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コロラド便り(その13)

2003年11月1日
萩原 正喜/コロラド
註:このコロラド便り(その13)には、引き続き郷 勝哉氏より氏が撮影されたコロラド州周辺の州の写真ならびにコメントをご寄稿いただきましたので、萩原さんの便りとのコラボレーションで編集させていただきました。

このコロラド便りの投稿を「杉の会」Webに始めてから早いものでちょうど1年が経過しています。
日頃の皆さんへのご無沙汰のお詫びにと思って、たまたま皆さんと少し異なるアメリカの田舎であるコロラド州に住んでおります私の周囲で起きている事柄に付いてまとめて報告するようにして来ました。

興味を持って皆さんに読んで頂けたかどうかは心配な点ですが、幸い郷さんが挿し絵代わりに、と傑作写真の数々を提供頂いたので救われた感とともに大変良かったと思っています。
これからは全くの素人写真家ですが私自身の撮影した写真も身近なところの被写体から皆さんへ見て頂くようにしたいと思っています。
これからもこの「コロラド便り」が継続しているうちは私も何とか元気にやっているのだと思ってご覧頂ければ幸いです。 以下、早くも冬景色に突入しているコロラドから(その13)号をお送りします。

今月は、前回ご紹介したブライスキャニオン国立公園から西へ80kmぐらいの所にあるザイオン国立公園です。
ブライスキャニオンは古代の湖底が隆起して出来た台地が、その後浸食され残った部分が多数の尖塔となった地形でしたが、ザイオンの方は地球規模ではブライスにごく近いにも拘わらず、全く異なった様相の岩山です。

夏時間の終了:

アメリカでのDaylight Saving Time(夏時間)が10月25日(土)で終了して10月26日(日)からは時計の針を今までより一時間遅らせた時間となりました。 日本とコロラドの時差は16時間となってコロラドの朝6時が日本では同じ日付けの夜10時と言う事になります。

夏時間の制度の良し悪しについてはいろいろと議論の有るところですが、アメリカ人は一般的に血圧の高い人が多いせいか早起きで会社へは朝7時に出勤して午後4時に退社するといった人の数がかなり多く、朝の6時というともう既に通勤ラッシュの車の交通渋滞が始まっていて、午後4時を過ぎるとまた帰宅する人達でのラッシュとなります。

そんなに早く家へ帰って何をするのだ? と言う事ですが夏ですと庭の手入れや芝生の刈込などいろいろと家の外回りの仕事が待っていますが、この季節になると庭に散乱する街路樹の枯れ葉の処理くらいで特別何もする事がないので、クアーズ・ビールを開けながらプロ・フットボールのデンバーブロンコスの試合をTVで観戦する、と言った事になります。

デンバー空港では早くも先の9月21日に華氏29度(摂氏零下1.5度)を示しましたが、デンバーの町では10月13日の夜に急激に気温が下がって華氏30度(摂氏零下1度)と今年初めての氷点下を記録しました。 例年10月7日頃に初めての氷点下を示すのが通常であるので、今年は1週間程遅れての寒波襲来となった訳です。 我が家近辺を含めて場所に依って 僅かながら雪が舞いましたが、まだ本格的なデンバーの町での降雪は先となります。
しかしながら、「Winterize」と言って人々は屋根の上に設置して有るスワンプクーラーの水抜きをして被いをかけたり、芝生のスプリンクラーや散水ホースの水抜きを行い、芝生に今年最後の肥料の散布を行なう時期となっています。

コロラド内の各スキー場でもリフトの整備や各設備の点検などが行われていますが、コロラドで最も高地に在るLoveland スキー場では10月13日から薄い雪を伴って気温が下がって来た事から、28基のスノーガンを動作させてゲレンデの根雪の作成に既にかかっています。
同スキー場では10月24日からのオープンとなっています。 11月の中旬となるとコロラドの殆どのスキー場はオープンして、いよいよコロラドのスキーシーズンの始まりとなります。

一変してデンバー地区では10月20日の週始めから大変温暖で清々しい日々が続いていました。 それでも早朝の最低気温は摂氏で零下となることがしばしばですので、近所の街路樹はその枯れ葉を盛んに落とし始めています。 私の家の前庭にはメイプルツリー(楓の一種)の大きな木が街路樹として2本植えられていて、片方は芝生の中に立っており、もう一つは小石を敷いてあるところへ立っていますが、多分どちらも同じ時期に植えられたに違いないのですが、芝生の方の木は大変元気が良く、枯れ葉はまだ殆ど落としておらず、一方の石の方の木は既にその半分以上が枯れ葉となって落ちてしまっています。

昨年も同様であったので、多分芝生にやっている肥料などが効いている為ではないかと想像していますが、二本同時に枯れ葉を落としてくれればその処理が一度にかたずくので助かるのですが、お陰で何度も電動式のブロワーで吸い集める作業をやっている最近です。
同じ時期に植えられた木ですがこうも大きな差を見せ付けさせられると、何か人それぞれの人生を感じさせられてしまうコロラドの秋です。


左の岩壁にある半円形は浸食の結果出来た凹みですが、浸食が更に進むとトンネルになって反対側に抜けたりし、何千万年か先には Natural Bridge(自然橋) になるのだそうです。

Halloween:

10月31日はアメリカではハロウイーンと言うお祭りでちょうど日本で言えば「十間夜」と言ったところでしょうか、子供たちが悪魔のコスチュームを着けて各家々を訪問してキャンデイやチョコレートなどを家々では準備しておいて子供たちにあげる、といった事が行なわれています。 ハロウイーンと言えば大きなカボチャの中味をくり貫いていろいろな顔の目鼻や口の切り抜きを付けて中にロウソクを灯して飾るのも習慣となっています。

ちょうどこの時期はいろいろな作物の収穫時期ですが、デイズニーのマンガ映画シンデレラに出て来るカボチャの馬車の様な形そして色のカボチャが一般的で、スーパーマーケットなどでもこの時期には各家で購入するこうしたカボチャを露天積みで販売しています。 日本で言う「唐ナス」のカボチャも売られていますが、こちらの形態のカボチャの方がポピュラーです。
一年の収穫を天に感謝し扼払いをすると言うこの習慣は今日でも変わる事無く継続している習慣です。

お化けカボチャのコンテスト:

毎年この時期になるとアメリカの各地でいろいろなカボチャのコンテストが開かれますが、オレゴン州のSteve Daletasさんが今年育成したお化けカボチャの話です。
10月14日にカリフォルニア州サンフランシスコの僅か南の太平洋岸に面した村Half Moon Bayで行われた今年収穫したカボチャの重量で競うGreat Pumpkin Weigh-Off コンテストに出品して一等賞になったカボチャの重量は1180ポンド(536kg)であったとの事で一等賞に輝いています。

このSteve Daletas さんは一週間前に開かれた地元オレゴン州のコンテストでは1385ポンド(629kg)のカボチャで世界記録を達成しています。
それで何人前のパンプキン・パイが出来るか? とか味は美味しいのだろうか? と言う疑問は野暮と言えるコンテストです。

人面岩? なにやら七福神のえびす様のような顔が見えます。

コロラドでの銃砲所有の法規制:

10月31日はハロウイーンのお祭りですが、この時期になるとかって日本からの留学生だった服部君と言う学生がお祭りの悪魔の仮面を被って友達の家と思って間違った家を訪問して拳銃でその家の奥さんに撃たれて死亡した事件を思い出します。 「Freeze」と言う英語が「動くな!」と言う意味だという事を思い知らされたのも記憶に新しいところです。

そもそも市民の間に銃の数が多すぎるの事が問題を大きくしているのですが、「自分の身は自分で護る」と言った西部開拓時代以来の歴史的な背景と21世紀に入ったアメリカに於いては未だに広大な畑の中の一軒家とか山小屋で熊やマウンテンライオンなどから身を護らなくてはならない地域が多く残されています。 また、趣味としての狩猟も非常に盛んでそれには銃砲の使用が不可欠です。

しかしながら現代の都会での銃砲による事故や犯罪が跡を絶たないのが問題点で昔からの環境と現代の市民生活とが大きなミスマッチを起こしていると言う事だと感じます。
アメリカ議会でもこうした問題に対処する為、規制の為の法律を制定して来ていますが、「所有してはいけない」と言った日本の様なレベルからはほど遠く、また、州に依ってその法律の実施要領が大きく異なっている、と言った実状です。

こうした法律の制定に対しては毎度NRA( National Rifle Associstion)の盛んな議会へのロビーイング活動がその拘束力を弱くしているとの指摘がなされて来ましたが、コロラドの様な都会と荒野が入り交じっている環境の州では銃の新規購入時に認可登録制度を敷くのがせいぜいといったところです。

犯人を死に至らせない銃:

アメリカの警察官は犯罪者と立ち向かう時には相手が銃を持っている可能性が非常に高い事から相手を威嚇する為だけでなく自らの身を護る為に持っている拳銃を発射してしまうケースが多く、犯人が死にいたる場合が多く発生しています。
そうした場合は常に起きてしまってから警察官の過剰行動であるのか、ないのかの議論が戦わされています。

最近開発されたM26 Taser と呼ばれる護身用の銃は犯人を死に至らせないで動けなくすると言う為に開発されたもので、引き金を引くと圧搾された窒素の詰まった容器からその圧力で2本の導線が飛び出し、同時にその先端に5万ボルトの高電圧が供給されると言うもので、それに当った犯人はショックで一時的に気絶し動けなくなると言うものです。
発射すると同時に圧搾窒素のカートリッジのID番号を打った細かい紙片が振りまかれて発射の記録をその現場に残すようにもなっています。

デンバー警察では既に100丁を購入してパトロールの警官に所持させていると言いますし、 また航空旅客機のパイロット達にもハイジャックの対策用として所持させている航空会社が有って、特に高空を飛行している機内では拳銃の発射は危険なのでこうした装備は有効に働くと言うことです。

岩壁が何かでむしり取られたように見えますが、これも浸食で柔らかい部分が削られた跡です。

拳銃マグナムに最強モデル出現:

クリント・イーストウッド主演の刑事映画ダーテイハリーでお馴染みとなったハリー刑事が使用している拳銃マグナムはその破壊威力が映画では売り物となっていますが、この拳銃はマサチューセッツ州Spring Field にあるSmith & Wesson社のレボルバー6連発の .44Magnumがモデルとなっています。

今回、弾丸の径が大きくなったのでレボルバー5連発となったが、その破壊威力をはるかに上回る新型モデルの .50Magnum / Model 500 が同社から発売となりました。
価格は989ドルで重さは空砲の状態で72.5オンス(2055g)と2kg少々でダーテイ・ハリーの銃よりも約1ポンド(454g)重くなっていて、フル装備の備品を付けて弾丸を実装すると82オンス(2324g)となりとても痩せた細腕では扱えそうに無いしろものです。

雑誌PopularMechanicsの試射レポートでは握りの角度が同社の他のマグナムのモデルと同様50度以内の角度となっているので打った時の腕首への反動はあまりひどくはないが、10回から15回打つと反動衝撃が大きい為に打っている方の腕がくたびれて来てしまうとしています。 この強力な銃をそう乱発されたのではたまらないのですが!! メーカーのスミス&ウェッソン社では破壊力が格段に上昇しているので、大きな熊に出会っても一発で倒すことが出来る、と言っています。

また、同社ではこの拳銃の開発対象市場は狩猟用に置いており、近年ライフルによるよりも拳銃による狩猟愛好家が増えて来ている、としています。 しかしながら、暴力対策機関であるViolence Policy Center ではこの新型マグナムの市場への出荷は銃砲規制のルールに新たな条件を付さなくてはならなくなる程強力だ、としています。

Smith & Wesson社は創業以来151年の歴史を持つ銃砲メーカーですが、クリントン大統領時代の銃に安全錠を付ける法律が施行されてから業界でのリーダーシップが薄れて来ており、更に2001年の同時多発テロ以降アメリカ内での拳銃の購買力が約40%も低下して来ており、業界全体が苦戦を強いられて来ている実状です。
そうした影響で2001年にはもともと同社はイギリスのオーナーが所有していたのですが、アリゾナ州のスタートアップ会社であるSmith & Wesson Holdings Corp. へと売却されて現在に至っています。

「チェッカーボード(碁盤目)メサ」と名前が付けられた山で約2,000mあります。
メサは メサ型トランジスターの「メサ」で頂上が平らな台形の山の意味です。
碁盤目は岩に縦横に走る弱い部分があり、そこが浸食で凹んだ結果と言われています。

就労ビザH-1bの発給枠が減少:

アメリカへの移民ではなく長期にアメリカ国内で働く事が許されるいわゆる就労ビザに「 H-1b」が有ります。 これはアメリカで必要としている特殊技能を持つと認められる人に対して発給される滞在就労許可ビザで従来から年間6万5000件を上限としてアメリカ移民局が発行しているものです。

過去の3年間ではアメリカのハイテク企業でのこうした外国人労働力の必要性が高まっていた事から期間限定でその上限を11万5000件に臨時法制で引き上げられてきました。 しかしながらそれ以降のハイテク業界の不況進行からアメリカ各企業からの需要が減少した事と、アメリカ国内の大学卒業者の就職難とから今年の10月1日から始まる新会計年度からは従来の6万5000件の上限に戻っています。
従って従来H-1bを所有して働いていた人や新たに申請する人達にとってはここ3年間と比べて取得がかなり困難となり期限切れで本国へ帰国せざるを得ない人達も多く発生してきています。

そんな訳で今年のH-1bビザの発給数の実績は大幅な低下となると予測されています。
また、H-1b ビザの発給者数全体の54.4%が今までハイテク関連で占められていたのが一変し35.5%とその比率面でも大きく下がって来ています。
現在のH-1bビザの所有者の学歴別の統計で見てみますと、全体の半分が大学卒業者ではなく、これらの人達は主としてメキシコからの季節労働者が多くを占め、特殊技能の領域では日本からでは寿司職人などがこれに当たります。 大学卒業者は全体の30%で更に博士号を所有している人達は全体の12%に及ぶ、と言う数字となっています。


ブライスキャニオンからコロラド州の方向約 130km の所にあるレイクパウエルという湖で、コロラド川をグレンキャニオンダムを作って堰き止めた結果出来た、世界2番目の人造湖です。(一位はこれより下流のフーバーダムで造られたレイクミッド)車で赤茶けた砂漠や岩山ばかり見て走っていて、突然現れるコバルトブルーの湖は極めて鮮烈です。

来年10月から全米の空港・港での入国管理に指紋照合機、人相スキャナーが導入:

皆さんがアメリカへ来年1月以降に入国する際には指紋採取チェックが行なわれる様になります。
アメリカへ船で港や、航空機で空港、そしてカナダやメキシコ等からは陸路で入国する人々にはそれぞれの場所で入国審査が行なわれています。 これらの業務は現在その審査官の判断に頼っているわけであるが、来年の会計年度の切り替わる10月26日を目標としてアメリカ移民局ではこうした全米の港、空港の入国審査場の全てに指紋照合システムと人相判別スキャナーの導入を準備しています。
また、カナダ、メキシコ国境の陸路の入国審査場では全米での年間約4億4000万人の入国者の80%に当たる審査が行なわれていますが、2005年からの導入実施となっています。

これは先の2001年9月11日の同時多発テロ攻撃以降にアメリカ議会で定められた法律であるU.S.−VISITに基ずいて実施されるもので、各港、空港では年内に設備を終えて来年1月から審査場での入国者からの指紋の採取がまず始まります。
これに伴って旅行者を送り出す方の国々ではそれに対応した指紋データ付きのパスポートの発給の準備を2004年10月26日までに終えなければならず、また、全世界210個所に展開しているアメリカの大使館・領事館でもビザの発給の為にこの対応が出来ている事が必要となります。

アメリカ移民局を統括しているDepartment of Homeland Security省では必ずこのシステムの構築を予定期日までに完了して運用に入る、としており、また、連邦一般会計局での試算によるとこれらの設備等に要する費用は14億ドルから29億ドルを要して更にその後の維持費に年間7億ドルから15億ドルの費用を必要とする、と見積もっています。
アメリカとメキシコとの国境に於いては既に今まで1998年よりDrexler Technology社の指紋を記録したビザのカードをメキシコからの入国者宛てに使用しており既に600万枚の発行を過去行ってきています。 当局ではこの今までの経験も加味して今回の指紋照合の全国境、港、空港での実施に踏み切るのでそれほどの混乱は生じない、としています。

今回の指紋照合の他に目の瞳のパターン認識、顔写真からの認識、声の音声認識などのシステムを準備しておいて必要に応じてチェックに使用する事としています。 こうしたバイオ認証システムに付いてはアメリカではIdentix 社とかViisage社など何社かがあってこれらの準備に対応しているとしています。
システムとしての認識制度の向上や認識技術の進化がもたらした処置といえますが、何と言っても入国審査場での判定スピードが要求されるためコンピューターの高速化が大きく寄与していると言えます。

一時は日本での滞在許可に指紋採取が行われる事に対して外国人入国者の人権擁護の立場から問題として大きく取り上げられて日本政府もそれに対応しておりますが、こうしたアメリカでの安全確保の見地からの指紋採取や照合と言った事が実施されるに当たって当時大反対したアメリカ内の人権擁護団体などの人達の反対の声が聞こえて来ません。 やはりアメリカのエゴイズムを象徴している事で日本はそれに対応して行かざるを得ないと言う事なのかもしれません。

先に予定されていた機械読み取り(コンピューター認識照合)型のパスポートでないとアメリカへの入国を今年の10月1日から拒否する、と言った通達が一変訂正されて来年の10月に延期されたのも今回の指紋照合のシステム導入との関連が有るのではないかと推定される訳です。 いずれにしても日本政府としては日本人のアメリカへの入国をスムースに行ってもらう為には言われる様にパスポートの仕様変更対応をかなりの予算をかけてもせざるを得ないかもしれないが、日本での入国審査にも有効に作用するのではないか、と言う気もする事柄です。

周囲はかんかん照りの砂漠(荒れ地)ですが、湖はヨットやモーターボートな
ど、水上スポーツの国立リクリエーション地域に指定されています。
有名なグランドキャニオンもこの近く(100k南)です。

新しいドル紙幣が発行された:

かねてより北朝鮮などによる偽札発行での対象となってきているドル紙幣はその対策としてアメリカ政府では10月10日からまず最も使用されている20ドル紙幣から新しくデザインされたものが全米に出回る事となりました。

新紙幣はウオーターマークなども含むかなりの高度な印刷技術に基ずく物で従来からの20ドル紙幣も続けて有効に使用出来るが順次現行のものを置き換えて行く事となります。
20ドル紙幣は町の銀行のATMマシンなどで現金を引き出そうとすると20ドル単位で20ドル紙幣で金額の多い少ないに限らず出て来るので最もアメリカでは多くの数が使用されている紙幣となっている。 更にアメリカ政府では50ドル紙幣を2004年に、また100ドル紙幣を2005年に新しい物の発行を行って行く予定にしています。

Crested Butteスキー場が売りに出されている:

ロッキー山脈の西山麓に展開する多くのアスペンスキー場のちょうどCrested Butte山を挟んで反対斜面に広がるスキー場Crest ButteはAspen,Vail,Breckenridge,WinterParkといったコロラドのポピュラーなスキー場と比べて地理的に交通不便な場所に在ることから、比較的長期に滞在してスキーを楽しむヨーロッパや州外などからのスキー客に人気の有るスキー場です。

この地域一帯はEdward Callaway さんの父親が30年以上前に購入して引き継がれているもので全体が個人所有のスキー場となっています。
1997年から1998年迄の間は平均して毎シーズン延べ54万9660名ものスキーヤーが訪れていたが、景気低迷から昨シーズンは34万2416名と大きく落ち込んでいます。

現在2社との売買契約の交渉が行なわれており、近日中に一社への売却が決まりそうである、としています。 個人営業のスキー場から本格的なプロフェッショナルな運営会社に移行させてもう少し活発な顧客勧誘活動が展開出来るようにしよう、と言う事です。

かって日本のバブル経済期にやはりコロラドの北西の山中に在るSteamboat Springsのスキー場が売り出されて日本企業が買収して運営していたが、バブル崩壊とともに買い値の半分以下で手放すといった事が有りました。 Steamboat Springs は日本のスキー場の様に温泉が湧いていてやはり長期に滞在してスキーを楽しむスキー客に人気が有るスキー場だったのですが。 それにしてもスキー場全体を個人で所有しているとは、なかなかのものだと感心させられます。

レイクパウエルから更に東に130kmぐらいの所にある、メキシカンハットと呼ばれる岩で、メキシコの帽子 ソンブレロ をひっくり返して山の頂上に置いた感じです。
帽子の縁の直径は約20mで今にも落ちそうですが、多分乗っかっているのではなく、岩山の頂上の一部が風化で削り取られてこんな形になったのでしょう。

コロラドのビクター:

コロラド州にはビクター(Victor)と言う名前の町が在ります。
地理的にはデンバーから南へ約110kmに在るコロラドスプリングスの町から山道を更に南西へ 35 km程登ってちょうどPikesPeak 山の反対側に位置している町ですが、かっては金が発掘されていた事から1800年代の前半にはゴールドラッシュで栄えた町です。
その後金の採掘は更に西へ10km程のCrippleCreek の町へと場所が移り、更に最近ではCrippleCreekから更に山中へ移動してPikesPeakの山麓に近い場所での本格的な大型露天掘りの金の採掘が行なわれていて現在ではコロラド州で唯一金の採掘をやっている鉱山が近くに在ります。

ビクターの町のメインストリートから見ると昔風の建物が並んでおり当時の面影を残していますが、近くの金鉱山で働く人達の家が当初町を構成して、更にいろいろな施設が出来た山の中のスモールタウンですが、このビクターの方は住居を主体とする町となり、隣のCrippleCreekの町の方はカジノを有するギヤンブルタウンと変化して現在に至っています。

CrippleCreek の方はデンバーから西のロッキー山脈中に入ったところに在るCentralCityやBlackHawkの町と並んでコロラド州では3個所の公認賭博場の一つとなっています。

一方のビクターの町の方は現在では落ち着いた田舎町となっており、車が停まっていなければ馬に乗った人々や馬車が走っていてもおかしくないような雰囲気ですが、毎年9月1日LaborDayの週末には絵画などの芸術作品のコンテストがあって国際的に著名なCarl Julio氏により優秀作品が選ばれ、それらの展示即売会が行なわれています。 また、9月6日と7日のウイークエンドにはマウンテンバイクのレースが行われ賑わいます。

ビクターの町で一泊してから翌日CrippleCreekの町へギャンブルに繰り出す、と言った観光定番コースとなっている訳です。
何故ビクターと言う名前がこの町に付いたかについては私は把握していませんが、今度行った時に町の役場へでも寄って確認してお伝えしたいと思います。



メキシカンハット(人口約50人の住む村の名前でもある)の北にあるチャーチロックという名の岩山。彼らには教会の建物のように見えるのかもしれませんが、日本だったらさしずめ「だるま岩」でしょう。

デンバー空港の歩道橋に飛行機の尾翼が接触する件、その後の再レポート:

前回のレポートでお伝えしたフロンテイア空港が新しく導入したAirBus A-318 型機の垂直尾翼の先端がデンバー空港の歩道橋の下を通過する時に接触する危険が或る件についての更にその後についての再報告です。
結論からすると際どいので通過しないようにする事に決めた様ですが、測定結果などに付いては当局からは一切一般への報告が有りませんでした。

前回7月にこの問題提起の記事を載せた地元新聞2紙Denver PostとRockyMountain NewsのそれぞれのWebに「その後調査の結果はどうなったのだ」と言う問い合わせのE-Mailを送付しておいたら、出ました! 10月14日の両紙に次のようにフロンテイア航空から報告が有ったと報じています。

レーザーを使った精密測定機器を使ってA-318型機の実物の尾翼高さとデンバー空港の歩道橋の高さとを測定した。 結果として、A-318の方は42フィート1インチの高さであり、歩道橋の方は中央部がちょうど45フィートで航空機が通過する事が許されている幅のそれぞれの端では43フィート5インチであった。

原理的には最もコースの端をA-318型機が通過したとしても15インチの余裕が有る訳であるが、フロンテイア航空では、A-318型機は歩道橋の下を通過させない事に決めた、と言う事で、同社が使っているAコンコースの歩道橋の無い北側のゲートのみで運行する事にしていると言う。 その理由として同社では「あまりにも余裕の無い寸法なので万一コースをそれて航空機が通過したり、通過時にブレーキをかけてその反動で尾翼が上下しているところで通過などしたらと、いろいろ計測データから検討したが、高価な航空機を日常的に危険に晒したくない」と言うことだとしています。

運悪く下を航空機が通過時に歩道橋の中央を小錦が歩いていたら、とは言っていません。
最近フロンテイア航空では従来から主力として同社が使用している少し大型ではあるが、尾翼高さが少し低いA-319 を15機AirBus社に新規確定注文を行っています。 これらの15機は2004年から2008年にかけて納入される予定で一機当たりの値段は5060万ドルから6120万ドルであるとされています。 これは歩道橋側を通過出来ないのでA-318をやめてA-319にしたのか? との質問に対しては、「そうではなく、現在A-318型は2機が納入されており、既に発注して有るA-318型機5機はそのまま予定通り納入され運用する計画である。 デンバー空港では少し不便でゲートの遣り繰りが難しさを伴うが、うまくやって行く積もりである。 今回のA-319型15機の注文は将来の事業発展計画に基ずいて発注したものである。」としている。

各航空機メーカーにとっても今回の状況は今後の中型機の製作上で大変参考となったと思いますが、何故こんな事になったのかハイテク空港とハイテク航空機の組み合わせにしてはあまりにも滑稽なお話しだったので一般に理由の公開が出来なかったのかもしれません。
今回のことと同様な事で経験する事はハイウエイなどでの立体交差となっている橋の高さと大型トレーラーの地上高の関係ですが、かなりスレスレのところが結構有って後ろから走っていてハラハラさせられる事が有ります。 殆どのところで地上からの橋の下面までの寸法が表示されていますが、トラックの運転手はそれを一々チェックしながら通過しているとは思えませんし、気が付いたらぶつかっていた、ではあまりにも危険だと心配してしまうので、今回のフロンテイア航空の決定は妥当だ、と言う気がします

デンバー国際映画祭:

先のレポートでお伝えしたデンバー国際映画祭は予定通り、デンバーの3っの大学のキャンパスが集合しているAuraria Campus 周辺に在る3つの映画劇場を会場として10月9日から19日の11日間にわたって開催されました。 特に今回はイタリア映画特集ではあったが、今までで始めてのイラン、アイスランド、イタリーの「 I 」の頭文字の国からの作品を含めて期間中には全部で175巻の映画作品が上映されて、映画ファンの関心を集めました。
10月12日(日)の夜には映画Godfatherや Apocalypse Nowの制作で有名なフランシス・コッポラ監督が会場に顔を表わし、彼の1982年のミュージカル作品の「One from the Heart」が上映されて、今年から定められたデンバー市長賞である「Mayor's Lifetime Achievement Award」がHickenlooper デンバー市長から授与されました。

コンッポラ監督は今回が4回目のデンバーへの訪問で有るとして、最初はデンバーに衛星放送DirecTVのアップリンク施設が出来た時で、2度目は映画Elitch Garden のロケーシヨンを行なった時である、と思い出を語っています。 もう一回は彼はカリフォルニアのNapaバレーにワイン醸造所を持っているが、ニユーヨークからNapaの空港へ自家用飛行機で向かう時に向かい風が強すぎた為にデンバーへ緊急着陸する事となって一晩をデンバーの高級ホテルであるBrown Palace へ宿をとったが、その部屋の素晴らしかった事は今でも憶えている、と思い出を語っていました。

NATOの会合がColoradoSpringsで開催:

コソボやボスニアの今後の安全保障活動やアフガニスタンへの関与の仕方、そしてイラクの安定と復興への係わりかた等に付いて討議を行なう為のNATOの会合がコロラドスプリングスの町で由緒有るブロードムーアホテルを舞台にNATO加盟の19カ国、そして加盟を計画している6カ国、そしてロシアなどの各国の防衛大臣を集めて10月8日から10日の3日間にわたって開催されました。

各国からの代表団は総勢700名に上り、報道関係者は世界各地から250名に及ぶ人数が参加しており、今回はアメリカがホスト国となっている事から、ラムズフェルド国防長官も一日早くにコロラド入りして近くのFt.Carson陸軍基地を訪問し大勢の兵士を前にして演説を行なったり、現在イラクへ派遣されている兵士たちの家族と質疑応答の場を設けたり、Peterson空軍基地内にある北アメリカ防衛司令本部を視察したりしています。

アメリカ国防省ではこの会議の為に700万ドルの費用と軍隊による会議場周辺の警備に多額の費用をかけて対応していましたが、特別な抗議団体等による混乱も無く無事予定通り閉幕しました。
今回のNATO会議によるコロラド州への経済波及効果は1000万ドルに達するものと見込まれています。

明け方には零下の気温となる日が日常化して来ているコロラドですが、日本では紅葉真っ盛りの最も一年で良い季節を迎えていると事と思います。 気温の寒暖も激しい変化を伴う季節でもありますので、皆さん風邪などを引かぬよう気を付けられて元気にお過ごし下さい。

[以上]

 
 
Copyrighted to: Mike Hagiwara
Photographs copyrighted (2003, Vic Goh)
 
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