がニューヨークの事務所へ派遣され、その内の一人が大和のステレオ事業部からの私でした。

当時の事を振り返るといろいろと盛りだくさんの話となってしまうのでここでは差し控えますが、政府からの通知の書類では滞在していた2年半の間に一年毎に7800ドルを支払っている事となっています。 当時私が毎月のJVC America から頂く給与は400ドルでしたから、年間でも4800ドルであり、とても7800ドルも支払う事は出来なかったのですが、多分会社での公的な額面給与はもっと高額で会社がそれに応じた金額をこの制度に支払っていたのだと思われます。

35年も前の話なので貨幣価値がかなり今日とは違い、また円とドルの為替レートは1ドルが360円の固定レートのころの話なのですが、当時パブリックのゴルフコースなら何処でも3ドルで日曜日の午前中なら予約すれば必ずプレー出来たのを憶えています。
また、当時のデルモニコ社の重役から週給2000ドルで雇うから移籍しないかなどと誘いを受けた事が有ったのも懐かしい思い出となっています

化石化した木は初めは地中深く埋まっていたのですが、その後堆積物の柔らかい部分が風化して消失した結果、中にはこのように山の稜線に取り残されたものが生じました。

その後、ズーと日本ビクターでお世話になってから私は1998年に日本ビクターを退職してちょっと経過してからアメリカのZEN Research 社で1999年後半から2002年迄3年半にわたって働きましたのでJVC America 当時の比べると桁違いに多額のお金をこの制度にこの時納めて来ましたが、私は現在いわゆる永住許可証のグリーンカードを受けてアメリカに居住していますのでこのソーシアル・セキュリテイの恩恵を来年の6月から受けられる事となりそうですが、何せ納めて来た年数がどちらも少ないので今後幾らの金額が年金と医療控除( Medicare)が受けられるのか通知を楽しみにしているところです。

こうしたアメリカでの国民年金的な仕組みもやはり第2時大戦終了後に生れたいわゆる団塊の世代の人達が現在59才前後におりますので、6年後からはその支給予算の確保が大変となると予測されており、アメリカ政府としては今からの大きな課題となっています。 しかしながら日本と大きく異なる点は「少子高齢化」と言った問題点は移民による若い血の受け入れを政策的にアメリカ政府ではコントロールする事によって保っていて今後もこうしたことがうまく機能すれば比較的心配が無い点です。

私自身へのソーシアル・セキュリテイ運営局からの通知をもらって改めてアメリカのこうした制度も日本の年金制度と同様に大変しっかりしていて、その記録なども確実に保存管理されているのだと言う認識を今回改めて得ました。
こうしたことは政府運営がしっかりしている国の人達だから言えることで、アフガニスタンやイラクの人達がこうした制度の恩恵に浴せるのは何時のことになるのだろうかと改めて思わされるこの頃です。
改めて日本やアメリカの国家機構の安定していることに感謝しているところです。

一方このように谷底に落下した物も見られます。

スキーの男子ワールドカップ滑降レースが開催:

毎年のスキーシーズンの開幕を飾る男子・女子の本年最後のスキー・ワールドカップ滑降レースは今年1月にはコロラドのVailの近くのBeaverCreek で開催されました。 今回はフランスのVald'Isereで開催される予定となっていましたが、会場の条件が整わず急遽その開催場所が変更となって、男子はコロラドの最もポピュラーなスキー場Vailの近くに在るBeaverCreekスキー場のコースを再び使って12月4日(木)が練習予選で翌5日(金)が滑降の本選レース更に6日(土)が更に高速レースとなる大滑降( Super G)の本選レースと言う日程で開催されました。 ちなみに女子の方はカナダのアルバータ州のLakeLouiseのコースを使って行われています。

このスキーワールドカップ滑降レースではシーズン中に世界各地を転戦してその総合得点数で最終順位を決めると言う仕組みの中での今回は一戦ですが、過去にアメリカの選手は以前の1984年に同じコロラドに在るAspenでのレースでBill Johnsonが首位となって以来今まで首位の座はことごとく外国選手に持っていかれていただけに、その首位の座奪還で先のソルトレークでのオリンピックの滑降で優勝したアメリカチームのBode Miller 選手の活躍が期待されている中、彼は練習予選ではトップスピードで首位となったものの、本選ではコース脱落を起こしてしまい幸い軽傷で済みましたがレース棄権となってしまいました。

化石の森の北部は ペインテッド デザート (塗色された砂漠)と呼ばれ、様々な色に分離した地層が見られます。

そうした中にあってアメリカのDaron Rahalves選手がオーストリーのHarmann Maier 選手などの強豪を抑えてトップとなるという偉業を成し遂げホームグラウンドでの20年近い首位の座獲得の空白をうめると言う成績を残しました。
Rahalves選手の1分39秒59と言うタイムは併せてこのBeaverCreekスキー場のこのコースの新記録となっています。

翌日のDownHill Super G レースでは再度期待されたアメリカのBode Miller が再びコースを外れると言うアクシデントが発生して棄権となり、かってのチャンピオンであったオーストリーのHermann Maier選手が僅差で他を抑えて2001年の8月に彼がオートバイの事故で右足下部の骨折をして今年の一月のレースで再度の復帰して以来奇跡のトップ優勝を飾りました。

スキーシーズンの開幕を告げる今年最後の思わぬ大レースが急遽コロラドで行われる事となってコロラドの地元スキー業界にとっても大歓迎のイベントとなり地元新聞では大きな紙面を割いての写真や記事の掲載となっています。

ペトリファイド フォレスト公園内の壁画で、2000年ぐらい前に書かれたと推定されています。

コロラドの新有料道路計画:

コロラド州には有料ハイウエイは少なくデンバーのはるか東の環状道路を形成しているE-470 が現在唯一のルートですが、建設当時その利用車両数は極端に少なく問題となった事もありましたが、現在ではかなり利用車数も増えて順調な利用率となってきています。
先日E-470の運用開始以来初めての暴走車に巻き込まれた車が道路から外れて転落し車は大破、運転者は死亡、そしてその暴走車は逃走といった大事故が発生しているのも最近の状況を示しています。

そんな中、現在コロラド州では2つの有料高速道路の建設についての計画が持ち上がっています。
これはコロラド州の交通運輸局( Colorado Department of Transportation )がサウスカロライナ州の専門コンサルタント会社のWilbur Smith Associates 社に委託して州内の各道路についての将来を見通した建設・整備・変更の見直し調査を行なっている結論の一つとして提案されているものです。

その内の一つはかねてよりのデンバー地区としての念願である「デンバー環状高速道路」の完成の為に残されている環状西北西部に当たる国道36号線のBloomfield からCoorsビールのGoldenの町を通って国道70号線と結ぶ円周1/8の区間の完成については地元住民の反対や環境破壊問題等の為にその計画遂行が2転3転していましたが、今回Goldenの町を通過している州道93号線とBloomfield間を有料道路で接いでその建設費の回収を計ることで推進して残りの93号線部は高速道への改修を行ってデンバー環状道路の完成を計ろうと言うものです。
「環状道路を持たない都市は一流都市とは言えない」と言った思いからの一流都市の建設を目指すデンバー地区の長年の願いをかなえられそうな案と言う事で注目を集めています。

これらの壁画は、当時の部族が身の回りに生じた出来事を記録するために書いたと思われることから、 ニュースペーパー ロック (新聞の岩)と呼ばれることもあり、このようなニュースペーパー ロックは西部諸州のあちこちにあります。

もう一つの有料道路の計画は、現在州の南北の各都市を連ねて走っている国道25号線のハイウエーがデンバー市街部分を始めとして混雑が激しくなって来ている事から州全体の経済活動の停滞にも接ながりかねないと言う将来見通しに基ずく提案です。

現在の25号線の拡張で一時的にしのぐ事をあきらめて、思い切って25号線とはそのはるか東側に平行して、北はFort Collins の町の東北外れの25号線から発してGleery,Longmont,Denver,Aurora,CastleRock,Colorado Springs,などの各町を迂回して南はPueblo の町の南外れで再び25号線に合流すると言う壮大なハイウエー計画です。
このハイウエーの全長の内Denver, Aurora の迂回部分は現在のE-470をそのまま活用すると言う事でかなりの現実味を帯びた計画となっています。

ロッキー山脈東山麓(Front Rangeと呼んでいる)のこうした各都市を高速道路で接続する事はコロラド州の経済活動の将来にとって大変重要で現在の混雑の仕方からすると差し迫った必須条件かと私自身も感じますが、こうした議論に高速鉄道の建設によると言う解法が提案として出て来ないのは毎度の事ながら日本の鉄道事情を良く体験している我々としては不思議に感じる現象と思われます。
昔、馬とか馬車で何処へでも行った習慣や感覚が現代でも残っているとしか思えない感じがします。

ペトリファイド フォレストから西 100km にある直径1300mの隕石孔です。月のクレーターに極めて似ているため、NASAがアポロ計画の宇宙飛行士の訓練に使ったこともあります。出来たのは今から約5万年前、直径30mくらいの隕石が時速60kmぐらいで落下して生じたと推定されています。
現在は国定旧跡で メテオ(隕石)クレイターと呼んでいますが、1900年の初め頃、バリンジャーという鉱山技師が鉄鉱石を目当てに、後に隕石本体を発掘しようと周辺一帯を買収し、バリンジャー隕石孔と呼ばれていたこともありました。隕石はバリンジャーの生存中には発見されませんでしたが、クレイターは現在もバリンジャー 一族の私有地で、入場料を取り博物館や孔の底部を見学させています。
註)この写真は1970年代の絵はがきです

コロラドのデンバー地区では11月22日、23日の週末に急激に気温が下がってかなりまとまった降雪となり12月に入る迄日陰には残雪が見られましたが、現在ではそれも消えて日中は太陽が出ていれば温暖な日が続いていますが、それでもさすがに朝晩は気温低下が激しく庭の芝生も凍土の様に固まったままで緩みそうに有りません。
こちらの暦では12月22日がFirst Day of Winter と言ってこれから本格的な冬に向うコロラドですが、日本でも木枯らしが吹き始める季節をお迎えのことと思います。 インフルエンザや風邪などにかからぬよう気を付けられて皆さんお元気にお過ごし下さい。


[以上]

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
Photographs copyrighted (2003, Vic Goh)
 
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